墓の中より

シェイクスピア物語に出演が決まったのは昨年の11月のこと。コンサートもえび座も終わってやっと一息つけると思った矢先だった。
なにしろ急に飛びこんできた情報で、第一報を受けて最初はパニックに陥った。 人はいきなりキャパオーバーな情報を打ち込まれると喜ぶも悲しむもなく呆然とするものなんだと改めて思い知った。
震える手でスマホの画面を操作して、得た情報を読み取るのすらいっぱいいっぱいで、出演者一覧に五関晃一(A.B.C-Z)を見つけた瞬間突き上げるようにして嗚咽が漏れた。もちろん嬉し涙だった。

約一ヶ月後に迫る初日を含む三日間は「必ず出勤すること」と予め仕事場から通達を出されていたところだった。
仕事を変えたばかりだったし、年に一度の大繁忙期なのはわかりきっていて、どう足掻いてもこの期間に休もうなんて無理な話で。それを知った時は目の前が真っ暗になって、次は悲しむ涙が溢れた。
結果的には、本当に有難いことに初日に休みをもらうことが出来た。初日だけは、五関さんの初単独出演舞台の初日だけは絶対に観に行きたかったから、心底嬉しかった。

フードが外れて、凛々しくも悲壮なリチャード三世が舞台に現れたその瞬間、心臓が強く跳ねた。舞台の真ん中で踊るその姿に目が釘付けになった。
出演時間が多い少ないは問題ではなくて、ただ五関さんがネッドアレンとして生きているその空間が愛しかった。
ダンスを踊るシーンだけ、ネッドさんじゃなくて五関さんが出てきてしまうのだけは惜しくて、そこはずっと気にかかっていたけど。
それ以外は本当に美しくて気さくで、プライドの一本芯がある役者ネッドアレンだった。

わたしはまだ五関さんの演技する機会を沢山観たわけではなくて、そもそも舞台自体縁遠かったから、そういう視点で語れるだけの引き出しはないんだけども。
わたしは五関さんの演技する姿も好きなんだなぁと改めて実感したのが、シェイクスピア物語だった。

単純にネッドさんのビジュアルがあまりにも好みだったのも、ある。うん。
あと、俳優さん女優さん皆さんから、愛されてる五関さんが見られたことも嬉しかったな。
大阪公演に行くときに、新幹線の中で遠征の不安からひっそり泣いたのもいい思ひ出。(笑)
大千秋楽で、ああもうネッドさんには会えないんだって号泣かましてたら五関さんが「再演キボンヌ(笑)」とか言ってるからもう、この人には敵わないって泣き笑いになったのも、幸せな思い出。

そのシェイクスピア物語がきっかけで、観月ありささんの25周年の記念すべきコンサートにゲストとして呼ばれたことも嬉しかった。
五関さんが掴み取ってきた仕事なんだと思うと、それが一番嬉しくて。
緊張したーって笑ってる五関さんを、応援したいなって気持ちでいっぱいになった。

シェイクスピア物語の再演は、わたしはキボンヌではないんだけども。(笑)
また五関さんが単身乗り込んでいくステージがあるなら、わたしはそれを観に行きたいと思う。


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