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【ロック名盤100】#19 Pet Sounds - The Beach Boys

 今回紹介するのは、ビーチ・ボーイズが1966年5月にリリースした「Pet Sounds」だ。ロック史上最高のアルバムのひとつであり、「名盤ランキング」などと銘打ったリストでは軒並み上位。ビーチ・ボーイズ及びブライアン・ウィルソンの絶対的な最高傑作だ。
 初期のビーチ・ボーイズはカリフォルニアを中心としたサーフ・ロック・ムーブメントの代表格だったが、ビートルズらイギリスのバンドやボブ・ディランを始めとしたフォーク・ロックのアーティストの登場により、メンバーのブライアン・ウィルソンは危機感を募らせていた。そこにビートルズが「ラバー・ソウル」を1965年にリリース。これに衝撃を受けたブライアンはスタジオにこもり、自己の内面と向き合いアート志向で色彩溢れる作品を作ろうとした。他のメンバーはボーカルとコーラス以外はほぼ参加せず、実質のブライアンのソロ作品といっていいだろう。

1 Wouldn’t It Be Nice
2 You Still Believe in Me
3 That’s Not Me
4 Don’t Talk
  (Put Your Head on My Shoulder)
5 I’m Waiting for the Day
6 Let’s Go Away for Awhile
7 Sloop John B
8 God Only Knows
9 I Know There’s an Answer
10 Here Today
11 I Just Wasn’t Made for These Times
12 Pet Sounds
13 Caroline, No

 初めて本作を全曲通して聴いてみた時の感想は、確か「むずかしい」だったと思う。かなり難解な内容だ。だからこそ、咀嚼するほど旨味の出るような作品だと思う。聴けば聴くほど、なんと美しい音楽だと感傷に浸ってしまう。「ウドゥント・イット・ビー・ナイス」「ゴッド・オンリー・ノウズ」「キャロライン・ノー」を筆頭に、ブライアン・ウィルソンの作曲能力には舌を巻く。彼が作り出すカラフルで煌びやかで僅かにドラッグの香りもするサウンドは独特であり、魅力的な世界観だ。もちろんビーチ・ボーイズの従来のハーモニーやスタジオ・ミュージシャンのパフォーマンス、特に作詞を担当したトニー・アッシャーなどの貢献は小さくない。
 本作が本当の世界初のコンセプトアルバムなのではないかという声も多く、実際「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」はポール・マッカートニーの本作から受けた影響が見え隠れする内容だ。そしてブライアン・ウィルソンは「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に影響を受けて「スマイル」の制作を開始したというのも面白い。そういったコンセプチュアルな側面を感じるほどに一貫した世界観を堪能できる内容だ。音楽ファン必聴の名盤である。

↓「ウドゥント・イット・ビー・ナイス」

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