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【ロック名盤100】#29 Pearl - Janis Joplin

 今回紹介するのは、ジャニス・ジョプリンが1971年1月にリリースした彼女のラストアルバム「Pearl」だ。薬物の過剰摂取で若くして亡くなったのが1970年10月。その3ヶ月後に本作がリリースされ、彼女の生前最後の輝きがパッケージされたこのアルバムは後にジャニス・ジャプリンの最も優れた作品として評価された。
 ヒッピー・ムーヴメントの女王もルーツに回帰したようで、ブルース・ロックやR&Bなどを中心とした路線で制作された。本作からジャニスのバックバンドはフル・ティルト・ブギー・バンドが担当し、これがまた素晴らしいパフォーマンスを提供している。ジャニスのボーカルも相変わらず元気いっぱいだし、彼女の絶頂期はこの晩年、いやもしかしたらさらに先にもあったんじゃないかと考える。それだけに早すぎる死が残念でならない。

1 Move Over
2 Cry Baby
3 A Woman Left Lonely
4 Half Moon
5 Buried Alive in the Blues
6 My Baby
7 Me and Bobby McGee
8 Mercedes Benz
9 Trust Me
10 Get It While You Can

 力強いドラムで「ムーヴ・オーヴァー」が幕を開ける。ジャニスのシャウトもさることながら、ミドル・セクションでジョン・ティルというギタリストから繰り広げられるギターソロが素晴らしい。彼は他の曲でも印象的なパフォーマンスを提供している。「クライ・ベイビー」もジャニスのボーカルのハイライトだし、アカペラで歌い上げる「メルセデス・ベンツ」もすごい。
 僕はジャニスの代表曲「ミー・アンド・ボビー・マギー」が大好きだ。カントリー調な感じの曲調を鋭いジャニスの声で切り裂いていく感じがたまらない。かと思ったら優しい声も出してくるし、全体で見たらしっかりロックもしてる。ジャニスの代名詞に相応しい名曲だろう。
 1970年代の出だしといえば、ビートルズが解散し、ヒッピー・ムーヴメントも終わりを迎えた頃。それに呼応するように「3J」と呼ばれた英雄———ジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン、そしてこのジャニス・ジョプリンが奇しくも全員27歳で亡くなるという悲劇に見舞われていた。しかし、ジャニスの没後リリースされた本作を聴くと、彼女が天から激励してくれているかのようなメッセージを感じる。なんて力強い女性なんだろう、と思うばかりだ。

↓「ミー・アンド・ボビー・マギー」

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