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【ロック名盤100】#26 Axis: Bold As Love - The Jimi Hendrix Experience

 今回紹介するのは、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが1967年12月にリリースした「Axis: Bold As Love」だ。いかにもサイケでややヤバそうな香りも漂うジャケットとは裏腹に、全体的な雰囲気は少しデリケートな感触が感じられる。とか言っておいて、まあドラッグの匂いも満載ではあるのだが。
 僕はジミのディスコグラフィの中ではこれが1番好きなアルバムだ。なんというか、他のアルバムでのジミのギターは「超絶技巧!」「素晴らしいフレーズ!」といったところに凄さを感じるんだけれども、本作はジミのギターによる感情表現が最大の魅力だと思うのだ。まあもちろんギターの技術的側面も史上最高クラスだし、感情表現の受け取り方というのは人それぞれ違うから一概にはいえない。あくまでも僕個人の感想として、本作はジミの万感がギターによって最も豊かに表現されたアルバムだと思う。

1 EXP
2 Up from the Skies
3 Spanish Castle Magic
4 Wait Until Tomorrow
5 Ain’t No Telling
6 Little Wing
7 If 6 Was 9
8 You’ve Got Me Floatin’
9 Castles Made Of Sand
10 She’s So Fine
11 One Rainy Wish
12 Little Miss Lover
13 Bold As Love

 本作に収録される数々のジミの素晴らしい作品群の筆頭は間違いなく「リトル・ウイング」だろう。感情豊かでリリカルなギターフレーズとその合間に展開されるミッチ・ミッチェルのドラムフィル、そしてジミの熱のこもったボーカル。完璧に近い楽曲だと思う。
 他にも「キャッスルズ・メイド・オブ・サンド」「ワン・レイニー・ウィッシュ」そして表題曲「ボールド・アズ・ラヴ」など、全体的にメロディアスでしっとりとした感触の曲が多いように感じる。とはいえ「イフ・シックス・ワズ・ナイン」のようなアシッド・ロックもあるし、冒頭の実験作品「EXP」はまさに「音の戦争」と呼ぶのがふさわしい。全13曲の振れ幅を楽しめるという点も、僕がこのアルバムを好きな理由のひとつだ。
 1stよりハードロック成分は少ないかもしれないが、バンド全体の完成度やグルーヴの点で言えば明らかに本作の方が上だと思う。次回は、ジミの2枚組の最高傑作「Electric Ladyland」を紹介したい。

↓「リトル・ウイング」

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