【ロック名盤100】#47 The Band - Music from Big Pink
今回紹介するのは、ザ・バンドが1968年7月にリリースした彼らの1stアルバム「Music from Big Pink」だ。もともとボブ・ディランのバックバンドとして活動していたグループは、ザ・バンドとしてデビューしルーツ・ロック、カントリー・ロック路線で活躍。1968年半ばに発表という、サイケ/ヒッピー・ムーヴメントが続く中で他のバンドよりやや早くルーツ路線に乗り出している。
アメリカのルーツ・ミュージック———カントリー、フォーク、ブルース、R&Bなど多岐に渡る———を基盤とした牧歌的で泥臭いルーツ・ロックというのが最初の印象だろう。でもエレキギターやキーボードがかっこいい瞬間もたくさんあり、聴きやすいカントリー調のアコースティック・ロックで片付けてしまうようでは困る。他にも、ボブ・ディランが作曲に関わったナンバーなどが注目ポイントだろうか。ちなみにこのアルバムのジャケットもディランの絵なんだとか。上手いのかはわからないけど"良い"。
1 Tears of Rage
2 To Kingdom Come
3 In a Station
4 Caledonia Mission
5 The Weight
6 We Can Talk
7 Long Black Veil
8 Chest Fever
9 Lonesome Suzie
10 This Wheel’s on Fire
11 I Shall Be Released
本作のキラーチューン、そしてザ・バンドの代表曲である「ザ・ウェイト」がやっぱり僕は1番好きかな。冬の祖母の家で聴きながら親戚と年越ししたなぁ、みたいな個人的な思い入れもあってこの曲を聴くと安心する。そういう「しみじみできるパワー」って音楽においてとても大事だと思う。その曲を聴けばあの頃に遡れるというのはすごく愛おしいものだと思うから。「ロンサム・スージー」「ティアーズ・オブ・レイジ」「アイ・シャル・ビー・リリースト」あたりも浸れる最高のバラードばかり。…と綴っている間に涙が溢れそうになってきた。中学生の癖にこんなに涙腺が脆くなってきている自分にも驚いているけど。
やっぱりこのアルバムには独自の包容力があると思う。全楽器が織り成すゆったりとした質感でありながらもカッコいいグルーヴに、優しいボーカル。これもやはりルーツを踏襲したロックにしては全く古臭く聞こえない。時代の試練にも打ち勝つ「ビッグ・ピンク」の世界、大事にしたいと心から感じる。
↓「ザ・ウェイト」