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総務省が初の盲導犬受け入れ拒否の実態調査実施

昨日のnoteでも触れたように、2002年に「身体障害者補助犬法」が施行された。(2007年に一部改正)
身体障害者補助犬についてこの法令では、盲導犬、介助犬及び聴導犬を指している。

補助犬同伴での公共施設・交通機関・スーパー・飲食店・ホテル・病院や職場などへの補助犬同伴の受け入れが義務付け、つまりアクセス権が保障されているに関わらず、「犬は入れない」と断られたという話は時々ニュースにもなる。普段、補助犬に接する機会が少ないかたも、そんな話を聞いたことがあるかも知れない。

では、具体的にはどういった受入れ拒否が起きているのか。
今日は調査を3つ紹介する。

総務省「盲導犬受け入れ拒否の実態調査実施」

総務省が初の盲導犬受け入れ拒否の実態調査実施し、今年、2018年3月に公表した。調査には社団法人日本盲導犬協会が協力している。

[PDF]総務省 視覚障害者の盲導犬の使用状況及び同伴による施設の受入れに係る情報収集の結果(リンク先は日本盲導犬協会のウェブサイト内)

なお日本盲導犬協会では、後述の通り、今回の調査より以前から盲導犬受入れ拒否の実態や盲導犬ユーザーへの差別実態調査を実施し、ウェブサイトで公開している。

総務省の調査対象は、1都3県(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)の盲導犬ユーザー、事業者、地方公共団体等で、具体的な受入れ拒否事例や盲導犬ユーザーの意見、事業者の取組例を紹介している。

盲導犬受入れ拒否の実態 社団法人日本盲導犬協会 2017年4月

社団法人日本盲導犬協会では、総務省の調査以前から日本盲導犬協会ユーザーに対して2つの調査実施し、ウェブサイト上で公開している。

(PDF)盲導犬受入れ拒否の実態 社団法人日本盲導犬協会 2017年4月

2005年から2017年のデータの蓄積で、受入れがされず日本盲導犬協会が対応した件数は12年間で311件。なおユーザーから日本盲導犬協会に対して報告があったもので、ユーザーが都度報告しているわけではないため、実際はかなりの件数が想定される。

データをみて、業態で飲食店が最も多く半数をしめているのは、店側が断る理由についても推測がたやすいが、不可思議なのは病院や交通機関だ。

東京新聞「盲導犬「拒否」6割が経験 父危篤…病室入れず」

なお病院やクリニック向けに、厚生労働省では(PDF)「身体障害者補助犬ユーザーの受け入れを円滑にするために~医療機関に考慮していただきたいこと」を作成・配布している。

盲導犬ユーザーへの差別実態調査 社団法人日本盲導犬協会 2018年4月

障害者差別解消法施行から今年の春で2年が経った。日本盲導犬協会では、盲導犬ユーザーへの差別実態調査を実施し、ウェブサイト上で公開している。

[PDF]盲導犬ユーザーへの実態調査実施 社団法人日本盲導犬協会 2018年4月プレスリリース

副題には「6 割が受け入れ拒否を体験 一方、半数が周囲の声かけなど「好意的変化」を感じた 」とある。それを見ると少しマシになったのか?とも感じるが、実態としては

「過去 1 年、飲食店などで盲導犬同伴での受け入れ拒否にあったかどうか」
→「拒否された」は 109 人(59%)、前年調査から 4 ポイント上昇

となったそうだ。また、

ユーザーの説明だけでは理解を得られず、日本盲導犬協会で対応した
受け入れ拒否『対応事例』
→過去最高の 71 件

となっている。

いずれの調査を見ても、先ず補助犬に対する周知や理解が不足していると感じる。もちろん個人的に動物の好き嫌いはあるだろう。だが、ペットと混同せず、なぜ補助犬が必要なのかから知ってみてはどうか。

因みに、約6000人に調査した眼鏡の使用実態調査では、メガネ・コンタクト使用者割合は約6割。日常でメガネ・コンタクト使用しているにも関わらず、レストランの入口で「眼鏡は外してお入りください」と言われたらどうだろうか? 我が身のこととして考えたい。

参考

内閣府 障害を理由とする差別の解消の推進(障害者差別解消法)
社団法人日本盲導犬協会 盲導犬受入れ拒否対応事例集
【約6000人に調査】メガネ・コンタクトを着用しない裸眼の人の割合は驚きの◯◯%

(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ケープレインガ©moya

最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。