「ちがうこと」

ちがうことが、したい。
どうしても、ちがうことがしたい。

ともだちが、ボールをなげる。
じゃ、ぼくは、ちがうこと。
そうだ、ボールをけろう。
おもいっきりボールをけってやる!

おかあさんが、せんせいとはなしてる。
じゃ、ぼくは、ちがうこと。
そうだ、つくえにすわろ。
いすより、つくえにすわろっと!


ぼくは、ほんをよんでいる。
みっつめのまるまでよんだから、もうほんよみじゃなくて、ちがうことがしたい。

ぼくは、えをかいている。
すきなあおをいっぱいぬったから、もうおえかきじゃなくて、ちがうことがしたい。

ぼくはちがうことが、すきだ。
ぼくは、ちがうことが、すっごく、たのしい。

すわりなさいっていわれたら、
ぼくは、たって、はしって、おもいっきりうでをまわしたい。
しずかにしなさいっていわれたら、
ぼくは、くちをあけて、おおごえをだして、ぎゃははってわらいたい。

だって、ぼくは、ちがうことがしたいんだ。
どうしてもちがうことがしたくて、あたまがちりちり、からだがうずうずしちゃうんだ。


おとなはどうして、ちがうことがきらいなんだろう。
おなじことは、ずっとそのまま、おなじことなのに。
おなじことは、なんにもかわらない、ただくりかえすだけのことなのに。

おなじことと、ちがうことは、ぜんぜんちがうから、おもしろい。
ちがうことは、おもいついたしゅんかんが、おもしろい。
ちがうことを、すぐにやっちゃうことが、おもしろい。
やっぱり、なんでもおもしろくなきゃ、おもしろくないでしょ。

だから、ぼくは、ちがうことがしたい。
どうしても、ちがうことがしたい。
よるになってねむるときまで。

あさになっておきたあしたは、
きょうより、もっともっと、ちがうことがしたいなあ。

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