ファージの聖地:ジョージアEliava Instituteに行ってきました!
2024年6月末にジョージア(旧グルジア)のEliava Instituteで開催されたサマースクールに参加してきました。
なお、費用は一部、東京大学Deep Innovation Creation Ecosystemにご負担いただいています。
貴重な機会を提供して下さり、誠にありがとうございます。
さて、「なぜジョージア?」とお思いの方もいると思います。
実はジョージアは、現在ファージセラピーが標準治療として認められている3カ国の中の一つです。
その中でもジョージア、そしてその首都に位置するGeorge Eliava Institute of Bacteriophages は現在、世界各国のファージ研究者から注目を浴びています。
この施設では、バクテリオファージの名付け親であるFelix d'Herelleがフランスから呼び寄せられてファージの研究を主導したと言われています。
戦争やソ連による支配によって何度も存続が危ぶまれながらも、1923から現在まで一度も閉鎖することなくファージの研究を続けているEliava Instituteは、世界有数の巨大ファージライブラリを有しています。
他で見つかるような情報をこれ以上記してもしょうがないので、ここからは現地で仕入れてきた小ネタを披露していきたいと思います!
薬局で買えるファージ薬
こちらはEliavaが出しているファージ薬です。
Eliava Instituteに併設している薬局で買えます(他のところでも買えるかもしれません)。
OTC薬として、処方箋なしで買えます。
ほとんどが、数種の細菌に効くファージを混合したカクテルです。
皮膚に塗るものや、腸にアプローチするための飲み薬などあります。
冷蔵保存ですが、24時間程度は常温でも大丈夫です。
5個入りパックの値段は、2024年6月時点で日本円で約1800円です。
製造部屋
サマースクールでは実習として、製造過程を一通り経験してきました。
小さなラボのような場所でファージの同定やフィルタリングなどほぼ全ての作業を行えます。
興味深かったのは、1900年台にFelixがパスツール研究所から持ってきたと言われている古い実験器具たちです。
木製オートクレーブや木製(だけどなぜか火が燃え移らないような素材でできた表面を持つ)実験台などからは、1900年代の実験の様子も伺えます。
Eliavaの人たちが大事に使ってきたようで、今での写真に示した部屋で現役バリバリで使われています。
社会主義のソ連の一部だったことがあるのが関係しているのか分かりませんが、ジョージアの人は一般的に古いものを大事にする傾向にあるように感じました。
ちなみに、初めの方に述べたようにEliavaは何度も困難な時代を何度か乗り越えてきています。
一時は、冷蔵庫も使えなくなったため、当時の研究員たちが毎日サンプルを家まで持って帰ることでライブラリを大切に保護してきたそうです。
ほとんど女性の研究員!
日本人の私としては、Eliavaで見かけた10人ほどの研究員が全員女性であったことに多少驚きました。
「女性を優遇してるとかあるんですか?」と聞いたところ、「私たちは男女平等で男性もウェルカムなんだけど、何か結果として女性ばかりになってるんだよね」とのことでした。
サマースクール参加者の出身地
約35人の参加者はほとんどが欧米出身でしたが、他にもメキシコ、アルメニア、インドなど世界中から参加者がいました。
一方、インドを除くアジア諸国からの参加者は私一人であったように感じます。
欧米では大きなブームになっている一方、アジアでは未だ認知度・注目度共に低いという現状を再認識しました。
日本でも今後、広まっていきますように!
最後に
お読みいただきありがとうございました!
この文章はファージについて勉強中の大学院生によって書かれています。
ご指摘やご質問などありましたら、コメントいただけると幸いです。
個人的なご相談などございましたらX(https://x.com/YunaOikawa1)までお願いいたします。
追川優菜
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?