白羽大地・3周後感想❶【攻略や他キャラネタバレ有】

(大接近モード6回・空也END回収済)

初手 氷室一紀1周
GS3ではシタラーズ

白羽大地に首を掴まれて沼の底までゆっくり引きずり込まれたGS4プレイの一部始終。

2021年10月某日。
ハロウィンに集まってGS4のRTAをしようという話になった。

友人はDSのGSシリーズをプレイ済で、わたしはPSPのGS3でシタラーズをしていた。

RTAと言っても、一緒にプレイしながら進捗を報告し合い、スチルイベントのときは画面を共有しにこやかになるだけで、同キャラをどちらが先にENDまで引きずっていくかという遊びではない。

GS4の攻略キャラが発表された当初、わたしは先にRTA用の攻略キャラを決めておこうと思いHPを眺めていた。

ところで、わたしは今までプレイ前の状態でときメモGS立ち絵にときめいたことが一度もない。設楽聖司の場合も同様だった。
ときメモGSは恐ろしいゲームで、これほどときめかないものかというキャラ絵から始まるのに、1周プレイした後にはもうときめき BirthDay。重いGS中毒者をたやすく作り出す。
古来の中国ではチョコが媚薬として使われていたというが、おそらくGSを与えても同じ効果が得られただろう。

結局、上記してある通り氷室一紀を選んだ。
彼が後輩であるということが明記されているため、1年目は操作を思い出しながらときメモに慣れつつパラを上げ、2年目からじっくり攻略をしたいからとかいう理由ではない。
見た目からひねくれていそうなので設楽聖司と同じ沼の毒が吸えると思ったのだ。御託はいい！

氷室一紀について。

想像通り、教頭の親族ということで色々比較されたりちょっかいをかけられることに心底ウンザリしており、度の入っていない眼鏡で壁を作ったり、サーフィンやベース、ジャンクフード好きアピで零一さんとは違うぞオーラ威圧ヒネクレ青年でとてもよかった。
きっと彼の今までの選択の根底にはいつも零一さんがおり、可能な限り近付かないように、無意識にも正反対であるよう生きてきたのだろうけど、今となってはそれらを自分のために好きでしている。愛すべき自分の趣味として落ち着かせたのだと思うと、ひとりの青年の人生における大きな一歩を見守ることができたのだなとじんわりした。

よかった。

ここまでですでに13.5時間。土曜の朝から飲まず食わずで22時過ぎまでゲームしていた。
こんな異人間ムーブに付き合ってくれた友人は隣で風真玲太を攻略していた。アプローチしすぎて「暴れるな！」となだめられていた。

2日目。
ここからどんどんGSに脳みそを吸われることになる。
すでに氷室一紀で3割失っている。

日曜、ハロウィン当日の早朝からときメモを起動した。

わたしは大学のときの文化祭を思い出していた。同級生が大学の文化祭に来ないというので理由を聞くと「別の文化祭に行く」と言う。まあ大学だしそんなものかと思った。
あとから聞いたらテニプリの乙女ゲームの文化祭だった。

わたしは、さて今日はどうしよう…と考えた。

これが問題だった。
ない頭で考えた。

結果、昨日会えなかった男の子を見てみようということになった。
タイムリープ後はば学へ再入学、初っ端の日曜にガソリンスタンドへ電話をかけた。

バイト初日に現れたのが白羽大地。
京都弁の明るく元気な男の子。
初対面の感想は、彼はこれから3年間ずっとこの心臓をささげるポーズをするのだな、といったほどだった。
方言に魅力を感じることは少ないし、というか関西に住んでいるので日常茶飯事だし、これといって惹かれる要素もなかった。
だが、オタクの先人がこのような言葉を残している。

「落ちそうにないキャラに沼ったときが一番気が狂う」

一字一句その通りになった。
では、狂っていく終末のオタクを描写していく。

前日に氷室一紀を攻略していたのだが、はばチャの取材コマンドをほとんど実行しなかったせいで見れていないスチルがあった。
友人は記者レベル☆5の優秀記者だったのでそのスチルを見ていた。悔しかった。わたしも見たかった。

白羽大地にはこちらから電話をかけられない。よって日曜も平日も永遠にパラ上げになる。記者レベルを上げるにはもってこいだった。わたしはまだ氷室一紀の影を追い求めているのだな。
などと、思っていた。
クソゆる甘頭うんこオタクだった。

白羽大地　ｲｲｺ、ｽｷﾞ

そもそも京都弁のキャラはねっちｧ……ｱﾊﾚ……みたいな、顔で笑いながら人を見下す感じの悪いやつが多いのに(主観)、こ、こいつ、ずっとﾋﾟｭｱｧ…………？
もしや天地翔太枠か……？(裏表がある)と疑っていたところへ放課後のお誘いイベントに「あれは…白羽くん？」とか出てきちゃって、ががががが学校まで来きてくれたん！？？！？！？！！？お、おっ、おまおまえ、ﾍｧ
マリィのことすすすすすすすす好っきやん！？？！？！？！

もうすすす好きやんけ、校門前で待つて、それ好っっきやん。

「もし会えたらええな思って。ここで待っててみてん。へへ！」

ﾊﾞｧ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

わたしはGS3でシタラーズを少しかじった程度で、シリーズ全体に関してさほど詳しくない。なので、はばたき学園と羽ヶ崎学園がどのくらい離れているのか知らない。
おそらく同じはばたき市内だったとしても、デート先が豊富にあるマップの様子からかなり広い市であると思われるし、学園が近場にふたつ建つことはないだろう。

来たのか？この学校まで。

「そや。君と一緒に下校しとおて」

ﾋｬ ぇあ゛

沼に落ちる音がした。
ハチミツとクローバーでは恋に落ちる音がするが、きっと涼やかな春の風に乗った優しいベルのような音だろう。
沼はどうだ。どうなのだ沼は。

「落ちそうにないキャラに沼ったときが────

ｷﾞ

わたしは沼にほぼ埋まり、唯一外界とつながる鼻から酸素を吸い、7日目の蝉のように成り果てた。

7日目の蝉に栄養はいらない。
わたしたちは2日目も飲まず食わずでときメモをしていた。

友人はセンター分けの泣きぼくろの座長を攻略していた。OPで和風な役者の雰囲気があったので和菓子屋とかにバイト行ったらえんちゃう、と進言したところ、和菓子屋では(確か)芸術が下がり攻略が難しくなるためやり直させることとなってしまった。申し訳ない。

友人は名前を松崎しげるにしてプレイしていた。そのせいで男の子たちが随所で「松崎！」「松崎ちゃん！」「しげる！」などと呼び、しばしばドｷﾓオタク歯茎Smileになるハメになった。

しげるはさておき、白羽大地とはアルバイトとたまに学校帰りに一緒に帰るくらい、というか家に送らせていると思うが、そんな関係のまま年末を迎えた。
主にはばチャの取材コマンドを実行していただけだが、日曜や祝日が買い物に行くか取材に行くかの二択なのでパラメーターも順調。いつも上げづらい運動もガソリンスタンドのせいでエグ伸びしていた。

2年目のいつ頃か、デートがしたいから電話をかけさせてくれとお願いされた。
高校生活を半分過ぎて、ようやく初めてのデートを迎えた。

白羽大地は初対面の印象通りのまま、活発で優しい、名前の通り天使のような男だった。自分を何一つ飾らず、素のままで接してくれるのが心地よい。
このまま告白ENDまで行こうと決めた。

氷室一紀スチルは無事回収した。ｾﾝｷｭ

ご存知の通り、ときメモではどんなにデートに行こうが親密度が増えようが、パラが足りなければ告白ENDを迎えることができない。
全てのシリーズにおいて、王子キャラのパラメーター攻略が一番難しいとされている。
たしか全部120じゃないとダメみたいな話をどっかで聞いた。知らんけど。

隠しキャラに関しては、告白ENDまで登場させ続けることが難しい。設定された時期までに特定のパラ数値の達成、コマンドの実行数などが必要になる。
明記してあるように白羽空也END回収済なのだが、クッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッソめんどくさかった。

白羽空也の話は後述する。
とりあえず、ときメモ中級者のわたしは、これだけパラメーターに余裕があれば準隠しキャラなど余裕で告白ENDまでいけると思っていた。

だがこういう書き方をするときは100%そうならないし、実際そうならなかった。

白羽大地が失踪した。

それは3年生の6月。

そこに至るまで様々なことがあった。
白羽大地はﾋﾟｭｱﾎﾞｰｲを服にして着ているようなベビーフェイス人間のくせに服の好みがsexyだったり、カラオケに誘うくせに歌うのが苦手だったり、カモメを見てかわい〜！♡とか言うし、チョコを貰えばやったぁ！と少年のように喜び、そのあと職場の人に自慢しに走り去るし、目を見つめられるのが苦手だけど撫でられたり髪を触られたりするのは好きだし、電話をかけてくれば「へへ、オレやねん」とか言うし、目玉焼きが好きだし、振袖を着れば「好きなこの晴れ姿見られるなんて…」とか口走るし、書けばキリがないけど、様々なことがあった。

その日、暗転してからガソスタの背景が出た。ああ、ガソスタイベントか、と思った。
（白羽くん遅いなあ…）
えっ、なにが。
なんか約束してたか？
店長に白羽大地について尋ねる。

「昨日電話があって、バイト辞めちゃったんだよ」

喉がﾋｭｯとなった。
え…？そ、そういうイベントか…？
そうだよな、だって先週もデート行ったし。
羽ばたき城の天守閣で歴史の流れがどうとか話したじゃん。偏差値高い会話したじゃん。
なんで？なんで？

店長の言葉を受け止めきれないまま時間が過ぎた。

ガソスタのミニキャラ画面からも、評価のページからも、白羽大地が消えた。

9月まで待った。
電話は2度と来なかった。

泣いた。

実際泣いてはない。
Twitterでこのアニメ泣いたと言ってフォロワーに勧めるのと同じような泣いただ。
だが泣いた。

わたしはGoogle先生に頭を下げた。

白羽大地は決まったイベントを回収しなければ途中で失踪する。
先週デートに行っていたとしても。

攻略情報に関してはどう考えても攻略本のほうがわかりやすく素晴らしいので割愛する。
わたしは出遅れたのでまだ買えていない。
重版おめでとう。ありがとう。

わたしはしげるのあとを追った。
いくつもの季節を超え、パラ萌えを回避し、服を買い戻して、あの日の続きを待った。

3年生の7月。
白羽大地は失踪した。

なぜだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！？？！？！！？？！？！！？？！？！！？？！？！
うわぁあああぁああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
ぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！？？！？！！？？！？！？？？？？？！！！！！
んぁああんあんあああああぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！？？！？！？？？？？？！！！！！

店長のセリフの画面のまま、わたしは床に体を投げた。
友人は高らかに笑っていた。
うんちを木の棒でつつくが如くわたしをつつきに傍まで来た。
そういうヤツだお前は。

5分ほど放心していた。
このやり直しで2時間ほど経過していた。
わたしの2時間はなんだったのだ。
様々なことがわたしの脳裏をバタバタと土足で駆けていく。

なにかにつけて城に登りたがる白羽大地。
初回デートから家まで送ってくれる白羽大地。
バイトの失敗をさらっと補い、気にしないよう声かけもしてくれる白羽大地。
オレンジ色が好きでヒマワリモチーフを送りたがる白羽大地。
似合わなそうなアイテムをこれどう？といたずらな笑みで勧めてくる白羽大地。
スマホがあるくせに約束もせず校門前で会えることを信じて待つ白羽大地。

思った。

2時間ぽっちがなんなのだ。
白羽大地はどれだけの気持ちで、どれだけの時間をかけてはば学へ来ていたのだ。
主人公と一緒に帰りたい。その想いだけで。

逆に、白羽大地がどれだけ主人公と同じ大学へ行きたくとも、わたしがそのようにプレイしない限りその結末にはならないのだ。

これはわたしのためではない。
白羽大地のために、主人公を一流大学へ連れて行く。

わたしがおまえたちのハッピーエンドを作る。

意は決した。

わたしは立ち上がり、椅子に座り直した。
友人はまだ笑っていた。
うるせんだよ。

ひとまずデータのロード画面へ、と思い画面を進めた。
暗転し、背景は公園前になった。

「ﾌｨ?」

友人も「何？」と画面を見る。
電話が鳴った。

白羽大地からだ。

わぁあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！（叫んだり喜んだり友人の肩を強く叩いたりする素行の悪いオタクの絵文字）

てめえ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！
恐ろしいことしてんじゃねえ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

嘘です電話ありがとうございますスゴイTHANK YOU That's all.

わたしは気がはやるあまり、こうすれば白羽大地の失踪を防げるという一点のみに注意しており、どのように、どんなふうに回避されるのかの説明を読み飛ばしていた。
2日間飲まず食わずでゲームやってたら長い文章なんか読めねえに決まってんだろ。こちとら脳が溶けてんだ。

こうして、わたしは白羽大地と主人公をハッピーエンドへ送り出した。
教会の扉は開けっぱなしだし、灯台まで手を繋いで走るし、夕焼けは２人を優しく包むに決まってるだろ。(美化)

以上が1週目の白羽大地攻略である。