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エネミーパレードの攻略本

2020/5/2に公開された、だれも知らないP(つかさ)さんの『エネミー・パレード
映像制作を担当した私うっしーが、世界観について解説していきます。解説動画も出していますが、そちらは元々需要があるのか分からずに出したにも関わらず、作品への理解が深まった事に対して喜びの声が聞こえてきたので、動画では伝えきれなかった世界観の設定などをこちらにまとめたいと思います。

エネミーパレードの世界

まずはMV用に描いたこの世界の地図をご覧下さい。

映像内では右上や左下の方は全く見えませんが、実は描き込んでいました。旅のルートを先行して考えていたので、展開を落とし込んでいく形で地図を描きました。
余談ですが、今回の映像の中では左側が常に進む方角です。ですので地図も右側出発地点の『ガラクタタウン』、左側に最終目的地の『ヒカリノミヤコ』を配置しました。

設定1『夜しかない世界』

MVからは読み取りづらい情報です。冒頭から最後までずっと夜なので、「1夜の話なの?」って思う人はいるかもしれませんね。
でもそうではなく、ゼンマイ・ミクさん達が旅をするこの世界には昼がなく、夜しかありません。
はるか昔には昼がありました。が、今は夜しかありません。なのでこの世界の住人たちの大半はヒカリノミヤコに憧れ、そこに住みたいと思っています。ミクもそのうちの1人です。(オモチャですが)

設定2『エリア格差』

みんなヒカリノミヤコに憧れ、世界中から集まってくるので、ヒカリノミヤコ周辺には多くの集落があり、近い集落ほどヒトが多く生活水準が高い代わりに、ヒカリノミヤコへの競争も激しくなります。エリアをざっくり色分けしました。

・水色は何不自由なく暮らせるヒカリノミヤコ
・緑色は『上層』ヒカリノミヤコの法の力が行き届く範囲
・黄色は『下層(下界)』ヒカリノミヤコを目指さないヒトも多く住む範囲
・橙色は住人がほとんどいない『無法地帯』
ゼンマイ・ミクの旅は距離的にも格差的にもかなり遠いエリアからスタートしたのでした。

設定3『地図上の地名など表記』

地図上にたくさんの地名や施設名があります。この世界の地名のほとんどは前文明の頃の言葉が語源で、言葉の意味は忘れ去られて音だけが残っています。
例えば『ヒカリノミヤコ』と言えば誰もがヒカリノミヤコという場所を思い浮かべますが、『光の都』が語源である事は分かりません。昼が存在した前文明の時代から言葉の意味が保てないほど時が過ぎています。
ちなみにこの地図を描いたヒトは(実際に描いたのは僕ですが)ヒカリノミヤコ出身者です。何かの理由でヒカリノミヤコを出て、各地を巡って描きました。川より東側は無法地帯で危険なため、あまり詳しく調べる事ができず情報が少なくなっています。
地名の情報はMVとして不要(というより邪魔)なのと異世界感の演出のため、僕が創作する時に使うオリジナル文字『ベン語』で表記しています。アルファベットが元になっているので頑張れば読めます。ローマ字だったり英語表記だったりバラバラですが。
読み方を付けましたのでご覧下さい。

地名ごとに考えてある設定などを解説していきます。

ヒカリノミヤコ

光の都。世界の中心でもある超巨大建造物。昼がないこの世界の太陽のような存在。生活に必要なあらゆる設備が用意されている。花のような構造をしており、花の上、3枚の葉の上、茎の中にも生活スペースがある。高い所ほど権力を持つヒト達が住んでいる。
周囲に建ち並ぶ球体は侵入者を監視・必要があれば攻撃する。

マッドプリズン
ヒカリノミヤコの法律に反した者を収容する監獄。

オバケモリ
お化け森。フロンゲートを迂回してハンギャクEVルートでヒカリノミヤコを目指す者の行く手を阻む深い森。道半ばで力尽きる者が多い事からこの名前が付いた。

ハンギャクEV
反逆エレベーター。フロンゲート通行を許可されなかった者たちが上層へ登る為に作り上げたエレベーター。もちろんヒカリノミヤコ的には違法。

ゲカイアナ
下界穴。フロンゲートの上層側の出口の俗称。かつてこの世界に存在した軍隊がまるまる通れる巨大な穴。

フロンゲート
下層から上層へ行くための正規ルート。それを護るゲート。門番は住み込みなので宿泊施設も備える。
映像ではカットしましたが、ミクさんたちは4人揃った後にフロンゲートまで来て追い返されています。
名前の元ネタはディスガイア。

エトナゲート
ヒカリノミヤコへ入る正規ルートの最終関門。警備が厳しく、ほとんどのヒトは追い返される。
名前の元ネタはディスガイア。

シズンダシロ
沈んだ城。かつて都だった場所。城が湖に沈んだので高台に移されたのがヒカリノミヤコ。誰もそんな事は覚えていない。
2018年にやっていたカレンダー企画の2月カレンダーにも描きました。

ウサビハウス
ウサビさんが住んでいる家。

マチビトタウン
待ち人タウン。フロンゲートへ来たけど上層へ入れなかったヒト達が、入る機会を待つためにできた集落。
時計台は雷に打たれて動かなくなったらしい。

カンソクジョ
観測所。変わり者の老人が住んでいる。今となっては何を観測していたか誰も知らない。

カンソクジョst
観測所駅。タイリクオーダンラインの始発駅。

タイリクオーダンライン
大陸横断ライン。その名の通り、大陸を東西に横断する鉄道。

サンドジャイアント
砂の巨人。砂漠を見守る巨大な石像。
大陸横断ラインと共に2018年9月カレンダーにも登場しています。元々は10代の頃に考えていたネタです。

スピナノス
スピナの巣。魔獣スピナが住んでいる穴。

サドルスフィンクス
スフィンクスが護る道。ある条件を満たした者でないとこの先に進めない上に二度と戻れないらしく、この先に何があるのか分からないので地図は白紙になっている。

ロイヤルハウス
岬にぽつんと建つ家。何故そう呼ばれるのかは誰も知らない。

ギリアムシー
ギリアム海。北の湖。海底の地形が複雑なためいつも荒れている。

プロメテ
ドーム型集落。上層へ行く事に興味が無いヒトたちが住んでいる。
名前の元ネタはクロノトリガー。

ムーンロード
月面のように凸凹している道。ちなみにこの世界の月はもう無い。西側が裂けて断崖になっているので、地層を確認できる。

セツゲンキョウカイ
雪原境界。ここから北は雪が溶けない。

クラヤミゾクビレッジ
クラヤミゾクの村。川の東側にちらほら存在するクラヤミゾク(成れ果て)達が暮らす集落。

マロンバシ
マロン橋。無法地帯と下層を繋ぐ橋。無法地帯に住むヒト達にとっては希望のような存在。
ミクたちにとっても4人の仲間が揃った思い出の場所になった。

ブリキシティ
ロボの出身地。ブリキのおもちゃ達が暮らす集落。

バケツヤマ
バケツのような形をした山。

スクラップタワーズ
気性の荒いおもちゃ達がナワバリ争いをする地域。敗北したおもちゃの残骸がタワーを高くし、おもちゃの魂はクラヤミゾクとして生まれる。

ガラクタタウン
ゼンマイ・ミクとティラノが住んでいた街。他にも多くのおもちゃが住んでいる。住人同士の争い事は少ないが、自分が生きることで精一杯。
そんな中でゼンマイを巻いてもらえたティラノはミクに感謝してついて行くことに。
※解説動画では『ガラクタタワー』と紹介しましたが、それは街の名前ではなくミクが最初に立っているタワーの名称でした。すみません。

コダイギョ
魚の骨。『コダイギョ』の語源は『古代魚』かもしれないし、とても大きいので『巨大魚』かもしれない。

キャラクターについて

最後に映像に登場するキャラクターについての情報をまとめます。

ゼンマイ・ミク

ゼンマイ仕掛けの人形の女の子。優しい心の持ち主。ヒカリノミヤコに憧れを抱き、しばしばガラクタタワーへ登って眺めている。
実は元々は上層で持ち主のヒトと暮らしていたが、持ち主と別れた後ガラクタタウンへ来た。
オーバーオールの右肩が破れていたり、髪留めのパーツが外れてネジがむき出しになっていたりと、映像の最初から年季が入った状態。

ティラノ

ゼンマイ仕掛けの恐竜のおもちゃ。ミクよりゼンマイが切れやすく、定期的に巻いてもらわないと動けなくなる。
優しくて力持ち。旅の仲間の中ではミクさんに懐いている。
可動部分は手足、上顎、尻尾のみ。下顎は胴体と一体になっていて可動しない。尻尾が取れても痛くない。

ロボ

単3電池2本で動くブリキ製のおもちゃ。見た目ほど重くない。
ティラノに負けず力持ちで優しい心の持ち主。元々はブリキシティの仲間たちに頼られる存在だったが、左脚が折れて以来自暴自棄になっていた。ミクとティラノに連れ出されて希望を取り戻す。

オバケ

布製のおもちゃ。ロボを持ち上げるほどの浮力があり、しばしば風に飛ばされてしまう。4人の中では1番感情豊か。助けてくれたロボに懐いている。

初期デザイン

最後にキャラクターの初期デザインを公開します。制作開始から約10ヶ月かけて完成させたので、デザインは初期からかなり変わりました。
最終デザインに落ち着いたのは、動画作業に入る公開1ヶ月前くらいの事です。

▲線なし初期デザイン
ミクの衣装も違うし仲間はロボだけでした
背景これにしなくて良かった

▲色味はほぼ決まりました
恐らくストーリーのベースはもうできている頃の絵です
テカテカつるつるのデザインもおもちゃっぽさがあって悪くないですね
顔四角いけど

▲主線ありにデザイン変更
アナログ描きをスキャンしてデジタルで着色しています
枚数が多いので作画時間の短縮のために動画用にもそうやって描こうと思っていましたが、結局全てデジタルで描きました(きっと結局そっちの方が早かったです)
最終デザインより少し頭身が高いし表情豊かです
ミクの横向きデザインがブサイクですね
あと後ろ姿のゼンマイの位置ズレてるけど最終的に直せばいいや、と思った記憶があります
ロボは背景に溶け込んでますね

▲ティラノとオバケも登場
ティラノもやはり四角いです
オバケはあまりデザインは変わっていませんが、最初は足元からロボを支えるスタイルでした(が、ビジュアル的にどうかと思ったので変更しました)

以上で全て説明できたと思います
最後までお付き合いいただきありがとうございました

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