13:「Go Crazy」はこっちの台詞だよって話── IMP. 1st Album『DEPARTURE』感想文②

 これは世界のどこかにいるひとりのエンタメ大好きオタクが、大好きな人やその人が見せてくれた景色について書き残した、ちょっとした忘備録です。

※何かのご縁で、筆者を知らないけれどこれを読んでくださっている方へ 筆者はTOBE所属、IMP.(あいえむぴー)のセンター佐藤新くんのことが大好きなオタクです。

 あの〜〜〜〜〜全然受け止めきれないんですよねこの曲。あの。解禁当初サブスクで聴いてた時は「ぜんぶすき〜!🎶こまった🎶」って喜びの舞を踊りながらスキップしてたみたいなところがあるんですが、いざCDを開封してこの曲を聴いたらこの曲のことしか考えられなくなって頭の中真っ白になりながら「あ、あぇ………………」となっている次第です。だめでしょ。だめだろ。というわけで、わたしのヘキを土足で荒らしてくるこの曲の感想文をぶん投げようと思います。

 なお、こちらの楽曲語りは「長い・キモい・うるさい」の厄介オタク三拍子が揃った、このnoteの中でも最もやかましい仕上がりとなっておりますので、本物の物好きさん向けです。どうぞごゆるりとお付き合いくださいませ。(※約7000文字です)


じ、自己理解〜……!

 最初っからめちゃくちゃ気持ち悪い喜び方をしていて大変申し訳ありません。こちら、私の“自己理解萌え”“マーケティング萌え”のコーナーです。

 この曲って随所に“追い求めている女性の像”が垣間見えるわけじゃないですか。これはテクスト論的(≒作品は作品で作者がどうこうってのは関係ないだろスタンス)というよりかは作家論的(≒作者のあれこれはやっぱり作品に関わってくるだろのスタンス)な考えなんですが、あの、23歳のあらみながこれ歌うって、やばくないですか?
 「大人ぶっていられない」「生意気だと言われたって」と歌詞にあるように、この曲の“you”って彼らよりすこし歳上のお姉さんなんですよね。同い歳、かつグループ最年少である2人の「おれたちがかんがえたさいきょうのセクシーあらみな」で、これが出てくるって、少なからずあの2人に“歳上のお姉さんにかわいい歳下として愛でられている自覚”がないと起こりえないことだと思うんですよ。私自身、例外でなく“そう”なので、よ、よくわかってんじゃん……? と震えました。自分がどう見られているか、どう扱われているかの理解が深いアイドル/アーティスト、た〜〜〜まらん。

似てるけど似てないふたり

 まだ曲本編語りに入れなくてすみません。
 この2人って1日違いの双子ちゃんですし、もちろんこの歌を“2人”と“you(あなた)”の物語であると解釈することも、できます。できますというか、出来るんだと思います。ただ、私はこの2人に振られている歌詞のスタンスと2人の声色から、この歌って“佐藤新さんとあなた”、“松井奏さんとあなた”それぞれの物語が交差してるような印象を受けました。似た状況に置かれた2人の男がどう彼女に狂わされていくのか、といいますか。傲慢にもヒロインの立場に感情移入させていただいて聴くとすれば、あらみなに挟まれている感じというイメージは浮かばないんですよね。それは単純に、歌詞と音だけでこの曲を受け取るには私自身が“佐藤新”、“松井奏”という人間を知っているような気になりすぎているからかもしれませんが。

 というわけで、このnoteでは2人の男の2つの物語としてこの曲を噛み砕いて楽しもうと思います。


Verse1:状況と感情、佐藤新さん編

 まずは佐藤新さんのパートから。

Mirror mirror mirror
ほら答えてよ Best of smiles
甘い言葉で Replay

 初視聴の時、開始7秒で止めたのは私です。はい。なんて声を出すんだ。佐藤新さんって割と、7人だと中〜高音を担当していることが多いので(音域的にもそうですが、それ以上に低音を強調するような声色は鈴木さんとかに任せているような印象があります)「聞きたい」という気持ちはあったけれどそんなに供給されてはいなかった、“バチバチ雄モードあらたさん”トーンすぎてひっくり返ってしまいました。はい。ドツボでしかないですね。ありがとう。本当に話が進みませんねこの人のnoteは。

 「Mirror mirror mirror」といえば、誰もが知っているお決まりのフレーズ。「鏡よ鏡よ鏡さん、世界で一番美しいのは誰?」白雪姫に登場する女王様の台詞ですね。実際の台詞は、こうです。

Magic Mirror on the wall,
who is the fairest one of all?

『Snow White and the Seven Dwarfs』(1937)

 「ほら答えてよ」という強気な問いかけも、おっと……? となるポイントではあるんですが、私が注目したいのはその後の「Best of smiles」です。こんな、強気でオラオラしておきながら、問い掛けるものは“いちばんの笑顔”なんですよ。美しさ、という抽象的で広義の概念ではなく、ピンポイントで“笑顔”なんです。も〜う、それって、「あなたの笑顔が好き」って言ってるじゃないですか……。

何回見とれたって 見とれ足りなくて
外してもそらしても Find out

 もう絶対笑顔に見とれてるじゃん〜😭
 あ、やばいまた見てた、となって意図的に視線を外したり、目が合いそうでそらしてみたり、何度も何度もそうしているのにまたあなたが笑っているとついつい見とれてしまうんですよね。激重の愛を常日頃から公言している佐藤新さんの声でこんなことを言われてしまうとですね、「だいすき」を丁寧に噛み締められていて、こう、だいすきになってしまいますよね。

3,2,1 また恋をした

 この後の松井奏さんパートで言おうと思ってるんですが、松井奏さんが“あなた”に対して少々苛立っている(感情の行き場を失って)に対して、佐藤新さんは「なんかもうめっちゃ振り回されてるけど、ああ、うん、好きだな」みたいなスタンスなのがまたたまらねえんですよね。この曲のあらみな、2人で作戦会議兼進捗報告してても全然佐藤さんが話聞いてなさそうで可愛い。これは欲目です。

 佐藤新さんの激重愛という事前情報があって、かつそれを音とミックスしての解釈ですが、「とにかく周りがなんと言おうと、あなたが何を考えていようと、俺はあなたが好き」を改めて捉え直して述べる真っ直ぐさというか、真っ直ぐな重たさだなあと。この時点でこの曲、もう大好き。


Verse1:状況と感情、松井奏さん編

 さて、それでは一方松井奏さんは。

Oh my god Oh my god
さあ全部忘れてこっちおいでよ
Hurry up Hurry up
いま Kiss しとかなきゃ後悔するよ

 ン〜〜〜〜〜びっくりするほどけしからん。押せ押せ歳下わんこの松井奏さんすぎません? 私の夢なのか公式なのか本格的にわからなくなってきましたね。「さあ全部忘れて」のあたりからして、松井さんサイドは“明確に認識できる第三者の存在”があるんですよね。ここが佐藤さんサイドとの大きな違いかなって。
 で、「いまKissしとかなきゃ後悔するよ」と急かすの、やばくないですか? やばいですね。強気にぐいぐい押してるに見せかけて、これってめちゃくちゃな不安からきてる強がりワードさんじゃないですか。“あなたを手に入れたい男”と“歳下のおとこのこ”の両側面がぐちゃぐちゃに混じりあって自分でもどうしようもなくなってて、かわいいですね。

きっと強がってるんだと知っていて
笑ってるんでしょ ずるいね

 とかなんとか言ってたら松井さん、ぜ〜んぜん強がってる自覚あってにこにこになりました。しかも、あなたがそれに気付いてるんだろうなっていうとこまで分かってた。「笑ってるんでしょ」の不安定な半音のメロディーが揺れる情緒を色濃くしていて、ここ、大好きポイントです💮 正直、松井奏さんみたいなずるい歳下くんに「ずるいね」って言われるの、ド理想のド癖なおねえさんたち、いっぱいいるんじゃないのォ〜⁉️(cv.○山) おねえさんたち、そこに並んでください。私と握手しましょう。

 松井さんは第三者の存在がより明確なぶん、“振り向いてくれないあなた”、“恋路の邪魔をするあいつ”、そして“あなたに意識してもらえない俺”に苛立ちを覚えている、「くやしい」が濃くて、これまた個性だなと思いました。松井奏さんの嫉妬しい(横原さん情報)がめちゃくちゃ活きてる。この生々しさがすごいアワード2024にノミネートです。


Bridge1:こんな綺麗な“承”があるか

 Verse1がそれぞれの前提を提示してくる“起”だとすると、こんなに綺麗な“承”ってない。というかこの歌、本当に起承転結が綺麗。

光と影 隣り合わせ
あなたには見えないの?

 まず松井奏さんなんですが、これ、私は“あなたと俺”の話かなあと思っています。光があれば影がある、それくらい、俺たちはそばに居るのに。運命なのに。あなたはそうは思ってないの? って。そう思ってほしいしそう思いたい松井奏さん、かわいいですね。

高嶺の花がひらりひらり舞う
このままじゃ届かない

 そして佐藤新さんです。あなたのことを「高嶺の花」と評するベタ惚れ具合と、「このままじゃ」から垣間見える“この人を手に入れるために変化を厭わない”という、限りなく自己満足な献身への決意といいますか。そういうの大好きだ……って最悪のハンスになってしまいました。ここの歌声の「まま」の部分の歌い方がめっちゃツボ。あと、「ひらりひらり」なんてすごく繊細なこと言ってるのに音がめちゃくちゃ強くて好き。

 そして、はい。こちらですよ。

「帰らなきゃダメ?」

松井奏さん

 \イイヨ〜‼️/\帰らないで〜‼️/
 歳下わんこ(※松井奏さんのことを大型犬だと思っているのがバレる発言)のあざとくて、ずるくて、でもすごく切実さを含んでいるこの言葉、ねえ……? 松井担の皆様、大丈夫ですか? 私は大丈夫じゃなかったです。


Verse2:ここ、1番しんどいかも

 良すぎてタイトルがカスですみません。先述でいう“転”にあたる部分ですね。
 あらみなの2人って声が似てるけど似てないと思っていて、特にここのパートは2人の対比が際立つ部分じゃないかなと私は感じました。

肩越しに寄せる想い
ふっと香る他人の匂い

 これ、ここ、本当に歌割りが“才”だなと思いました。言葉だけ見たら、より横恋慕を感じさせるのは後者だと思うんですよね。でもそれを奏くんではなく新くんに振るところ、「あ、この人も第三者とか気にするんだ……」みたいな、「第三者の存在に気付いていながらも“それはそれとして俺この人のこと本当に好きだ”なんだ……!?」の気付きがあるというか。重い重いとは思ってましたが本当に重くて良い。で松井さんはって目を向けると「肩越しに」なわけで。あのでけ〜松井奏さんが女の子の肩に顔寄せて縮こまってる構図、どの角度から見ても良すぎませんか? 360度アングルで見たいです。あ、これが「どこから見てもPerfect」ってやつですか? なるほどね。

下手くそな澄まし顔
聞こえそうなほどの鼓動

 澄まし顔をしてるけど全然ドキドキしててかわいい。平気な顔ができてるかどうかも不安になるくらい心臓がうるさい、という自覚があるの最高ですね。大好きじゃん。大好きなんだ……。(噛み締め)ちなみに私はここのパート、押し倒したアングルだと思っています(最低自己申告)

譲れない
離さない

こ れ な ん で す よ。
2人の感情を最も簡潔に述べると、ここのパートになると思っています。松井さんは「譲りたくない」し、佐藤さんは「離したくない」んですよ。感情でいう主題はここかなって。
 そんでもって、ここは2人の音の対比を個人的に最も感じたところでもあります。松井奏さんの「譲れない」は、例えるならキャラメリゼみたいな、甘くてかたくてざらざらした舌触りの音。息の比率が多めでありながら多すぎず、絶妙なんですよ。対する佐藤新さんは、佐藤新さんらしい1音ずつはっきり音を置いていくニュアンスを残しつつ甘さと柔らかさを纏わせているんですよ。例えると……例えると……なんだ? 適切な比喩があったら教えてください。近いのはギモーヴ。個人的にはしっくりきていないので太字にはしないでおきます。(逃げ)

嵐の前の静けさ

 黙る男って、えっちですよね。

もっと
近く
もっと
深く

 ここで頭を抱えなかった方はあらみな担介護の才能があるので、是非とも有明アリーナではあらみな担の手を握っていてあげてください。私の手も握ってください。たすけてください。
ポケット〇ンスター 抽象の佐藤/具体の松井、これ嫌いなオタクいない。なんだかこの一連は、黒に黄色とピンクを交互に塗りたくっていくような印象です。音も左右に振られてますし。
 たぶんその後のあれはリップ音なんだと思うんですが、合ってますかね? 当方、散々人のリップ音を聞いて生きていた時代があるんですが(なに?)、この2人は全然生々しい音じゃなくて大好きになっちゃいました。とかなんとか言っていますが普通に演出が怖いです。泣きそう。かっこいいことしないで。嘘。いっぱいして。


Bridge2:ぜんぜん、こっちの台詞でむり

 ハァ〜〜〜ここまで辿り着いてしまいました……。

呑み込まれていくのは誰?
揺らめく瞳の中

 この眼がすごいアワード3年連続制覇中の佐藤新さんにいま瞳の話させました? ッカァ〜。
 うっとり、うっそり、それでもじわじわと高まるような緩やかな登り坂をつくりながら歌われるこのフレーズ、だめですね。「呑み込まれていくのは誰?」で、この想いに呑み込まれ溶けていくのは果たして僕なのか君なのかと提示してくるの、ずる〜い。ここの新くんは“あなた”の瞳の中にも自分に似た感情のゆらぎがあるんじゃないかと見つけて、勝手に偏愛モードからあなたを手に入れたい攻めようモードに切り替わるんですよね。

苦しいほどに募り募っていく
それだけじゃ届かない

 ここ〜!!! ここ、すごい。じたばたと片恋に悩み続けていた松井さんが一段ギアを踏み込んで、想っているだけでは奪えない、もうなりふり構ってなんかいられない、とスイッチが入るような。ここの松井さん、この曲全体を通して一番歌い方がクリアな気がして、覚悟を感じてしまい、頭を抱えてしまいました。大好きでしょこんなんさあ。

 で。です。はい。

「一緒にいかない?」

佐藤新さん………………

 泣いちゃった。わたしが。まさか佐藤新さんのこんな激重ボイスがくるなんて思わないじゃないですか。世界ってすごい。地球ってなに?

 ここ、この台詞、私はダブルミーニングだと思っています。ひとつはまあ、皆様お分かりだと思うので省きます。もうひとつは、このあとにタイトルである「Go crazy…」と続くところから、「ねえ、あなたもはやく、俺と同じところまで堕ちてきて(俺のことが好きで好きでたまらなくておかしくなって)」という……あの…………(激重愛大好きマン)なんか全然もうとっくにおかしくなってるのにそんなこと言う? って理不尽ヒロイン顔しました。泣きながら告白とかしたら伝わりますかね? 逆になんか、私があなたのことどれほど好きでたまらなくてしんじゃいそうだかわかってないくせに? みたいなマインドになりません? つまり何が言いたいかというと、しんどい。Go Crazyは全然こっちの台詞で、しんどい。責任取ってほしい。責任取って一生私の思想をぶつけられてほしい。👈最悪


Chorus&Outro:“素直”って、すごい

 ここまで手練手管で感情表現をしていた2人が、突然ユニゾンターンに入るの、ずるいですよね。

大人ぶっていられない 迷わず Take your hands
すべて手に入れたい I don't wanna give up yet

 ここ、“yet”なのがとってもいい。ここまで素直になってそう言うってことは、本当は心が折れてしまいそうな不安も心中にあるってことじゃないですか。かわいいね……。

ねえもういいでしょ 僕を選んでよ

 本音の中でも最も本音のここ。全然手とか取りたくなっちゃいませんか? 私はなりました。

生意気だと言われたって Hold you tight

 銀河中のおねえさんが待ってたよこのスタンス。ねえ。大好きじゃんって。しかもここ、「生意気」というフレーズの時に松井さんの声が声質的にちょっと強く出るのがたまらないですね。

目が覚めたら Who is next to you?
見上げれば嘘みたいなBlue
Ah ah ありふれたセリフを今日もつぶやいた

 Bridge1・2で「Vroom…」と歌わせたところに最後の最後「Blue」をかけてくるセンス〜!!!だいすき〜!!!!!!
 そしてOutro史上最もけしからん対比が松井さん→佐藤さんが連続で歌う「Go crazy…」ですよ。発音の違い、噛み締めた。私の巻き戻して聞きがちポイントです。


まとまってないまとめ

 リリースしてすぐに書き始めたはずなんですが、気付いたら有明前日でびっくらこいております。明日この曲に初対面したらぜ〜〜〜ったいに印象が変わると思うので、それも含めてたまらなく楽しみですね。ユニットソングに狂える人生、た〜のし〜‼️

 というわけで、ここまで書き散らしをご覧いただいたあなた! 本当にありがとうございました。世界配信も決まったことですし、みんなで有明、楽しもうね〜!


追伸

 佐藤新くん、好きだ。(佐藤新くんがめちゃくちゃ好きな時の好きだ)

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