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石のような自由

家主 LIVE TOUR 2024

仙台の対バン相手はPOLYSICS、なんとも意外な組み合わせ。
POLYSICSは学生時代フェスで何度か見ていてライブハウスで見たのはPOLYONSENという清水音泉の3マン、THE BACK HORNとチャットモンチーというこれまた不思議な組み合わせだった。
がっつり聴いていたわけじゃないけど振り付け的なものも覚えてるもので、ポリ初見が9割超えほどだったけど、彼らの素晴らしいライブと前方に集まったポリファンの熱狂と跳躍力は凄まじかった。

家主『石のような自由』が昨年リリースされてから、すーっと生活の中に染み渡りそれでいて核心を突いてくる音や言葉の数々、言っていることがわかりすぎるというか深く頷くような気持ちで繰り返し聴いていた。時に息抜きに、時に自分を励ますように。誰もが抱く、例えば悄然、そういう何とも言い表せない気持ちや何気ないけど愛しい瞬間、しかもそれを情緒的というよりはどこか冷静に見つめている感じがする。だけど絶対に揺るがないもの。

そんなこんなで涙なしでは観られないなと思っていたけど、そんな日常の澱みなんてすっかり忘れてしまうのが家主のライブ。晴れやかな気持ちで真っ直ぐにステージに目や耳を傾け、時に拳を上げずにはいられなくなる。
楽曲や演奏はもちろん言、バンドの空気が心地好い。それがまさに「部会」の空気なのかもしれないけど、ちょっとそこに混ぜてもらっているような感覚になる。例えばオープンエンドでコードを間違い止まったときの茶化しや、最後の「今日はひとりでいようね」の歌い出しで谷江さんと田中さんがビールを飲んで“いい歌を歌うよなあ“と言わんばかりに顔を見合わせるところ。

オープンエンド前、ギターとベースを交換

それぞれが曲を作り歌うというのがバンドらしい。ヤコブさんの曲はまさに頷きが多く、田中さんの真っ直ぐな歌を真っ正面で受け取る。ステージ中央で自由に飲んで踊る谷江さんも歌うときには真剣な表情でその緩急が面白く、口ずさみながら叩く岡本さんのドラムも良い。絶対に全員いい人だなと、のんきなことを思ってしまう。それでいてぐっと刺さる歌や演奏がずっと続き、こんな幸せな時間はないなぁと噛み締め口ずさむ。

家主の曲は生活に混ざっているようで、絶対に社会には馴染んでたまるかみたいな精神があると思っていて、普段はあまり見せないようにしているとがった部分(それをとがりと言うか核と言うべきか)をライブでは全部開け放す。というよりシンプルに演奏が良いからあれこれ考える暇がない。

家主がますます好きになったし、この街にこんなにも同胞がいるということが嬉しくもあった。普段どこに隠れてるんですか。

曲の解釈は自由だと思っているけど、インタビューを読むと気付いていなかった魅力を知れるので好き。そして、ライターの方の選ぶ言葉や進行によって印象が変わってしまうから繊細で凄い技だなと思う。

行きたいとこへ 行きたいだけさ

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