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【ネタバレあり】白昼夢の青写真について語りたすぎるので、緒乃ワサビさんとミスターフジノ(藤野真人)さんの語り尽くす会の動画に勝手にコメントを付け加えていく記事

『白昼夢の青写真』科学考証・企画協力のミスターフジノと語り尽くす会
https://www.youtube.com/watch?v=0CVpis2m9v4

はじめに

一つのコンテンツに関してこんなに色々言いたくなるのは久々だなぁ~。
まさか5時間の動画をメモ取りながら見て、2周する羽目になるとは思わなかったね。
結果7500文字ぐらいの超長文になったけどスッキリした。

相変わらずネタバレ満載なので、プレイ前の人はまずプレイして欲しい。あえて読んで興味をそそられたらプレイしてみてもいいけど責任は取らないよ。

00:10:20~ ムービー(動画)の持つ力

これはある。OPとかティザーで興味を持ったら手を出しやすい。
ただ、変にうがった印象を植え付けるリスクもあるな~と思っている。
自分は、今回は正直OPもティザーも体験版も、公式サイトすら見ずに何も調べないまま始めて、それが結果として大きなインパクトに繋がったところもあるので難しいところだよね。


00:11:44~ 没個性になる恐怖

基本的に人と同じことをやる方が楽という人が多いと思う。
比べられる恐怖・並べられる恐怖も理解できるけど、そこで突出してはみ出していけるのは一つの個性(特性?)だと思う。

自分らしさって何だという問いと同じかな~。
ワサビさんは「有利な土俵を作りたい」=「モテること」と言って、恋愛市場における市場価値を問いてたけど、結局人間としてそこに自分がいていいと思える価値観をどこかで得たいんだろうなぁ、とか。


00:20:20~ シナリオ作りについて

ワサビさん "解像度低めの全体図を書いて細部を詰めていくという方法を今回はとった"
フジノさん "積み木を積み上げていくようなアプローチもあるんじゃない?"

仕事のやり方とかもそうで、プロジェクト全体のアウトラインが見えてる方が仕事がしやすいというタイプと、自分がやることだけ見えてる方がやりやすいってタイプがある。
「ある程度結末を決めたほうが自由に書ける」というのには同意。

商業作品だから、お金を稼ぐのが目的なのか、作り手がそれを作りたいから作るのか。
作品を作る上で外的要因が作品全体に影響を与えてるのは面白い感覚だった。
言われてみれば当たり前のことだけど、大事な視点だよなぁ。
プロジェクトマネージャがステークホルダーの意向をきちんと理解・反映させていくのと同じなんだね。

フジノさん "テーマが決まった時点で勝負がついてる"

ってのは言い得て妙。コンテンツ強度とも言い換えられそう。


00:37:00~ サントラパッケージちら見せ

すごく良い。
いろんな絵を飾りたいのでこの絵も欲しいなぁ。


00:37:35~ 世凪の能力をなぜ分解しなかったのか

海斗達の置かれた状況なら応用に向かうのは自然だと思う。時間もなかったしね。

物語なのでご都合主義って言われたらそれまでなんだけど、
フジノさんの「原理追求グループがあってもよかった・描写を入れておくべきだろう」って反省はすごく良い

人間って何だとか、魂って何だっていうのは、結局その人が起こす行動(アウトプット)でしか判断できないっていう、この『白昼夢の青写真』っていう作品全体での問いに迫る質問だったように感じる。


00:43:25~ 最後の世凪とは何か

公式見解は出さなくていいと思うし、そこを論じるのがこの作品の楽しさだと思っている。
ただ個人的にはワサビさん"個人の"意見を聞いてみたくはあるので、是非居酒屋とかで呑みながら喋りたい。

「ジャンル分けするなら解釈ゲー」とワサビさんが言うように、この作品に限らず、人は何かを見たいように見るし解釈したいように解釈する生き物。
生また境遇や育ってきた環境、得てきた知識・経験など、何かの刺激を受けてその人が形成され、そしてその人が刺激を受けて、反応して始めて観測できる的な。

他人は自分を映す鏡とよく言うけど、自分は人間自身がレンズなんだと思ってる。

x + y = z で、 y は y を通した z を見てしか x を観測できない、的な。
xはインプット、yは自分、zはアウトプット(気持ち・感情・行動)

それを踏まえて見ると、あの世凪は海斗の見たかった世凪であって、それ以上でもそれ以下でもなさそうだなと思ってる。


00:45:58~ ラプラシアン的には明かさないほうがメリットがある

ワサビさんがラプラシアンファン同士の繋がりが次の金を生むって明言してるけど、それはそう。MMOとかソシャゲの売り方と同じだよね~。
最近のソシャゲはそれを蔑ろにしてる気はするけどw

そういう意味で、今作の問題提起の仕方は大成功だと思う。

あとはもっと世間に知られる形、広報はもっともっと頑張らないといけないとは思うので、そこに金を使って広めていく努力をしないと、終わってしまうな危機感がある。

今の世の中だと、コアになってるインフルエンサー的な人に個別にカスタマイズした体験版を提供してプレイしてもらうのがいいのかなぁ~。
SNSからの口コミはやはり限界があるので、ハブとなってる人に投げて一気に伝播させたいですね。

限られたリソース(金・人・時間)を使っていかに広めていくことができるか。
そして、『白昼夢の青写真』を知った人が実際に手にとってプレイしてもらいやすくするためにも、全年齢版や漫画・アニメ・小説などなど幅広く展開してあるほうが良いとは思うけど、ただこのプレイフィールはエロも込みのビジュアルノベル形式でしか得難いものだなぁと感じているので難しいところ。

似たような感情を引き起こすには、アニメ映画が一番なのかなぁと思ったりはしている。お金のことはシラナイ。
(CASE-1~3+CASE-0冒頭(追憶編)で引いて、間髪入れず最終章&エピローグの2本立てかな?)

そういう意味でラプラシアン(エロゲ会社)の収益のメインって何なんだろう。ゲーム本体の売上? 関連グッズの売上?

いずれにせよ、コアなファンを作り出すことが出来ればクラウドファンディングでもなんでもして、次回作以降に期待がもてるので、頑張ってほしいですね。


00:49:51~ 記憶をなくしたワサビさんがプレイして欲しい

謎の完全解釈一致を起こした結果、運が悪いと自殺しそうだなと思ったけど、「悔しい・もっと良いものを作りたい」って反応は嬉しい。


00:54:25~ CASE-0が好きな人にオススメの作品

CASE-0の何が好きなのかによって変わってきそうだけど、概念的にはエヴァが近いよなって感じ。

『白昼夢の青写真』は記憶に対してアプローチして世界(世凪)を救う物語。
その中で、自己(自分から見た自分)って何?を考えさせるっていう構造。

コメントのさとうさんが書いてる通り、この作品は哲学なんだよね。

"考察ゲーは科学だけど、解釈ゲーは何となく哲学的な雰囲気"

個人的に挙げるなら、SF要素が好きなら『インターステラー』『攻殻機動隊』あたり?
哲学的要素なら『素晴らしき日々』あたりかなぁ。


01:03:10~ 最後の世凪とは何か その2(タルトさん)

本物・偽物って難しいよね。
フジノさんが言う「あのときの世凪に世凪自身の自意識があったのか」っていう問いになってくるんだけど。
自意識に関する話は結局結論が出せないので、みんなそれぞれ解釈してそれぞれ咀嚼して飲み込むしかないんだけど。

"世凪を絶望に突き落としたのは果たして遊馬か"
"今の私は偽物だよなって思わせたのは海斗である"

そもそも本当に世凪は絶望したのか? 世凪の尊厳とは?
外科的なところに注目しがちで論点がぶれてるのは同意。

自分にはおばあちゃんがいて、死ぬ前は認知症で言葉も忘れていってまともに会話も成り立たない状態だったけど、ゲームの中の世凪はそれに近い状態だったんだと思う。

結局自分のおばあちゃんは最後は「ありがとうね」「ごめんね」「きれいやね」っていう3語しか喋れなくなってたけど、それがおばあちゃんの80年の人生で得たものの結晶だったのかなって感じて、だからそういうものが残せる人生を送りたいとは思う。

"作品を受け取った人たちには世凪のことも海斗のことも自分の好きなように見る権利がある"
"その先ってお墨付きをもらうことにしかならない"

まさにそのとおり。


01:17:40~ ワサビ先生の名言

"たまに思い出して欲しいのは、世凪も海斗も実在しないからね"
"現実世界で踏ん張って生きていくのが美徳であるなら、いつまでも世凪や海斗のことを考えていてはダメ"

これだよな~。
個人的にはぶっちゃけいつ死んでもいいやぐらいの死生観だけど、現実世界で得られる楽しみも何だかんだまだまだあるからかろうじて生きてるって感じだけど、そういう形で生きる意味ってのをみんな考えておかないとダメだよね~。


01:38:00~ 具現化した世凪のイメージについて

これはもう神の認識と同じだよね。
キリスト教の人に神の姿を想像してと言って出てくるイメージは千差万別だと思うけど、共通認識の神として認識されるみたいな。
あとでワサビさんが同じ話をしてる。


01:46:20~ 幕間の世凪について

神代さんの演技がものすごくうまいなと感じた。
記憶の追体験だけで人格が戻るなら、アルツハイマーや解離性同一性障害に対しても何らかの解答は得られてそうだし、そういう意味でも自己を形成するものって記憶だけじゃないんだなってのがよく分かる話。

ワサビさんの言うように、

"もうちょっと人間的になると思ってた"
"海斗も同じ衝撃を受けたはず"

ってことなんだね。


01:52:00~ ビジュアルノベル特有の没入感について

"ユーザ側のみにあると思ってたら、制作過程で起こりうるのは興味深い"

このゲームって、シナリオ・サウンド・ビジュアル・エフェクト・演者、どれか一つでも欠けてたら、最後に受けるイメージは全然違ったものになっただろうな。


01:59:50~ 世凪の救いとは何か

幸せの定義・安楽死の是非と同じだよね。
行動を選択するときに自分自身の思いがあるかどうかが大事という話。
個人的にism(イズム)って言葉が好きなんだけど、世凪も海斗も遊馬もそれぞれのイズムに則って行動しているわけで、それが救いになったのかどうかってのは結局本人たちにしか分からないという話。思考放棄って言われたらそれまでだけど。


02:04:30~ 世凪を好きになれない

気持ちは分かる。
中層に上がれることになったとき、もっと喜んで貰えると思ったのに、それを拒否されたときに「何だこいつ」とは自分も思った。

でもこれは若い頃(20代)のあるあるだと思うんだけど、ワサビさんの言う"自己満足の慮り合い"って言葉がすごくいいね。
若い頃って他人から嫌われることを極度に恐れるけど、実はそこまで怖くないんだよ的な。
これは現代社会の、特に日本社会の構造上の問題な気はしてる。周りに合わせることを極度に求められるので。

あとここ、海斗が童貞過ぎるのが問題な気もしてるんだよな。
ワサビさんが「彼女に母性求めがち問題(KaaM:Kanojo as a Mother)」って言ってるけどまさにそれで、海斗が他にいろんな人との出会いと別れを経験していて、精神的独立をしていれば、世凪が打ち明けることができたと思うし、受け止めることもできたと思う。

ただ、あの時代・あの空間で、この情操感を得られるかって問題だよね。
あの時代の男、特に下層民は、精神的に幼い人が多い気がする。娯楽も少ないだろうし。

そういう意味では、女の人って子供の頃からどこか達観してるけど、これがまさに遺伝子レベルでのいわゆる母性なのかなぁ。


02:12:08~ うんこ漏らしたあとのパンツを奥さんが洗ってくれた話

本当にいい奥さんだよな~w これが愛なのか?w


02:17:04~ 世凪のキャラクターが立っていない

良くも悪くも世凪って普通の女の子なんだよね。だから自分はすごく好きなんだけど。
なのでもっとグッズ出してください。
あとでワサビさんが語るけど、エロゲのセンターには据えづらい人物像だよね~。


02:28:25~ 遊馬というキャラについて

正義の逆もまた正義をまさに体現している。
後でまた語るけど、本当にいいキャラ。
スピンオフで遊馬アフターがあったら是非プレイしたい。


02:29:50~ 御影先生からの影響

御影さんがライターに必要だと思ってる要素をぶわっと書いて出してくれたっていうけど、これすごく読みたいよなぁ。御影さんとワサビさんの対談是非出して欲しい。

・書店のどの本にも書いてない
・当たり前のことを当たり前にやる
ってあるけど、そういうマインドセットってすごく大事。

フジノさんが「社会人になってから師匠と呼べる人との出会いって普通ない」って言われてるけど、まさにそう。サラリーマンとかだと尊敬する上司とかに巡り会えるのって本当に難しいんじゃないか。
クリエイターとかだと影響を受けた作品や人物が明確にあって、目標にしやすいとは思うんだけどどうなんだろうか?

個人的にはどんな人間にも良いところがあると思っていて、だからいろんな人間の良いところを集めるようなマインドで生活してるけど、なかなか難しいよね。

"この人は何か持ってるって感づいたら恥も外聞もなく飛び込む"

自分も今の会社に入ったときに、「分からないことは何でも聞いてくれ」って言ってくれる人がいたから救われたけど、飛び込んでいける・吸収していけるってのは大事だと思う。


02:44:30~ 天才とは

フジノさんの天才エピソードすごく面白かった。
あわせて、フジノ自身のことをこういう風に認識しているんだなーってのが分かって興味深かった。

"天才という人間を見たときにそいつがなぜ天才であるのか分からないのが大半だと思っていて、ただその人の天才性を語る語り部としての能力を持っていてよかったと思った"

フジノさんは分野が違えば誰でもそうって言うけど、まさにそれで、大なり小なりの問題で、自分にとって大きすぎるものを天才って単語でくくって、言い方は悪いけど思考停止してる人が大半な気はする。


02:57:30~ 天才への憧れ

自分は没個性との対比だと思ってる。

ワサビさんは「資本主義社会だから」と一刀両断したけど、天才だからといってお金を稼げるかというとイコールそうではなくて、それに必要なのは天才の天才性を適切に表現し、お金を生み出す仕組みに変えていける人だけだと思うんだよな。

『ゴッホ 契約の兄弟』で語られてる話と同じ。
もしかしたらそういうのをビジネスの天才っていうのかもしれない。

注目を得て・お金を得て・名誉を得てって、好きなことやって勝てることへの嫉妬なのかな。
Vtuberが雑談だけやって儲けてずるいみたいな。

途中フジノさんが、「夢中になれるものがあるかどうかってそんなに大事か?」と問いかけてるけど、まさにそうで、今の世の中に本当に夢中になれるものがある人ってそんないないと思うわ。そんなものがなくても人生は楽しめる。ベクトルの違いに過ぎないと思う。


03:08:20~ 世凪空間にサイコパスがいたらどうなる?

個人的には世凪空間自体が一種の宗教なので、その価値観に共感できる人しか馴染めない世界だと思うし、異教徒は排除される仕組みになってると思う。勝手に排出されるんじゃね?w
物理的な排除は遊馬がやってるんだろうなぁ~とか。


03:12:30~ CASE-4の構想

無意識が結合された世界でどうその世界を維持するのか。
夢はいつかは覚めますからね。
変に世凪ワールドをこすり続けても寒いだけだから難しいところ。


03:19:30~ 基礎欲求欠乏症

"今の自分でいいやと思った瞬間、人は死ぬのでは"

人間の幸せってなんだっけ?っていう問い。
まさに世凪と海斗の価値観の違いだよな~
日本の大企業のサラリーマンと同じ。死んでる人多い。いわゆる哲学的ゾンビ。


03:31:30~ 肉体からの解放

自分は人間は言葉を介さないほうが究極的にはコミュニケーションを取れると思っていて(共感性)、言葉があるから本当に伝えたいことが伝わらないんじゃと考えているんだけど、それがある意味世凪世界に通じるものがある気がする。

快感神経を直接刺激する未来において物語が不要になるってのは同意。
でもそれって結局電気信号だけの世界だから、幸せって何だっけ?って問いに回帰するよね。


03:55:20~ 世凪はHな子

世凪はHな子!!
そして世凪はワサビ…。…ありだな。


04:20:35~ 渡辺について

自分も渡辺好き。
正直、エロゲで男のセリフで泣いたのは初めてだった。
CASE-1は渡辺の存在でだいぶ救われたよね。


04:31:58~ 里桜アフター

"(里桜が幸せになっていって)他の男性とのロマンスがあるかもしれないじゃないですか。それを遊馬が遊馬研の外から見てるってのをやりたい"

こういう発想できるワサビさんマジでいいよね。すごく人間の真に迫ってる。
でも離婚や死別した後の再婚ってそういうところあるよね。

結局、人類システムの維持(秩序含む)という意味で、ほとんどの国で一夫一婦制が採用されているけど、一夫多妻制/一妻多夫制も、別にいいじゃないかと。女が複数の夫を持っても別にいいじゃない、と思うけどね。


04:35:00~ 他のブランドとの差別化

伝説の一作になったと思う。
ワサビさんの中でそれが得られたっていうのはすごくいいこと。
逆に今後の作品が不安になるけど期待して待ってます。


04:52:02~ 前頭葉切除について

ちょっと前の遊馬に対する議論から聞いて欲しいんだけど、前頭葉切除だけ取り沙汰されて問題視されるけど、これはみんな何で怒ってるのか、気持ちは分かるけど、本質的には分からない。

脳という人間を象徴する器官に対する冒涜感なんだろうな。
死体を傷付けるのを生理的に嫌うのと同じ感覚的な。

そもそも精神外科の否定ってここ最近の話だし、もしかしたら更に時代が進めば脳切除ぐらい当たり前だよね~みたいな世界観が構築されてるかも。プチ整形的なね。
というか脳切除は反対なのに遺伝子操作はOKなんだとか、色々わからなくなるね。


最後の色々

・全年齢版はSteamで出す
・スマホ版も開発している
・英語版と中国語版も出したい
・イラスト集、設定資料集も作りたいが今はサントラ制作に全力
エロゲはちょっとという層にも積極的に布教できるので是非お願いしたいですね


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