スターダスト☆レビュー@FRF'23 (1)

美メロ・笑い・バカテク、初見を巻き込むエンタメの極み

第一部:赤坂泰彦のミリオンナイツからスターダスト☆レビューにハマるまで

スターダスト☆レビューという「バンド名」を知ったのは、ずいぶんと前になる。かつて、「赤坂泰彦のミリオンナイツ」というラジオ番組があり、自分はそのヘビーリスナーだった。このラジオにはたびたびゲストが飛び入りしており、その筆頭がCHAGE&ASKAのチャゲ、そしてスタレビの根本要だった。若かったこともあって、スタレビの音楽に興味を持つ...というよりは、「軽快なトークで盛り上げるひょうきんな人」という認識。とにかく根本の喋りがとんでもなく面白かった、ということだろう。一方で、いつだったか、赤坂泰彦が「理想のオールスターバンドは?」というお題において、シンガーとして「根本要」を挙げていたことは鮮明に覚えている。しかし、中学生ぐらいの自分にとってはスタレビは大人びたバンドで、まだまだ早かった。思い立ってすぐにライブ映像をチェックすることのできる現在ならば、また状況は違ったのかもしれない、などと思うのだ。

時は流れ、パンクを経由し、ラテンやレゲエ、ジャズ、民謡などを様々取り入れたごった煮音楽の魅力に取り憑かれた中で、たまたま、通称ポプコン(ヤマハ・ポピュラーソング・コンサート)の記録映像を見ることとなる。そこで、「ジプシーとアレレのレ」という、サンバのリズム(と少しチンドン風のアレンジ)を取り入れた風変わりな曲を演奏するアマチュアバンドにがっつり持っていかれた。

話は飛ぶが、スタレビがフジロックに出演した同日、フィールド・オブ・ヘブンのトップバッターとして出演していた民謡クルセイダーズ。彼らは、世界の辺境音楽と日本のテイストを見事にミックスしてのけた「完成系」と言っても差し支えない。その雰囲気を、ただの一曲のみであるが、ジプシーとアレレのレが40年以上前に作り上げていたというところに衝撃を受けたのだ。

では、そのジプシーとアレレのレというバンドは現在どこにいて何をしているのか? となるが、ここからは早い。「アレレのレ」こそが現在のスタレビ、つまりは前身にあたるバンドだった。ミリオンナイツリスナーだった過去と現在が、文明の利器を通じて繋がった。

音楽的なアプローチで言えば、スタレビには様々な要素がある。自分は様々なジャンルを聴いて、回り道をしたからなのか、彼らに対する期待は高かった。普段のスタレビがどのようなステージを繰り広げるのかは、いろいろな映像を見てなんとなく知っていたが、フジロックというフェスの限られた時間の中で行われるライブこそ、初見に相応しいとの思いがあった。

それは、90年代当時の音楽探求心からくる行動をなぞるような感覚に近い。音楽が好きかもしれないと思いはじめた当時、何から聴けばよいのか右も左もわからない状態で、とりあえず様々なミュージシャンが参加するコンピレーションアルバムを買っていた。そこから、気に入ったミュージシャンのベスト盤を買った。そしていよいよ、オリジナルのアルバムといった流れで音楽を掘り下げていった。つまりは、様々なミュージシャンが出演するフェスは「仮想コンピレーションアルバム」で、時間に制限のある演者のセットリストは「仮想ベスト盤」だ。果たしてスタレビはベスト盤をどうまとめてくるのだろうか。MCは長いと聞いている。時間内で収まるのか。入り口として、フジロックはこれ以上ない環境だった。

蓋を開けてみたらば、たった1時間でも、スターダスト☆レビューというバンドの魅力が凝縮されており、音楽面のみならず、様々な面で楽しませてくれた。ライブ本編については、また時間ができた時にでも綴ろうと思っている。

(続く)

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