思巡

誰かのことを思いながらプレゼントを選ぶ時間の
流れが遅く感じるのが心地良くて好きだ。

早起きした休日の朝に、パン屋さんへ行く。
自動ドアを抜けると焼きたてパンの良い匂いがして
トレーとトングを手に持ちながら、どのパンを買おうかと、うんうん悩んでいる時間みたいな。

まず顔を思い浮かべて、笑顔、優しいその声、仕草を思い出しながら、その人が好きなものを考える。
これまでの会話から「あれが好きって言ってたな」とか「これなら喜んでくれるかな？」と想像を膨らませる時間は、私だけが出来る過去と未来の対話である。

お店を歩きながら、色々なアイテムに目を留める。選んだ物がその人に対する想いに繋がっていく。
自分が選んだプレゼントでその人がどんな反応をするか、頭の中で描く。
そして、プレゼントを選ぶその過程すべてが、相手への思いやりや愛情を深める時間になる。
特に今回は迷って決めるまでにかなり時間がかかったのだけど、その悩む時間さえも貴重だと思った。

最終的に、心を込めて選んだプレゼントを手に取り、それを包むときのワクワク感は何ものにも代え難いし、その瞬間には、その人への日頃の感謝や愛情も一緒に包んでいるからだと思う。
だからこそ、プレゼントを渡す日、その人の手に届く日が待ち遠しくなる。

大切な人のためにプレゼントを選ぶ時間は、ただの買い物ではない特別な時間だということ。

私は今回初めて「どんな柄の便箋で手紙を書こう」と、プレゼント以外でも悩んだのだ。

普段なら手元にある数ある便箋や葉書の中から
その時の季節や気分にあったデザインを選び、
選んだ便箋や葉書にあわせて
貼り付ける切手のデザインを決めたりする。

今回は数日間、何店舗も見てまわったのだけど
気に入った便箋に出会えなかった。
そこからインターネットの海を泳ぎようやく見つけた便箋を購入し、手紙を書いて夕方に発送した。

追跡番号を見るとまだ登録されていないから
集荷は明日だろう。配達予定日は6月24日
はやく手元に届きますように。