三銃士 0912②

20240912 soiree
内容編

『三銃士』は読んだこともあるし、映画も見たことあるし、2011舞台を母に連れて行ってもらったこともあるし、大方の内容は知っている状態での観劇。
だったけれど本当にゼロから楽しめたし、混乱したし(笑)、たくさん考えたのでひとまず一度見た感想を……


まずわたしの知っている『三銃士』は、1番メジャーな内容の、ダルタニャンが主役のもの、『ダルタニャン物語』だったので、今回アトスに焦点が当てられている作品、ということでわくわくしながら観劇。

時代はルイ13世が王位につき、銃士たちがルイ13世に忠誠を誓う、1600年代パリ
実際のその時代のパリやルイ13世がどんな人だったかが正確に反映されているか、というとそこまで世界史に精通していなかったけれど、その子供にあたるルイ14世の絵画は見たことがあるので、あのあたりの時代だなと検討をつけながら観てました
“朕は国家なり”の人ですよね、14世
作品を読んだ時に必死に勉強した知識をどうにか思い出しています
最終的にはダルタニャン物語ではルイ14世に仕えていたはず……

1600年代パリの市民たち、法の整備がきちんとされていない中で、盗難みたいな小さな犯罪がきっとそこかしこにあったんだろうな、無知で素直なダルタニャン、まんまと引っかかっていて…
観客の(いやそれ騙されるやつでしょ…)ときっと全員が思っていたであろうあの雰囲気が面白かったし、そんなの気づかずにまんまと引っかかるダルタニャンが可愛すぎて、保護案件でした

決闘を申し込んだダルタニャン、脱走犯の疑いにかけられてミレディに捕まりそうになるシーン、
ダルタニャンに賭けられた“銀貨1枚”ってどのくらいの価値なんだ……?と思ったんだけど
当時の通貨単位とその価値って調べてもめちゃくちゃ難しい……

12〜15世紀フランスに流通していた銀貨は
小型銀貨ソルド・ドゥニエと大型銀貨グロ(小型銀貨の4〜60倍の価値)の2種類
グロだったと仮定すると、
小型銀貨(1g=3000円程度)×60倍=18万円
日本の通貨単位が円になったのが明治時代(1870年代)だから一概に換算は不可だけど、その時代の円価値は今の3800倍くらい。
18万×3800=6億8400万_________?
(1番高く見積もってだけど)
小型銀貨だったと仮定して1番安く見積もったとして、
3000円×3800=1140万_________

いやまって、とんでもない金額だった、
そんな大金を投げるなミレディよ。

(余談)
銀貨について調べてる時に見つけたけれど、
その時代の銀貨はコレクションしている人の間では結構人気で、銀貨に描かれている人物によって価値が変わるみたい。
ルイ13世、14世は結構人気らしい、面白い


そのあと決闘をしようとしてた三銃士とダルタニャンをジュサックが逮捕しに来るわけだけど
その時掲げられてるのが『決闘禁止法』
実際ルイ13世は実際にこの法を出していて、将来的に銃士同士の決闘を禁止、王の警護を銃士が行うのではなく、民間の今で言う警察が行うように変えていった、はず。
ジュサックが悪役として描かれるのでどうしてもジュサックの方に非がある雰囲気になるけれど、実際法に従って動いているだけなので、“いやでも三銃士が悪いじゃんこれは……”と毎回思う場面(笑)
まあその法の制定とか、実質的な政権を握っていたのはリシュリュー卿だったわけで、物語の中ではこの法律すら正しいものだったかどうか、と思わされる訳で、実際の歴史とは少し変わりますよね。

ここでめでたく銃士としての腕を認められるダルタニャン、前の記事にも書いたけど、フェンシングの身体を低く落とした構えがとても印象的で、ダルタニャンの性格と相まって本当によかった
ポルトスの構えをあまり見れていなかった…次こそは必ず。


わたしが実は1番印象に残っていて、好きかも、と思ったシーン、それは“牢獄”のシーンです

2幕開始早々、休憩明けのちょっとぽやぽやした気持ちから一気に物語に戻される、暗くて恐怖を与える舞台空間
曲の一言目、『これは死体をネズミが齧る音』
強烈で恐ろしくて、音もなにも再現してされていないのに一瞬で『ここは地獄だ』と感じさせる気味の悪さ

ここで囚人は“生きたい”“ここから出たい”ではなく『苦しまずに死ねること 終わらせること』を望み、『殺せ!!』と叫ぶ
そこに容赦ない鞭の音が響く

あたかも私がそこに立ち尽くしているような、目撃しているような空気に一瞬で変わったのを感じて、鳥肌が止まりませんでした
同時に、“私の好きな 求めたミュージカルはこういう所だ”と思いました
あの鞭が本当に本物の鞭だと後から知ってもう、脱帽、そこにも注目して次は観劇します


牢獄に連れて来られるコンスタンスが、仮面男を支えながら歌うシーン
サビから囚人たちの声と合わさり、コンスタンスも『殺せ!!』と叫ぶ
物語のヒロイン的立場として、誰かの助けを待つスタンスかと思っていたら全然違った、何の罪でここにいるのか、酷すぎる、いっそのことだったら殺せ、と言えるその女性の強さがすごかった

場面が再び牢獄に戻った時に歌うコンスタンスの曲、
メロディは、ダルタニャンがコンスタンスに一目惚れした際に歌う、『天使だこれこそ ここは天国か』から始まる曲と同じ、ただ歌詞が『ここは地獄ね』に変わり、一夜にして状況が一変した世界を表していて
最終的に助け出された後、船の上で目覚めた時に歌う『これは夢でしょう ここは天国ね』に繋がっていく
ミュージカル全体を通して、キャラクターに合わせ曲が統一されていて、そこにこの時々の心情で歌詞が変化していくのがとても良かったし、特にダルタニャン×コンスタンスで歌われるこの統一されたメロディは、真反対の心情で歌われるから、とても印象的だった

キャラクターごとのメロディといえば、市民たちに当てられている曲『これこそパリ』のメロディが、1幕の酒場でのメロディとしてアレンジされているのも、とても楽しかったな〜〜

曲関係で言えば何よりも、ブライアン・アダムスの『All for love』
母の影響で小さい頃から1970-80年代の洋楽に触れてきた環境だったので、とても楽しみだった部分の一つ
韓国版を探して聞いた時も、かなり鳥肌がたったしこういうアレンジになるのか!と衝撃だったので、日本語訳としてどう当てはめられるのか、すごく楽しみで。
1幕の『俺たちはひとつ』から2幕の『我らはひとつ』にかけての歌詞の変化、心情の変化がある上で唯一変わらない『正義は必ず生きている』根底にある“one for all , all for one”、そしてそれを何重にも重なった演者たちの圧倒的な歌声、全部が素晴らしくて、何も頭に浮かばないまま、ただ涙だけ流していました。
舞台上から何重にも、帯のように連なって客席に降ってくる声、そこに乗ってるそれぞれの想いの重さ、ミュージカルを観劇するといつも圧倒されて潰されて立てなくなりそうで、そしてこれが醍醐味だ!と胸が高ぶる瞬間、本当に大好きだ〜〜


あらすじをしっかりと読まずに行った私が悪いのですが、結構、かなり大混乱したことについて。

まず大前提として、今回の『三銃士』はわたしの知っているノーマル(?)な三銃士ではないということ。
なぜならアトスにメインが置かれているので…これを忘れて臨んで頭の中が崩壊しました(笑)

ノーマルの三銃士内に出てくる、『王妃の首飾り』の話が多分ベースになっていて、そこにダルタニャン物語に最後の方に出てくる、『鉄仮面の男』の話を組み合わせて作られている感じ
まずそこを知らなかったので、“え?!鉄仮面なんで出てきた?!え?!”と1人パニック。
本来は王妃の首飾りを取り返すことが目的に三銃士とダルタニャンがひとつになる話で、コンスタンスは人妻で首飾りを手にしていたことから巻き込まれ、人妻なのにダルタニャンに惚れられる、そんでもってミレディはアトスと恋人じゃないし、なんならダルタニャンも誘惑されてそういう関係になるし、、、
鉄仮面の男は物語の中ではかなり後半に出てきて、ルイ14世の双子の話だし、、、

なのでアトスとミレディの過去にスポットを当てるために作品を組み直していることがわかってから、すごくよくまとまったなあ……と思いました
次は全てきちんと整理した上で臨みます。

(余談)
牢獄のあったサント・マルグリッド島について、今月からフランスに一年滞在する友人と話題になって
実際その島に牢獄があったことは事実、ただ、物語のように環境が劣悪だったなんてことはないみたいで、位の高い人の収容に使われていたそう。
鉄仮面の男も実際存在していたのは知っていて(誰だったのかは諸説ある、ルイ14世の父親違いの弟が有力)、その鉄仮面の男がサント・マルグリッド島に実際に収容されていたそう。すごい。
殺されることなく存在を仮面で隠され、死ぬまで外に出ることを許されなかった男、そんなことが実際にあったなんてすごく興味深い……
今は公園として開放されているみたいなので、4月に行った時に行ってみようかな〜〜


話の内容とか、キャラクターとかに注目して1回目は観劇したので、
次はもっと細かくセットや衣装に注目して観たい!

いったんおしまい。

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