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マインドフル・ボディ・プロジェクト Vol.9 : 理想のボディを手に入れる 〜 『予祝+未来回想』による実現

初めに

マインドフル・ファッション・ジャパン(MFJ)において、僕はボディを担当しています。共に学ぶ仲間とボディの話をしていると、多くの人が、今とは違う理想のボディのイメージを持っていて、できればそれを実現したいと考えています。でも、この「できれば」という意識はなかなかの曲者で、理想実現の障害になってしまいます。ということで今日は、「できれば」を「できた」に変えて、理想のボディを手に入れ、他の目標も実現する僕なりの方法を書いてみようと思います。

実際にあった話

まず、水泳の話からです。2018年7月に開催されたマスターズ水泳アジア大会(@名古屋)の50mバタフライに出場を決めたのが、エントリー締切直前の4月。この大会、なんとしてでも表彰台に上がりメダルを獲得したくなった僕は、そこから3ヶ月間、ルーティーンのトレーニングに加え、あるプログラムに取り組みました。それはレースのゴールタッチの瞬間と表彰式を先取りして、リアルに体感するイメージトレーニング。

未来を先取りしたイメージトレーニング、実は小学生の頃から、誰に教わることもなく、自然にやってたんです。最初の記憶は小学2年生。親にボードゲームを買ってもらいたかった僕は、玩具屋さんの前を通る度に、そのゲームで遊んでワクワクする感覚を味わってました。そして、めでたくゲームを手に入れたことを今でも鮮明に覚えています。

さて話を戻すと、この大会に向けてのイメージ作りはかなり真剣でした。例えば、チーム練習会で行う50mを10本泳ぐインターバルトレーニングでは、1本泳ぐたびにタッチの差で3位入賞した喜びの感情を作り、同時に電光掲示板もイメージします。それは、自分の名前の横に順位の「3」が表示されている映像で、イメージしながら(仲間に気付かれないように)ガッツポーズも作ってました。個人練習の時はプールの端で、レースを終えて3位に入って皆んなに感謝している気持ちをリアルに感じながら水に浮いたり。また、プライベートレッスンをしてくださいっているT橋監督には、大会直前のレッスンの時に、3位入賞のお礼のお菓子を届けました。

この時の僕はなぜか、「タッチの差で3位」という順位を決めてかかっていて、優勝や2位というイメージを持たなかったんです。それはアジア大会なら3位に入れば上出来だし、3位だって難しいという思い込みがあったから。実は、これが大きな落とし穴だったことが本番で証明されてしまいます。

結果、僕は3位に入り表彰台に上がることができました。でも、2位との差は僅か0.02秒。これは50m泳いで3cmの差です。しかもタッチ直前まで2位だったのに最後のタッチでかわされた痛恨のレースでもありました。2位の選手は元々仲が良いライバルで勝ったり負けたりの仲ですが、この時は、2人とも持ちタイムよりもかなり遅い泳ぎだったのに「タッチの差で負けて3位」になりました。

このレースの結果は、イメージトレーニングの素晴らしい効果と、恐ろしい副作用をはっきりと示した例だと思います。イメージしたことはできたけれど、イメージ以上の可能性を自分で失くしてしまった、ということです。今回のnoteでは、このイメージトレーニングについて、理想のボディを手に入れる視点から書いてみようと思います。

そうそう、このレースで優勝した選手はシンガポール人でオリンピックや世界水泳で活躍してこられた方でした。完全に別格の選手ですが、一緒のレースで泳げたことが嬉しかったです。いずれリベンジしようと思いますが・・・・。

2位の山川選手(左)は同学年。
上は最終順位表。


予祝とは

さて、僕のこのアプローチですが、一般には「予祝」と言われています。まだ起きていないことを、既に起きたこととして、先回りしてお祝いをする方法ですね。日本では、田植えの時期に秋の収穫を祝う(祈る)春祭りなどが、予祝の典型だと言われています。簡単にいえば、日本版の「引き寄せの法則」。

予祝のやり方を言葉にすると色々なアプローチがあると思いますが、僕のやり方は次の通りです。

❶ 目標を実現した未来の自分を想像し、その時の自分になりきって、
❷ 実現した時の、感情と情景をできるだけリアルに想起して、
❸ 感謝の心で味わう。

というものです。ポイントは上記❷の、感情と情景の両方を想起することにあると思っています。なぜかはよくわからないのですが、この2つをしっかりできた時の方が、実現の確率が高い気がします。人間にとって、感情と視覚イメージの2つが揃うと、脳と心への影響力が大きいのでしょうか。❸の感謝の心を持つこと、これも大切なポイントになります。


予祝の限界


ところが、この予祝だけでは必ずしも十分ではないというのが僕の意見なんです。それは、例えば、水泳の練習をしていてキツいと思ったり、本番では大丈夫だろうか、と不安に思うことがあります。その時、そのキツいとか不安という現実から離れて、予祝するってなかなかできないんです。だって、実際にはトレーニングをしている最中なのですから。だから、その現実の不安感とかに、どう立ち向かうかという視点が必要になると思ったのです。これが予祝の限界だと考えました。

未来回想とは

そこで僕が行っているもう一つの方法が、「未来回想」というものです。これは僕の造語なのですが、以下の様なアプローチです。

❶ 目標を実現した未来の自分を想像し、その時の自分になりきって(予祝と同じ)、
❷ 今、目の前で起きていることを、未来の自分が回想する(=思い出す)様にして、
❸ 感謝の心で味わう。

ちょっとややこしいですね。言い方を変えると、未来の自分が現在にやってきて、今の自分がやっていることを見る感じです。

水泳の例で言うと、ある大会で優勝した自分が、今、練習している場面を見て、「あの時(つまり今)こういうきつい練習をしたお陰で、3ヶ月後の大会で優勝できたんだな。その時は辛かったけれど、この練習を頑張ってよかった」、という具合です。つまり、目標を達成した未来の自分が現在を回想するので、「未来回想」と名付けています。

予祝は、未来に心を飛ばす(=未来を先取りする)方法なので、現在起きている事象とのリンクは弱くなりますが、未来回想では現在起きている事象と未来のリンクを強くするので、予祝を補強する効果があると考えています。

別の例として、怪我をして落ち込んでいる選手が、大会で優勝することをイメージしろと言っても、辛いものがあります。そういう時には、未来回想が取り組みやすいんです。つまり、未来の自分になって、「あの時(つまり今)は、あんな酷い怪我をして落ち込んでいたなぁ。でも、これを乗り越えて諦めなかったからこそ、優勝できたんだな。あの時諦めなかった自分を褒めよう」、という具合です。予祝よりも、今の辛い自分の状況に寄り添える感じがするし、モチベーションも高くし易いです。

ボディへの応用

では、これらを理想のボディ作りに応用してみましょう。

まずは予祝からです。ボディの場合、そもそもどういうボディを理想とするのかをまず明確にします。サイズ、見た目の印象など、できるだけ多くの観点からやる方が良いです。とにかく、理想のボディのイメージをしっかり作ります。そして、そのボディを実現した時の感情を想起し、同時に、そのボディを鏡に写している自分や、素敵な装いをしている自分を臨場感を持ってイメージします。

次に、未来回想です。ボディでは、未来回想が役に立ちます。例えば、モンブランを食べたくなった時、正攻法としては、「あの時(つまり今・・・ってしつこいですね笑)、モンブランを食べかけたのによく我慢したなぁ。あの頃はまだ誘惑に弱かったけれど、その後は自分をコントロールできるようになって、その結果、このボディになれたんだ」、という風に思い、食べない自分に感謝するんです。

応用編としては、そのモンブランを食べちゃう時です。「あの時、モンブランを食べたけれど、その後は色々とコントロールができたから、理想のボディを獲得できたんだなぁ。あのモンブランを踏み台にして、そこから頑張れたなぁ」、っていう感じで、もうモンブランを肯定してあげてください。大切なのは、何かを食べる時は感謝して食べることだと僕は思っています。罪悪感を持って何かを食べたら、それは身体にマイナスの影響を与える、というのが僕の考え方です。

ではまた。




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