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しまや出版さんの印刷所に行ってきました

同人誌印刷でお世話になっている、しまや出版さん(https://www.shimaya.net)の印刷所見学会に行ってきました。

そもそも同人誌印刷所って?

個人制作の本を製本してくれる。
なんちゃら印刷さんとか、専門のところだと1000部とかからスタートみたいな本も多いですが、小部数にも対応可能です。また、業界では常識でも一般人からすると常識ではないようなこととかに目を配ってくれます。「この特色出ないです」「合計300%超えるのでPP浮くかもしれません」といった語句で会話した経験がない方とかは、同人誌印刷所さんに頼ると、良い感じに提案してくれるのでおすすめです(デスマーチ期を除く)。

印刷工程の復習

印刷所にデータを送ってから本になるまでの大雑把な流れです。

  1. データチェック

  2. 前処理

  3. 印刷

  4. (PP貼り)

  5. (箔押し)

  6. 断裁

  7. ダイカット

  8. 検品

  9. 丁合

  10. バインディングor中綴じ

  11. (3方断裁)

  12. (角丸処理)

  13. (カバーかけ)

  14. 包装

各工程に専用の機械などがあり、取り扱いのプロがいます。手間暇がかかっています。

余談にはなりますが、何か不安なことがあるときは、早めの段階で相談してもらえれば、サポートできるので早めに連絡して欲しいとのことです。初めての入稿でよくわからないときは、自信満々で事故原稿を出すと、みんな幸せにならないので……。逆に、あらかじめ余裕のあるスケジュールが引ければ、「このページの位置合わせ精度を、職人さんの最高レベルで!」みたいな(一見失礼な)要望でも対応してくれたりするとのことなので、こだわりたい方はまずは連絡!

同人誌印刷のここがすごい!

今日のしまや出版見学会で見た範囲です。他社さんはわからないので、気になる方はしまやさんにきいてみてください。

オンデマンド印刷

必要なものを必要なときに必要なだけ印刷する。
コンビニの印刷機の強化版。一般的なYMCKの他に、白、蛍光ピンク、金、銀などといった変わり種の色(特色)を使うことができたり、数段高精細に印刷したり、コンビニ印刷特有のテカリがないなど、機械ごとの特性を加味して機器を選定しているとのこと。

特色だと、インビジブルレッドというものもあり、可視光では透明のインクですが、紫外光を当てると赤色に光るという特徴のインクが紹介してもらえました。これの面白い使い方募集中です。
しまやさんノウハウでインクが擦られているのをわかりにくくする技術も開発されており、開発力を感じました。

ブラックライトを当てると赤く光るインク、「インビジブルレッド」。
左に光らせていない状態が見えます。

オフセット印刷

あらかじめ版を作り、紙に転写していく印刷。版代がかかるので、大部数向き。

トナーではなくインクを使うので、セットするインクの色を変えればYMCK全部印刷しなくても良かったりする。蛍光グリーンと青の2色刷など奇抜な色でも良いかもしれない。

全面箔、リソグラフ

トナーをノリとして箔加工をするコールドホイルや、近年味があるとして人気が出てきているリソグラフも対応可能とのこと。

全面箔。後述の箔押しは120度程度かけるのに対して、コールドホイルなどとも呼ばれる。

レーザーカット

CO2レーザーによるカッティングや刻印が可能。対応可能な材質はちゃんと聞きましょう。

レーザーカット中の画像。光っているところが照射されているあたり。

箔押し

同人誌界隈では「推しは推せる時に推せ」とよく言われますが、箔押しは私の推し加工の1つです。ザラザラしたキラキラは金銀インクで実現できますが、ツルツルしたキラキラなどは箔押しならではの表現です。
お試しで実演してもらったのですが、同じ箇所に2回箔押しをしてもらったところ、素人目にはズレが見られませんでした。すごい精度……。
ただ1枚1枚作業するため非常に時間がかかります。

箔押しの例。

懇親会で聞いたところ、入手可能であればいろんな箔を購入して対応してもらえるとのこと。金属箔ではなく、顔良箔とか色々と楽しみが広がりますね。

PP加工

表面をツルツルテカテカにできるPP加工ですが、個人的には表紙のインクの安定性のためにつけたほうがいいと思う加工。テカテカしないマット加工や和紙調にするPP、ザラザラしたPPなど色々ありました。数学で関孝和の本とかでぜひ和紙感を出してみて欲しい(なお、交渉すれば和綴もやってもらえるかもなので相談してみてください)。
紙が薄いと反ったりなど、人知れずテクニックがかかる工程でもあります。そんなこと知らなかったです。

バインディング

背にノリをつけて表紙と合体させる工程。機械のビートに乗りながら作業が必要です。

断裁

かなり切れ味の良い刃でサクッと切ります。刃交換時に間違って手が触れたら事故なので、注意しないといけません。
機械が全て自動で裁断してくれたりしますが、サイズによっては手作業の裁断機を使う必要もあります。

なお印刷業界だと裁断ではなく断裁らしいです。理由は聞きそびれました。

感想

どんな機械があって、どのように作業してという部分がみれて楽しかったです。これで多少は印刷機の限界にチャレンジするような本の相談ができるようになったかなと思います。普通のライナップになくてもなんとかやってくれるというのは技術力があり理解力のある同人誌印刷所さんしかできないのでこれからも頼りにさせてもらいたいと思います。
夜の懇親会ではモリモリとアイディアの撃ち合いをしたり、楽しい時間を過ごさせていただきました。



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