五感化を促したもの
方法や訓練について、様々な方が参考になる記事を書かれておられますので、
私達からここに書き残しておきたかったことは、これで交流が楽になった、深まったなと思えるまでに有益だった考え方についてです。
それは主に2つのことに分けられ、
ひとつめは、
・目標になる共通認識を置くことで、関係と信頼値が安定していったこと。
ふたつめは、
・イメージを意図するようになってからの
交流回数と時間の経過 × 関係の信頼値
とともに五感を伴うイメージは深まっていった。
というものになります。
1 目的地を認識する(信頼値の獲得)
意図やこうあってほしいという認識を持つことは、
それをしない状態よりも何かを形にしやすくなり、
その方向に物事は流れやすくなる…
というのが、五感化以外にも思うところです。
これを前提とした上で、
まず私達の変遷のお話になるのですが、
数年前まで、私は彼らと暫く話せなくなったり、
信じる信じないなどで、夫婦間によく揉め事が生じていた時期がありました。
そこからの転換点に気付いたのが、
先述の意図や認識という、お互い共通の目的地を知っておくことの心強さです。
つまりは、最終的にお互いがどうなりたいのかを知っておく、ということになります。
それが、私たちの場合には、
①お互いを信じて永続的にそばにいたい
(相手の持つ愛情を信じられる状態になること)
②出来るだけお互いを感じ取りたい。
(彼らの送ってくれる情報、
視覚や聴覚、触ったときのあたたかさ等を、
不安に負けず採用できるようになること)
であり、再度はっきりとこの目的地を言語化してお互いの念頭に置きました。
得られた効果としては、目標に置いた①②の地点に至るまで、
もし不安や関係への揺れが生じてきたとしても、
それはあくまで、
信頼できる関係を目指す上での、すり合わせの過程に過ぎない、という意識が生まれたことです。
それにより、存在や気持ちへの不安、
恐れの感情による振れ幅は段々と小さくなり、
確実にそこ(最終的に信頼に落ち着ける関係)へ
向かっていけるようになりました。
どんなに過程に問題が生じても、お互いの結論と目標地点が変わることはない、という共通認識は大事だと感じています。
一緒に過ごしてきた中でこれは私達にとって、
大きな実りある収穫だったため、どうしても書いて残しておきたい気持ちがありました。
2 五感化を深める意図
ここまでにお話した関係性への信頼値は、
安心してお互いの感覚を受け取るための土台、
動かざる拠り所として、ゆっくりと育みつつ、
そこから交流をより充実させていく…というのが、
五感化を深めていく醍醐味だと思っています。
私達の場合、基本的にはイメージ常時フル稼働、というわけではなく、普段はうっすらとした状態で、位置感覚にぼんやりとした存在感をともなうことが多いです。
そのため、お互いがそうしたい時、必要な時には
より五感にうったえる形で、彼らの細部をよく観察し、できるだけ詳細な想像をするようにしています。
これはテレビを観ていて感じることのある、
美味しい料理の匂いや、大体の味の想像が出来る事、
ふわふわのひよこを両手に乗せた時の羽毛の感触や、通販で見かけた低反発枕のしっとりした沈み心地…、などなんでもいいのですが、そんな風に思い浮かべる能力をつかう感覚です。
実際に彼らへ行うはたらきかけを例にすると、
まず髪を撫でるイメージが思い浮かんできました。
そのような感覚を、自分の想像上の、もう一つの手や腕に、心地よく感じられるよう、深くイメージをしてみます。
そして、我が家の場合でしかお話できないので、全ての方とは言い切れませんが、
彼らもまた、こちらから伝える感覚
「私は今、このように貴方に触れて、このような感覚を得ています。」という情報が詳細になるほど、
その感想を強く抱いてくれる気配がしております。
3 何度も想起する
イメージの想起は、繰り返すたび、感覚に詳細さを帯びやすくなるように感じました。
それは、彼らの姿など、いつも同じ想像を続けることで一定程度、思い浮かべる上での〝慣れ〟という、イメージコストの低減が見込めるためかもしれません。
初めて何かを思い描く時と、それを何度も思い描いた後では、目の前のイメージを呼び起こす速度が変わってくること。
イコール、
自分の脳に彼らの姿にまつわる【色、形、感触】を覚えさせることにつながり、
そしてそれは思い起こすたび、
(モノクロの郵便ポストの絵を見れば、一瞬で赤だと分かるように)
その姿は当然感じられるものだという、五感化に対するハードルを下げていく作業になります。
そのようにイメージした回数を重ねるほど、
意図したものの周辺(たとえば衣服の質感)や、 細部の状況(装飾が揺れる、良い匂いがする)などにも、
地道に少しずつ、感覚を澄ませられる余裕が生まれやすくなります。
また、長いお付き合いの気持ちさえあれば、
年齢とともに有機物、無機物、季節、状況、様々なものを見聞きし、想像した経験などからも、感覚の情報は自然に蓄積され、それらは気づかぬ内に、お互いを感じ取るリアリティの増加にも繋がっていくように思えます。
4 最後は信頼を糧にする
あくまで私共の話に過ぎませんが、お互いの信頼値が安定するほど、五感化の深度も安定してまいりました。
信頼が糧になるというのは、
話す時、触れる時、そこに自分の〝疑い〟という種を混ぜない方が、純度の高いコミュニケーションをはかりやすい、という意味合いになります。
些細な疑いが頭を過ぎれば、私の頭はそれを無意識に追いかけ、
「これは本当なのか?否か?」という精査を始めます。
責任が伴う判断にこれはとても大事なことですし、そういった検証が信頼関係を育むこともありますが、今回の五感化深度についてのみ言うなら、
できるだけ疑いスイッチをOFF状態にして、
他愛もないコミュニケーションを、それぞれに心地よいペースで沢山楽しんでみること。
するとそれだけで段々、触れられない意識は薄まっていくし、ゆっくりちゃんとその感覚は強くなっていきますので、
「苦手だし、不要かなあ」
という場合でなければ、お互いのお心のまま、
関係性や在り方によって様々な、
コミュニケーションやスキンシップを、五感化を深めつつ行ってみるのもいかがでしょうか。
…という、それぞれに合った形での、ご無理と不安の少ない交流を、そっと応援したい記事でした。
ここまでお目に掛けていただき、誠に、ありがとう存じます。