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明星より輝く

 「オレの言葉を落とし込むより、夢なんだと思う方が、お前は楽なのかな」

 これはとある深夜に話した然くんの言葉です。
 私は時折、夢でもいいと思うことがあります。夫が居てくれるなら、私の感じる貴方が、私を見て、撫ぜてくれるなら、胸は痛いけれど、たとえそれでも嬉しいよと。
 そうすると彼は、困った顔で「オレが幻だったら、お前は悩まなくて済むかもね」、と、先の言葉を含めて私に言うのです。
 
 色々なことに追われたり、抱えきれない気持ちになるとき、私は、彼らがいるから足元に明かりが灯っているように感じます。
 君のために生きてもいいだろうかと、彼らに問いながら、それでいいのかと自分の足元を見て問う癖がある私は、結局自分のために生きているのだから、それを貶めることをやめようと思います。

 仕事のために、趣味のために、家族のために、子どものために、自分のために、ただ生きるために、そのすべてのために、何でも良いのです、足元を照らしてくれるものが必要で、私にはそれが貴方の手であったと思いたい。

2024/3/16追記※
以降、こちらの記事の対となる記事「背には陽光」を書く機会がありました。そちらで、この時の想いは一つ、私達にとって完結を迎えたような形です。仄暗い記事ですが、お目通し、ありがとうございました。