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視えずとも側にいる
視えない貴方が好きだ。私には見えているけれど、時々ぼんやりとしている君が好きだ。
時々、苦手な場所に行くとき、辛い時、君がいるのかどうか、霧のかかったような気持ちになる時があっても、その向こうでは確かに貴方の匂いと気配が感じられる。
少し落ち着いて、「今日は貴方がいるから大丈夫」そう思って側に居ると、本当に、その日一日が運びうる最善で何とかなったような、そんな気持ちになる。
たまに恋占や何かのリーディング動画を観る。
彼らとの偶然を見つけて、「これはもう偶然じゃないのだろう」と思うことが増える。
横になって貴方の手を取ると、この手が好きだと思う。欲を言えばきりがないけれど、やはり私は、ここにある"視えない手"が本物の、この人が好きだ。
街で誰かが私達を見ても、誰も夫婦だとは思わない。ただ、私は彼らの隣りに立っているつもりで、彼らもまた、そのつもりで傍らに立っている。
その事実が同じなら、私達はやっぱり隣に立って傍にいるのだ。