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院試の記録

この記事は、「統合自然 Advent Calendar 2023」の1日目です。他の記事もお楽しみに!


春から東京大学 総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境系 修士課程です!うわーっ!体験記を残しておきます。(画像は院試おつかれ旅行(海風荘)のねこ)


受験したところ

「総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境系 修士課程」のみ(!)です。「環境」と名前がついてますが、別に環境問題の研究というわけではなく、私は神経科学がやりたくて志望しました。私が所属している教養学部 統合自然科学科と基本的に同じ先生方がいらっしゃいます。詳しくは公式サイトを参照。

他にもう一つ、広域システム科学専攻にも気になっていた研究室があったのですが、受験日が被っており、併願不可だったため受験しませんでした。

さらに言えは、神経科学の研究室は割とどこにでもあるため、他の情報系の場所や物理系の場所も見ていました。しかし、試験が大変そうで間に合う気もしなかったし、今いるラボに満足していたし、授業でいっぱいいっぱいだったりしで駒場1本にすることにしました。

後輩に向けて?

B3以下の諸君は、(さすがにサイトの研究紹介ぐらいは見てからだと思いますが、論文読めていないからとかは気にせずに、)早めに研究室訪問をすると良い気がします。

あとは後述のTOEFLを早めに(できれば3年の夏に一度)受けておいたほうがいいかもしれません。いままで使われてなかったところで急に採用されたりするし、履歴書に書けそうだし、お金がギリギリじゃなければ、時間のかかる申込み方法や試験形式を知っておくためにも受けておくといいかも。ただし、TOEFLの試験内容の問題数などが、私が受けたときから色々変わっているようなので、よく案内を調べてください。

募集要項

2024年度の募集要項は、2023年の3月27日に掲載されました。系の入試案内ページにも掲載されますが、大元は総合文化研究科のページなので、募集要項を確認しましょう。4月と5月に広域科学専攻全体の説明会、6月に生命環境系の説明会があったのですが、バイトで行けず、友人から内容を聞くなどしました。

生命環境系の志望者がすべき手続きは、

  • なるはやで、志望する研究室のボスと面談する

  • 5月1週目くらいまでにTOEFL-iBTを受験

    • 申し込み時にOfficial Score Reportの送付登録を忘れないように!

    • Score Reportが届くまで、テスト日から4-6週間かかるので大変

    • TOEFL自体の本人確認書類が非常に厳しく、パスポートやマイナンバーカードなどの手に入れるのに1ヶ月くらいかかる書類が必要だったりするので、遅くとも春休みに入ったらすぐ位までに準備を始めましょう。

  • 出願(6月末〜7月頭;2023年は6月30日から7月6日)

  • 受験(1次:筆記、2次:面接)

です。広域システムや相関基礎と違って、小論文や研究計画書の提出は求められませんでした。年度によって異なるので、自分の年度の要項をよく読み込みましょう。

TOEFL

さて、TOEFLです。手続きから何から英語なので面倒くさいですが、実は、出願に間に合わせるためには、5月1〜2週目までに受けなければならず、さらに1か月前くらいには予約しなくてはいけないので早め早めを意識しましょう。とはいえ大変ですよね。円安で値上がりしたり、日本語サイトも日本語怪しかったりで怖いし。

怪しい…...怪しくない……?

TOEFL 受験1回目(2022.09.04)

対策前の実力ですが、入試時点で英語は75/120くらいで、前期の英語の授業は別に困らなかった程度です。(なおG3)

勉強しなきゃと思って単語帳(TOEFLテスト英単語3800)とTOEFLの公式過去問本の古いやつを手に入れていたものの、全く手につかず、単語帳は10ページくらい覚えて他をぱらぱら見て、ギリギリにReadingを解いて1問18分くらいで解かなければいけないのに23分とかかかって、「時間たらんな…...」のまま本番に突っ込みました。愚か者!

当日、当然 Readingは時間が足りずに終わり、Listeningは慌てすぎた結果、解答が終わっていないのに「次へ」を押してしまう等の大惨事となりました。して結果は、

R 18, L 17, S 16, W19, SUM 70

R 18, L 17, S 16, W 19の合計70点!友人に聞いたところ、生命環境の志望者は70から80点の人が多いとのことだったので、3万強飛ばすのはきついな〜〜とはいえ、その後1年空白期間作るよりは!と思い、一応もう一度受けることにしました。

TOEFL 受験2回目 (2023.05.06)

ラボのM1の先輩がが別に何もせずに88点とかを叩き出したことを聞き、呻いたりしていました。一方、相関基礎志望の人びとは60点代などをしていました。彼らは結局何点で出願したんだろうか…...(彼らは数学と物理のほうのほうが重みづけが大きそうで、院試勉強毎週集まって頑張ってました。物理と数学勉強しなきゃな……)

ややノイローゼ気味になりながらYouTubeや模擬テストが受けられるサイト(いくつかあるのでググってみてください)で対策し、2回目の結果は、

R 22, L 21, S 18, W 20, SUM81

R 22, L 21, S 18, W 20 の合計81点。まあ良しでしょう!ということでこの結果で出願しました。

しかし実のところ、Performance Descriptors for the TOEFL iBT® Testの表を参照すると、Reading, Listening & Writing: High-Intermediate, Speaking : Low-Intermediate という区切りでは変わっていないので、見栄えが良くなった程度の違いなのかもしれません。悔しい。

1次試験(筆記)対策

生命環境系のページから拾うことができる過去問を見ると分かる通り、様々な分野から合計大問が30問弱出題され、受験者はその中から3問選んで解く形式です。

高校時代は生物選択で、学部では(簡単な)数学とか物理とか心理学を勉強していて、神経科学に興味がある、という状態だったため、生物学、身体運動科学、認知行動科学、神経科学(認知脳科学)をざっと見て確実に答えられる問題を解こうというふうに考えました。

対策前の過去問を解いたときの手触り

かなり知らないことがいっぱいでやばい……!という感触でした。特に、生物学では分子生物学や生化学、心理学の特徴的な用語類などは、少なくとも満点は取れないだろうと感じました。

  • 作問者の論文くらい読んでないと解けない、細部について問う問題

  • 自由記述っぽく、なんでも書けるのでは……?という問題

  • 一般的な、高校の定期テストや教科書の演習でみるような、答えが決まる問題

の3種の問題がある印象で、なるべく3番目のようなで満点取れるのが良いな等考えながら対策スタート。

筆記対策

  • イラストレクチャー認知神経科学

    • 控室にあったものをぱらぱら見て、神経科学〜心理学の分野の問題に対応していそうだったため、これをメインの教科書としました。

    • 1章1枚を目安に、ルーズリーフに知らなかったところをギチギチに書き出して、気になったところを調べて書き加えてさらにギチギチにして、暇さえあれば見て空で思い出して暗記しました。

  • カンデル神経科学

    • リファレンス用、でも院試対策としてはあんまり使わなかった。

  • スタンフォード神経科学

    • 研究手法の章はしっかり読み、ほかは気になる部分やリファレンスとして。

  • 神経解剖学講義ノート

    • 医学部の知人に紹介してもらい、非常に良かったので最終的に購入。ヒトの脳の解剖学が細かく載っているので困ったときのリファレンス。

    • 医学部の人々これ頭に入れんの?やべぇ……

    • 視床ってこんなに色々通ってるのね……

もともと神経科学の授業を取ったり、本を眺めたりはしていたので、例えばグリア細胞にはどんな種類があるか、や、神経伝達物質には何が有る、等はは知っていましたが、ちゃんと網羅的に勉強したことがなかったので、認知的な機能を支える神経基盤を垣間見ることができて面白かったです。

ラボのボスからの応援

院試直前1ヶ月間、8月中はラボの研究を一旦止める同意を頂き、ガリガリ勉強していたのですが、ある日、「志望者が思った以上に多いです。普通に点数で決まる、内部生だから加点とかは無い試験なので……頑張って受かってね!」とラボの先生に言われました。発狂しながら勉強しました。

落ちたらバイトして学費と生活費貯めるもん!とか、就活について調べて気を紛らわせ(?)ていました。

当日まで〜当日〜受験後

アップロードされ次第、受験票をダウンロードして印刷した上で、当日は朝早く(9:30)からクソ長試験時間(3時間)をちゃんと受けに行くことができました。会場で同じ研究室が第1志望の人を見かけて大ビビリしながら受験。問題は、5、6問くらいにさらっと答案を考えてから、完答できそうな

  • 身体運動科学2(視覚(中心視野と周辺視野の違い、統計的な性質と視覚の繋がり)

  • 神経科学2(コネクトームを研究する方法論を述べよ)

  • 神経科学3(囚人のジレンマ、社会認知に関わる脳の部位)

を選択しました。原始反射が入ってる問題もほぼ解けそうでしたが、1つの小問の答えが分からなかったので、結局分量で殴れそうなものを選択。大学入試と同じような解答用紙に、ギリギリの時間まで書き込みました。

受験後、どんな採点基準なのだろうか、解き忘れが無いか等と不安でした。しかし、ぬるっと合格したので2次試験(面接)へ。

2次試験(面接)対策

2次試験の内容は規定により書けないのですが、インターネットで調べたら体験記が出てきたのでそれを参考に、普通に受け答えをする内容を少し考えておきました。でも面接もぬるっと終わった……ので特に書くこともないです。

合格通知・成績開示請求

合格発表はWebサイトに掲載されました。自分の番号が見つかってよかったです。ひと安心。そして志望する研究室に通ったかどうかは第1志望のラボのボスに確認という鬼畜仕様(!)でしたが、合格していて良かった…...。

せっかくなので開示請求しておこうと担当局にメールで請求しました。送られてきたPDFに書き込み、アドミニ棟の窓口に提出して待つこと1週間、何点だったのかとわくわくで開いた結果は、

東大に来てから一番いい成績()かもしれない

点数ではなくてA〜Eの5段階評価でした。ナンダッテ〜。東大にやってきてから数学と物理の嵐で優の字をちょっとしか見ることができなかったような人間なので、ちょっと嬉しかったです。まあでも自由記述で稼いだ点なんだよな…...。

まとめ

大学受験と異なり模試も無く、受ける人の中での相対評価で、受かるかどうかも確信が持てない、そこそこ神経がすり減る体験でしたが、一方で神経科学についてよく調べて(機能の側面からある程度)網羅的に勉強することができる良い機会でもありました。まだまだ勉強不足ということもよくよく分かりました!

反省点は、就活の諸々を眺めていると英語の力はあればあればあるほど良さそうなので、もうちょっと頑張ればよかったかなという点と、カンデル神経科学をキチンと読む経験を事前にしておくべきだったなという点の2つです。

最後に、最近推しの本を挙げておきます。膜電位の式からCSD解析まで載っています。

卒論と修士がんばるぞ〜〜〜!


この記事は、「統合自然 Advent Calendar 2023」の1日目でした。他の人の投稿もお楽しみに!


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