奇跡というサイン

「セローかハンターカブか」https://note.com/_okapiyo_/n/n6adeed3d4d69で悩んだ期間は、結果的に一週間ばかりであった。

渓流ルアーを始めようと思い立ったのが今年の1月の終わり。渓流への浪漫のために家族同然のSRを手放そうかと妻に相談したのが2月の終わり(セカンドバイクOKの旨)。単車の選別で(セロー・ハンターカブ・CRF250ラリー・KLX230が候補であった)セローかハンターカブかで悩み、馴染みのバイク屋でセローのみを見せてもらった。

ハンターカブに関しては、メーカーが受注中止しており、噂では5月頃にラインナップに新色を加えて受注再開とのことだった。仮に、5月に予約開始されたとしても、納車までには更に数ヶ月は待たなければならないはずである。

目指す渓流が再び禁漁期に入るまでにわずか半年しかないので、少なくとも今期ハンターカブに乗って渓流魚達と戯れることは不可能に近かった。そんなことで、私の心は手っ取り早く乗り出せる在庫のセローファイナルエディション・赤に傾いていた。

が、しかしの展開である。奇跡としか言いようがない。バイク屋のおにいさんが言ったように、それはまさしく「奇跡」であった! そして本当はハンターカブが欲しかったのである。

前回エントリーを書いたのは、在庫のセローに跨がったあとの1週間後の午前中である。その日の夕方にはもう一度そのバイク屋を訪れ、他の顧客が7ヶ月前に発注していたハンターカブが納車されるので、その様を見に行く予定であった。

昼すぎ、妻と車に乗って運転中、バイク屋から電話が入った。ハンズフリーで応答した。なんと、「ハンターカブがキャンセルになりました」と。夕方バイク屋を訪れ、その場で購入を決めた。色は家族全員に「郵便屋さんカラーはやめて!」と言われた赤ではなく、マットフラスコブラウンとやらである。その点もクリアしているので問題なし!

皆が半年以上待ち望んで入手可能な、正式名称CT125ハンターカブを、自分はたったの1週間で手に入れたのである。自分では奇跡だと思ったが、店のおにいさんにもそう言われたのでやはり奇跡なのである。

本当は、僅かばかりの罪悪感を持っていた。家族に対する引け目があった。これから子どもたちの進学もあるしローンもある。例えランニングコストの安い小型車種だとしても、始めの出費はそれなりである。

私は一人になるといつも思うことがある。自分の家族に対しての感謝の気持ちと愛情である。恐らくは自分に対する家族の想いも同様なのだ。普段、果てしなく低いテンションの私の嬉しそうな様子に、私以上に喜んでくれるのである。

人生はサインと奇跡で溢れている。

と、そんな言葉を見かけた記憶がある。人生にはそういう時期が確実に存在する。この10年間ほどは途方もなく低いテンションの私であった。物心ついた子どもたちからすれば、父親とはいつも落ち込んでいるように見えたと思う。その背景は確実に存在していて、トレースすればその要因とはどこかよその話しである。要するに自分の業ではなく、背負いこまされた呪いなのである。そのあたりの話しはまたどこかで書きたいと思う。

ここで言いたいのは、ハンターカブを苦もなく手に入れることができたのは、自分の望む未来へ進んでいるというサインなのである。

もしも、店頭在庫にセローファイナルエディション「赤」ではなく、「緑」が置いてあったとしたら、ハンターカブを見ることもなく、その在庫車を即決していたかもしれない。ほんの少し前に売れてしまったという「緑」がなかったことも、奇跡へのサインだったに違いない。

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