走馬灯

僕はそのあたりに住んでいる一介の学生。
ハッキリ言うと、夢も未来もない。希望の持ち合わせもない。大学に今浪人し、貯金を切り崩す生活を続けている。もう4年目。なにを支えに生きるべきか?  いや、生きるべきじゃない。もう人生はいらない。こうなったら明日だ!どう死ぬかを考えながら夢を見る。次の日の朝。いつもはおにぎりを買ってくるが、今日はいらない。万が一、投身自殺にしたら、内臓が見えることがあると言う。消化仕掛けの食べかす、つまりはゲロを抱え、群衆に晒して死にたくはない。いつもより丹念に歯を磨き、一張羅を着る。有り金からわずかを抱え、自転車に飛び乗って出かける。自殺の名所巡りだ。おい、ここで自殺に成功した奴ら、俺も行くからこれからよろしくな。と念じてあちこちみていく。幸いここの近所はそういったものがたくさんある。だからアパートも安い。一石二鳥。ここは自殺の街だの涙の町だの色々と噂されているだけあって、自殺率が高い。この街に引っ越してくる人の5%がその年のうちに自殺するらしい。わざわざ自殺のために引っ越してくると言うものもいるほどだ。

巡っているうちに、批評をつけ始めた。暇潰しだ。例えば、ここは岩が鋭すぎる。串刺しはカッコ悪い。だとか、低い。こんなんで死ねるか。人間の体の無駄すぎる頑丈さを舐めるな。だの、要するに本当は死が怖くて、理屈をつけて逃げてるんだけど。本当に俺は決断力が無いな。もう、ここにしよう。高すぎない、下の岩が平たい崖。これでいいだろう。若干草木が茂っているが、恐らく大丈夫だ。靴の踵を揃える。遺書は要らない。いけ!



ガサッガサああ死に損なった。一張羅はボロボロなのに。まさかこんなに崖の上に近い木に引っかかるとは、、、避けたはずなんだけどなあ、、、登って飛び降り直すか、、、いややっぱり腹が減ったから登って飯を買おう。ヨイショ。いやにかんたんにのぼれるなあ。ま、いいや。コンビニコンビニ、、、っと。あ、あった!ピンポロピンポンピンポーン♪セブンイ○ブンだな。しゃけめし!うまいんだこれが。はい、100円っと。ピンポロピンポンピンポーン♪やあさっきの崖でくうか。美味そうだなあ、、、

よしついた!いただきまーす!バクッうんうまいな!あれ、、、意識が、、、 グシャッ


今の一連は、全てあの男が地面について死ぬまでの一瞬の走馬灯でした。男が走馬灯でかぶりついた瞬間、頭から岩に落ちたのでした。


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