いぶかしいようなおそれの気持でみつめながら
小学生のときに毎日毎日遊んでいた男の子と、
6年生になってクラスが離れて、
中学生になってなにもかもが離れ離れになったときに、
これが、好きってことなんだ
って気づいた。初恋だ。
大学生になって、最寄りの駅の本屋さんに詩集を探しに行った。
よくわからなかった。
声をかけた店員さんが偶然その子で、
「よくわかんないけど選んでみた」
って本をとってくれて、
その時はもう好きとかなんかはなくて、ただ嬉しかったな。
『二十億光年の孤独』
ひびとの名前もこの詩集の詩からとったんだよ。
十年近く、何度も何度も読み返しているけど
未だに意味はよくわかりません。
それが、いいんだ。
ずっと見向きもしてなかった詩に、急に救われたりする。
仕事をなるべくうまくやる
家庭のために定時で帰る
あやととけんかをしない
近所の目を気にして雑草をこまめに抜く
誘ってもらったら断らない
暮れやすい日日を僕は
傾斜して歩んでいる
これらの親しい日日が
つぎつぎ後へ駆け去るのを
いぶかしいようなおそれの気持でみつめながら
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