弁護士noteヘッダー用

ネット炎上させられた同人作家が法的対処をしてみた話



こんにちは!ヌメです!

2019年6月の舞台感想ツイート(参照:「ある日突然放火された話」)を発端とする炎上を、私は「放火」と読んでいます。その放火被害に対して、法的対処を取った話をします。

現在着々と対応中ですが、着手したい件が次から次へと出てくるので、対応に追われ続ける毎日です。正直、私一人では手一杯のことも多いです。
しかし、ネット中傷のケースを一つでも多く公開していくことで、ネット社会全体の空気に少しでも貢献出来ればと考えています。

以下、特徴的なエピソードを二点、ある程度(公開できる範囲内で)詳細解説を載せます。最後の一点は色々なケースまとめ。合計三本立て。


◆目次◆


以下noteの内容は、相手方と合意書を交わし、公開できる内容のみを掲載しています。ケースごとに内容や対処法は変わることを前提にお読み下さい。
また、非常にプライベートな内容を含む記事ですので、今まで同様、無断転載は絶対におやめ下さい。悪質な無断転載を見つけた場合は、こちらも取れ得る限りの対処をします。


①開示請求の手続きを進めたのち、示談となったケース:対加害者Aさん

画像12

このツイートの何が問題にあたるか、同人活動をされている方にはお分かりいただけますでしょうか?
私(ヌメ@_n_umeというアカウント)にとって、非常に悪質な情報を撒かれたツイートであり、尚且つ、法的機関の手続きもスムーズに行われたケースです。
賠償額も非常に高額であったことを最初に記しておきます。

基本的なことですが、法的機関において、ツイッターアカウントはその運用実績を明確に評価してもらえます。
2019年6月までの私のアカウント(@_n_ume)は、二次創作の同人活動を主としたものであり、掲載しているイラスト・漫画だけでなく、イベントでの活動実績等も紐付けて認めてもらえる内容です。
捨てアカウントでも何でも「ネットなんだからみんな同じ匿名」なんてことはありません
まずこれが大前提です。

そして捨てアカウントではない、運用実績とそれに伴った社会的評価が存在する「同人活動をしているヌメ@_n_ume」というアカウントに対し、上記のツイートは、私の今後のイベント活動に大きな支障をきたす内容です。

しかもこれね……デマなんですよね。
完全にデマ。すごくない?
ネット上の情報だけを鵜呑みにして書かれてあるんですよこれ。

「イベント会場でスケブ描いた」ことにされているのがまず一つ目のデマ。

それによって「無期限でイベント参加停止になる」というのが二つ目のデマ。

そして、この思い込みだけで投下された根も葉もない噂を信じて拡散する人が増え→このデマ情報を元に私を誹謗中傷する人が増える→炎上が加速する。

根も葉もない噂を信じ、その場の勢いだけで、他人の社会的信用を落とすツイートが爆発的に拡散される。
気軽な気持ちで拡散に加担した人たち、ネットに書いた情報は完全に消せないのに、一体どうやって責任を取るつもりなのでしょう。
RT数は拡散の目安になりますから、拡散数が多いほどこちらの損害として数えられるわけです。
あなたが押したそのRTは、ツイート主の損害賠償額を決定する一つの目安になります。

捨てアカウントや匿名投稿サービスで、個人の言動についてあることないことを勝手に妄想・解釈し、第三者が気軽な気持ちでツイートしたこんな迷惑な憶測が、正式な手続きのもとで訴訟に持ち込めることは、多くの人たちにもっと知られて欲しい。

「ヌメさんって◯◯◯(デマ)なの?それって×××(違反行為)だよ」というような、疑問形で“?”を使っていたとしても。仮定形で話を進めていたとしても。
冒頭のツイートがいかに悪質な内容で拡散されているのか、実際に同人活動をされている方には肌身にご理解いただけると思います。

「△△さんって◯◯◯なの?それって×××だね」という推定文で、人の社会的信用を落とす目的のツイートって結構見かけませんか?また、そういう被害に遭われた経験のある方も少なくないのでは?
未だに現在進行形で発生している私への粘着被害を見ても、上記の構文はかなり汎用性が高いサンプルであり、打破しておく価値があるのではと感じています。

ネット放火に遭ってから、私は弁護士と何度も相談し、今まで膨大な量のスクリーンショットを提出してきました。(未だに発生し続けている案件についても随時相談しています。)
冒頭のツイートは、私の社会的信用を落とす悪質なデマツイートであり、同人活動に実害が発生することが第三者の目にも容易に理解でき、開示請求もほぼ間違いなく通る、その後法廷に持ち込んだ場合も勝てる案件だろうという弁護士の見立てがあったため、決まった手続きを進めていきました。

ネット放火被害は、誹謗中傷も勿論ですが、単なる暴言だけを指すのではありません。
素人見解の安易なデマが拡散されることによって、これまで潰されてきた同人作家たちって、かなりの数で存在するんじゃないかと思うんですよね。

デマツイートの文章に暴言が含まれていなかったとしても、裁判所で実害を証明できれば。きちんと主張できれば。
私人に対するデマツイートも訴訟案件になります。ちゃんと反撃できるんです。

最近では、ネット炎上案件における訴訟はケース化されて蓄積されてきているようです。
私自身も、未来の放火被害の一助となるよう、一つでも多く判例を作ることができればと考えています。

今回の記事は、Twitterの開示請求から示談に至ったケースなどをご紹介します。開示請求や訴訟の見通しは弁護士が立てており、プロの分野となるため、以下の記事は私個人の体験談です。

ネット炎上案件の素人でも、費用の工面に苦労しながらでも(実際、非常に苦労します)、弁護士に相談し、勉強しながら、私なりに出来ることをやってきました。

放火被害に悩まれる同人作家の方々に、少しでも参考にしてもらえれば嬉しいです!


では本題に入っていきましょう。
もう一度再掲ですが、

画像12


このツイートは、いわゆる捨てアカウントからの投稿だったので、ツイートの開示請求に踏み切りました。相談している弁護士も、このケースなら勝てる見込みがあると判断した故に受任に至っています。(勝てる見込みが無いと、そもそも受任さえしてくれないケースは多いです。)

文章で説明するよりイメージしやすいと思いますので、今回の案件で弁護士が裁判所に提出した一部資料を公開します。

↓発信者情報開示の申立書(守秘義務の関係で、全文は載せていません)

発信者情報開示仮処分命令申立書-1


以下に添付する陳述書(画像)は、私の相談内容を弁護士がまとめ、裁判所に提出したものです。このように、私の同人活動に対し、ツイッター上のデマ被害が深刻であることは、法的機関にきちんと提出できる内容です。

また、法的機関で正式に手続きする際、 ネット上で論争になっている同人マナー「ナマモノルール」のような言葉は、ハイコンテクストすぎるので、陳述書内に記述できません。「ナマモノ」だとか「腐媚び」だとかいった語彙は、内容が一部のオタクにしか通じないものであり、一般的には全く理解してもらえませんので、明記しないのでなく、できないというのが社会通念上の理解です。

ネット上でも何度も主張していますが、私は俳優に対する人権侵害発言はしていません。担当弁護士は私のツイッターアカウントを把握していますし、発端となった私のツイート群が、俳優に対する人権侵害には当たらないという見解も貰っています。

俳優に対し人権侵害を行なっていない私に対し、人権侵害レベルの誹謗中傷、素人見解の安易なデマが爆発的に吹き荒れた原因が「ナマモノルール」という、一部のオタクにしか通じない内輪のルールであったこと。
今回の炎上のキーポイントでもあるので、何度でも主張したいです。
私は、俳優に対する人権侵害・セクハラ発言をしていません。
しかし「ナマモノルールを破った」ということにされ、大量の誹謗中傷・晒し行為・デマ拡散・嘲笑行為を受け続けています。

陳述書01

画像12

(※2枚目第2「悪意のツイートについて」は、第3に訂正され提出されています)

開示請求上の手続きの詳細については、ネット上を検索すれば出てくる記事が多いので割愛します。

この裁判手続きは、非常にスムーズに進みました。通常3回ほど審議が見込まれる部分も1回で通ったりと、順調でした。悪質なデマだったので、と聞いた覚えがあります。

最終的に、当該加害者Aさん(以下Aさん)からは丁寧な謝罪を頂きました。
そのため、弁護士と相談し、和解・示談交渉を行うこととなりました。

示談交渉に至ったので、Aさんは支払額が安く済んだのではないでしょうか。

だって裁判をするなら、自分の弁護費用を支払いながら、私への損害賠償金を支払わなければならないのですから。自分の弁護費用が浮いたんだから、よかったですね。

ちなみに、最近の傾向として、法的対処にかかった金額を上乗せして損害賠償として請求するケースが増えているそうなので、加害したかもしれないと、後ろめたい心を持っている人は、そこを心得ておいたほうがいいですよ。貯金、してますか?

合意書案ふぃる


最終的にはこのような形で合意書を交わして、この案件は終了となりました。

示談するにあたり、Aさんと対話してみて思ったのですが、デマを撒いた立場でありながら、保身のための言葉と言い訳ばかりを述べるさまは、ほとんどセカンドレイプでした。

捨てアカウントでデマを振りまいた立場の人が、「自分だって傷ついた」と主張し、どうして私と同じ立場に立とうとしてくるのか、私にはさっぱり理解できませんでした。

ですが、結果的に加害者の申し出を受諾し、最も早く手続きの終わる、「和解・示談」へと至りました。

私の希望は、今回の件で、1件でも多く法的対処を取り、今後の抑止力としたい。それだけです。



②加害者が弁護士を雇い、私に接触してきたケース:対加害者Bさん


画像14

公開アカウントで謝罪ツイートがされた後、更に、当該加害者Bさん(以下Bさん)から上記のようなDMが来ました。

Bさんは、私への誹謗中傷をしていたうちの一人です。対面ではとても言わないだろう、揶揄や暴言を含む投稿を複数回行っていましたので、こちらも対応を考えていたうちの1人です。

梅子DM

謝罪は来ましたが、上記のようなやり取りに発展しました。
自分の弁護士を雇われる分には問題なかったのですが、Bさんは自分の連絡先を明かさず、更に私(ヌメ)から自分が頼んだ弁護士に連絡しろとの要請だったため、私は警戒してしまい、フリーのメールアドレスを使い連絡を取りました。

オープンツイートでは私のことを罵りながら、DMでは「ヌメさんが怖い」と言ってきたり(自分の行いを棚上げして、私に「怖い」と「わざわざ言ってくる」感性は、私には理解できません)、また教えられた事務所の連絡先が間違っていたりと、正直心証が悪いことが続きましたが、結果として、弁護士を立ててもらい、相手方の弁護士と話すだけで事が済んだのは、本当に助かりました。

きちんとした弁護士事務所の方と連絡が取れてからは、全てがスムーズに、スピード解決で済みました。相手弁護士からも、「自ら連絡をせず、私に連絡をさせたこと」に関して謝罪がありました。

相手方の代理人とのやり取りは、社会通念上の感覚がシームレスに通じますし、なにより二次加害が起こりません

民事トラブルが起こった際、どんな内容をやり取りすべきか、相手にどんな言葉を投げてはいけないか、プロは全て理解した上で私に接してくれます。
賠償額や和解内容についても、こちらの希望にできるだけ沿う形で(向こうの弁護士から見ても、中傷内容に対し賠償額が妥当だと判断されたためか、金額について揉めることはありませんでした)、互いに事務的なやり取りだけで済む、このことが本当に助かりました。

Bさんが弁護士を立ててくれた結果、私の中の心証は一転し、最後はBさんに対するわだかまりもほとんど無くなったことが自分でも驚きでした。

ですので、私の今後の希望としては、加害者は自主的に弁護士を立てて来て欲しい。法テラスや無料の法律相談等、世の中にはたくさんの相談場所があります。

それでも、どうしても、費用面で弁護士を雇えないという方は、弁護士経由ではなく、あなた自身との直接交渉に応じます。
この時に、交渉中の二次加害を避けることを視野に入れて行動して下さい。

私は二次加害も許すつもりはありません。
和解交渉中に二次加害行為が発生した際には、交渉決裂の判断を下し、刑事告訴も視野に入れ、裁判所で裁いてもらいます。
一歩も引く気は無いです。

現時点でもまだ、弁護士に相談している複数の案件がありますし、現在進行形でネット上で行われている事実無根の悪質な噂の流布名誉毀損誹謗中傷に該当する発言で、法的対処が可能なものが見つかり次第、同じ対処を取っていく所存です。

(余談ですが、今、私に関してばら撒かれている一番ホットなデマは「軟禁」でしょうかね…。ネット上の一方だけの意見を鵜呑みにし、事実のように断言するからには、きちんと立証責任を負って頂きたいと思います。)


③分かりやすい暴言ツイートでももちろん対処してますよというまとめ

以下は、複数人に対して取った対応各種です。複数人に至りますので、経緯は割愛しますし、直接見て頂ければすぐ分かる内容になっていますので、画像添付にして公開します。
繰り返しますが、ケースごとに合意内容は異なるため、公開内容も異なります。そして、手続きや内容に合わせて請求金額も異なります。
(内容証明のみ載せているもの、合意書のみ載せているもの、などありますが、公開できる範囲に限っておりますこと、ご理解ください。)

▼代理人に委任したケース

画像13

▼直接交渉に応じたケース

画像13

画像13

画像13

もちろん、公開した書面はこれで全てではありません。公開できない、しないと決めた情報もありますので。
今後も和解内容次第で公開していきたいと思います。

すべてケースバイケースなので、法的見解や対処法はそれぞれ異なると思われます。私にとっては、これらが今報告できるところまで来た、最善の話でした。こういう話があるんだな、と参考までに頭の隅に置いておいてください。

被害者が泣き寝入りしない、加害者が悠然とのさばる世界が少しずつ変わるように、ここに記します。


また書きまーす!またね!

頂いた分は、訴訟費用含む各種費用に充てさせて頂きます!