慌てない、慌てない。

生活をしていると、何か起きたときに、慌てても仕方ないよねえ。と、よく思いながら生きている。つもり。

2月、3月と大きい地震が続いていた。2月の夜中の地震の日はちょうど病棟勤務をしていた。

地震に気づいた時には、既に大きな揺れに襲われていた。とにかく、安全を第一に、慌てて部屋を回っていた気がする。

90歳を超えて、ほぼ寝た切りだが喋るのが好きな患者さんの元へと足を運んだ。なんと、あんなに強い揺れにも関わらず寝ていた。正確には、目を閉じていたのだと思う。数十分前に自分が見た時と、全く同じ体勢で寝ていた。

声をかけると、地震だったな。の一言。表情は穏やかだった。ハッとした。慌てていたのは自分だけだったりして。。と気づいてしまった。
安全を確認し、声をかけて部屋を出た。その後はあっという間に災害体制に移り、非常事態に備えたわけだが、大事には至らず。通常の日常へと戻った。本当に良かった。

翌日の夕もその人と顔を合わせ話をした。昨日の地震の話をしてみると、その人が長く暮らした地域の地盤の話しと、命だけは1番に、ただ自然災害には逆らえないよ。という話を繰り返して喋っていた。その日もいつもと変わらず良く喋っていた。その日に食べた昼ごはんのことは忘れていた。

歳を重ね、様々な経験を通して、厚みを増してくる知能が誰にでもあるそうだ。とても頷いてしまうし、笑んでしまう。その人に起きた人生経験は、その人自身だけではなく、周囲の環境も豊かにしていると思う。大事なことはいつも、自分の周りの環境が教えてくれている。

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