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連座制と問責制(説明責任、アカウンタビリティー)

NHKは国会議員の支持・選挙の為の組織の担当者が不法行為をした場合、国会議員が責任を取る事を「連座制」と呼んでいます。「連座制」とは、組織の中の各部門の担当者がその部門の責任を持ち、決定権を持た無い組織の長は対外的な組織の顔の役割を担うだけの組織の有り方です。この組織形態は、所謂、ムラ社会が起源で各大家族の代表者が集まって村の政を決めた時代の名残です。

日本政府の内閣も同じ様な責任分担をしていて、例えば、自衛隊の総指揮官は名目上は総理大臣ですが、自衛隊員に命令する権限を持つのは防衛大臣です。

一方、問責制 (説明責任、アカウンタビリティー)の組織下では、組織内の職責に応じた責任分担が規定されていて、下位の職員は上位の職員に報告する義務を持つと共に、上位の職員は下位の職員の業務行為に責任を持ちます。是等の責任分担は、標準手順書(Standard Operating Procedure, SOP)に規定されています。だから、組織として行なった全ての行為の決定プロセスが最高責任者まで辿れます。組織図が問責制に於ける責任の流れを示していて、横向きの線が箱と交わる処に居る職員がその下の組織の業務として行なった行為の責任を持ちます。

下に国土交通省の組織図を引用しますが、此処では、左端の赤箱に大臣や政務官・事務次官が並んでいて、この地位の職員は共同責任(連座制)を念頭に置いてる様に見えます(クリックするとPDFファイルが開きます)。責任分担を明確にするなら国土交通大臣の下に事務次官等が座するはずです。ただ、役所は法律で職務が規定されてるので、関連法律が実質的な標準手順書で、職責の所在は明確です。この組織図は作成者の頭の構造を反映してるのかと。

国土交通省組織図

勿論、組織の効率は問責制のほうが上です。各職員の責務と職責が明確になれば、仕事の依頼・共同作業や資源の配分も合理的に行なえるし、パフォーマンスも評価可能です。一方で、窓際族の存在は歓迎され無いでしょう。大家族による農業・漁業が生業だった時代はムラ組織の連座制が住み心地良かったでしょうが、個人主義が広まり、各個人がプライベートの時間を楽しむ様になると、仕事に効率を求める。遅かれ早かれ連座制組織は淘汰されるでしょう。

口絵は京都市組織図です。此方でPDFファイルが見れます。「京都市組織図(令和5年5月8日付け)」京都市では、市長さんがトップに一人で座して、部下の市役所の職員さん達の責任を引受けています。


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