映画 『GONE GIRL』 感想

ラジオでおすすめされていたので、つい観たら、なかなかしんどい話だった…心理描写が秀逸で、観ながら常に心が動いていた。
その夜はなかなか寝付けなかったので、感想を書き出してみようと思った。


エンドクレジットが流れ始めた瞬間、
後味悪…と思った。

エイミーは幼少の頃から理想のエイミー像を押し付けられてきた。周囲から求められる高い理想像に苦しんできたが、ニックは本当のエイミーを知ろうとしてくれた。そのままで認めてくれた。

最初はその態度が嬉しかったが、
やがて金銭的に二人に余裕がなくなってきた時、ニックは余裕のなさを態度でも出すようになる。その姿は凡庸でプライドが感じられない。逆に、何にも縛られていないとも言える。

一方、エイミーは態度に出さないよう耐えた。ここで凡庸な口うるさい女になってしまうことは、自分のプライドが許さなかった。幼少から押し付けられてきた理想のエイミー像を、ニックとの結婚を経ても手放すことができていなかった。

ただ自分が耐えている分、だらしないニックを許せない気持ちが日々募って行く。ニックには向上心や克己心がないように見える。私はこんなに頑張っているのに…

悶々と怒りを募らせているエイミーを避けるように、ニックが浮気に走ったことで、エイミーの中の何かがキレる。

後半のデジーに関して。
自分への執着。しかも以前より求められてきた理想のエイミー像へのデジーの執着におぞましさを感じたのだと思う。
こんな服は着替えて、昔の君に戻ってと。
理想のエイミー像を押し付けてくるデジーは、エイミーにとって消したい障害物でもあったのかもしれない。
理想を押し付けられることへのアレルギーがそうさせたように思う。
カムバックした後のエイミーは、自分で理想の自分像を作り上げて行く。ここでも嘘と世間の印象を利用して。

最後まで理想像というものに絡め取られたまま、何もかもを嘘で巻き込んでいく人間の話だった。

この作品を観て、女は怖いと言うことは簡単だが、女は拳で敵わないから頭脳を使う傾向がある。ただそれだけだと思う。
単に、パワーで敵わない人間が、頭脳で何かを守ろうとした話でもある。
守りたかったものが、プライドというものだった時の人間の狡猾さ。
本当に後味が悪かった。

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