初見のものが好きだ。

初見のものが好きだ。

初見の道、初見の食べ物、初見のお酒、初見のお店……初見なら割となんでも好きだ。

けれど初対面の人は苦手だ。

いや、厳密に言うと「今後も関わる可能性のある初対面の人が苦手」なのだ。

だけどこの話は長くなるし本筋とも異なるので、またいつか。気が向いたら。向かないと思うけど。


初見のものの話に戻ろう。

例えば、私は散歩が好きだ。歩くのが好きというより、知らない道を歩いて見たことの無い景色を見るのが好きだ。

なので、生きるためによく通る道を歩いている時でも、普段開いていない扉が開いていると何だか得した気持ちになる。たとえ中がビルのゴミ捨て場であってもだ。

散歩の途中に知らないお店に入るのも好きだ。

入るのは専ら喫茶店や服屋、地元のローカルスーパーだ。

特に地元のローカルスーパーはとても良い。知らない食べ物、知らないPB……中は初見のもので満ち満ちている。


初見のものが好きだと得することもあるが、損することもある。

散歩の途中に好奇心に釣られて路頭に迷ったことがある。

結局その時は帰る手段が無くなってしまい、挙句鎌倉駅まで4時間近く炎天下を歩く羽目になった。

好奇心は猫をも殺すと言うが、どうやら人も例外では無いらしい。水を6Lほど飲んだ。道中で購入したクーリッシュは1分ほどでドロドロになった。熱中症になった。

お酒が好きでたまにバーに行くのだが、つい知らないお酒ばかりを頼んでしまう。

好きなお酒をゆっくり楽しむというのも良いものだと思うが、わかっていてもつい知らないお酒を頼んでしまう。これは悪癖だと思う。


それでも自分は、初見のものが好きで良かったと思う。

自分は初見のものが好きであることに気がついてから、下を向いて歩くことが減った。常にキョロキョロしているので、周りから見ると不審者に見えるかもしれないが。

こんなとこ行っても何も無いな、と思うことが少なくなった。何故なら、知らない場所には知らないものがあるからだ。

土地勘がついた。だがついた土地勘に関して共有する機会は少ない。私はそれでもいいと思ってる。私しか知らない良い場所がある、という事実が大切なのだ。共有できないものにも価値はある。

とっちらかった拙文であるため、オチが思いつかない。

「皆さんも初見のものを好きになってみては」などとは言わない。そんなら押し付けがましいオチなら無い方がマシだ、と思うからだ。

というわけで、ここまで読んでもらってなんだがオチは無い。「こんな考え方もあるんだな」と少しでも思っていただけたなら光栄だ。

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