#46

最近、ミルクボーイのラジオ番組『ミルクボーイの煩悩の塊(通称、ボンカタ)』をよく聴いている。このラジオの魅力は、なんといっても駒場さん(筋肉質な方)のラジオ観。最近の放送で駒場さんが語った「ラジオって、テレビと違ってテンポ良く言葉を出していかなくても良い。う~んと考える間があっても良い、それがラジオなんだと思う」という言葉には首を縦に振るしかなくて、その考えがベースにあるからこそ、彼らのラジオは心地良いのだと思う。

思えば、自分の好きな映画も小説も、どこか「ラジオ的」なのかもしれない。寄り道の豊かさといったら良いのだろうか。華麗なる脱線というか……。つまり、本筋から外れた部分がいかに充実しているか、という点を自分は重視しているのだと思う。なくても本編的に全く問題なく成立するんだろうけど、正直その映画を見返すとき、そのシーンだけ見返すわ。みたいなこと。全部が全部意味をなさなくてもいい。魅力的な寄り道に出会いたい。そう思いながら映画や小説を楽しんでいる気がする。

ただ、ダラダラするのではつまらないし、わざとのんびりやるのも白けてしまう。駒場さんはそう指摘する。その点でも同じだ。以前マンブルゴア映画を観たとき、観る前はすごくワクワクしていたのに、いざ観てみたらなんか違うなと思った感じがまさにそうかもしれない(勿論、すべてのマンブルゴアがそうとは言わない)。別に全然好きな映画じゃないけど、ミア・ハンセン=ラブ『未来よ こんにちは』でイザベル・ユペールが花束をゴミ箱に捨てるかウロチョロと躊躇うシーンとか。一方大好きな映画だけど、『東京上空いらっしゃいませ』で牧瀬理穂がうきうきな感じで振る舞うハンバーガーショップシーンとか。そういうシーンに出会いたいから、映画を観ているんだと思う。

ラジオは難しいと、駒場さんは言う。だからこそ、ミルクボーイは信用できる。決して手抜きではない鮮やかなダラケに、彼らの魅力がしっかりと詰まっている。

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