育休明けに悩んでいた6年前の私へ伝えたいこと
長男の卒園式が終わり、保育園生活も残り1週間となった。
生後5ヶ月でロンパース姿の長男と参加した入園式が、懐かしい。「これから6年か…長いな」と途方に暮れていたけれど、他の多くのことがそうであるように、保育園生活も振り返るとやはり、あっという間だった。
思い出がありすぎて、もう行けなくなると思うと寂しくて寂しくて、「あと◯日」とここ数週間ずっとカウントダウンを続けている。
そんなことを聞いたら、6年前の私はなんて思うだろうか。
長男が産まれた時、私がいちばん悩んだのは保育園に0歳で預けるか、それとも1歳まで待つか、ということだった。
もともとは、育児休暇が終わる1歳までは家でゆっくり我が子の成長を見たいと思っていた。が、そこに立ちはだかったのが待機児童問題。
どうやら認可保育園に確実に入園させるには、新年度が始まる4月に0歳児クラスに申請するしかないらしい。そうすると、11月生まれの長男は生後半年足らずで預けることになる。
我が家の経済事情、自分の今後のキャリアのことを考えると、預け先が見つからないのはどうしても困る。
それでも、そんな小さいうちに保育園に預けて、戻りたくもない職場に戻って、私は後悔しないだろうか。
自問自答を繰り返した。0歳で入園するメリット、デメリット、を紙に書き出してうんうん悩んだ。こんなに悩んだのはいつぶりだろう。いつぶりっていうか、初めてかもしれない。
結局何が正解かわからなくて、まずは0歳児で入園してみよう、という結論に至った。
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6年経ったいま考えると、その時の決断はさほど重要ではなかったように思う。
長男は3歳ごろまでは病気がちで、入園してから2回の手術を経験し、途中で何度も心が折れかけた。こんなに身体が弱いとわかっていたら、急いで復職なんてしなかったのに…と思うことも正直、あった。
それでも、「あの時ベストと思うほうを選んだんだから、今はできることをするだけ」と思えたのは、真剣に悩んだからこそと思う。
ただ一つ、後悔していることがあるとすれば、その後の自分の子どもと向き合う姿勢だ。
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私は、この子にいつも全力で向き合えていただろうか。一緒にいる時間を大切にできていただろうか?
復職してから仕事の悩みや将来への不安が尽きず、長男と一緒にいるわずかな時間でさえ、気がつくと頭の中では他ごとを考えたり、スマホ画面に視線を落としていることも多かったように思う。
それはそれで、子どものことを思って、のつもりだった。でも、あの頃から職場や生活環境が変わった今でも、将来についての悩みはなくならない。きっとこれからもずっと考え続けることだ。
だったら限られた親子の時間ぐらい、悩みは置いておいて、もっと思いきり楽しめばよかった。
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もうすぐ小学生になろうとしている長男は今、少しずつ私の手から離れていこうとしている。
小さい赤ちゃんがここまで成長するまで、あっという間というひと言では済まないぐらい色々なことがあったけど、それでも振り返ると早かった。
だから今、6年前の自分に言葉をかけられるとしたら、真っ先に「目の前にいるその子を、もっと見てあげて」と言いたい。どうか、彼と一緒にいるそのかけがえのない時間を、大切にして。一生戻らないその時を、味わい尽くしてほしい、と。
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「子育ては、やり直しがききます。だから、もっと抱っこしてあげればよかったと思うなら、今からでも抱きしめてあげてください。もっと話を聞いてあげればよかったと思うなら、今からでも聞いてあげましょう」。
卒園式でいちばん心に残った、担任の先生からの言葉だ。
私は今その言葉を胸に、長男とともに、新しいステージに進もうとしている。
今はただ、残りわずかな保育園生活を、最後まで味わい尽くしたい。