RIMOWAは必ず正規店で買おうという当たり前の話

前回RIMOWAを購入したという記事を書いた。
結果普通に直営店で買ったのだが、当然それなりに高額なため、少しでも安く買える方法はないかと探した。

海外流通品を買うならBUYMAという方法はあるものの、パッと見た感じ日本の正規価格とほぼ変わらずあまりお得感はなかった。
どちらかと言うと終売したシーズナルの限定カラーをプレ値で買うような感じ。


BUYMAも広義には近いものがあるが、海外ブランドは大抵並行輸入品という物がある。
そこで楽天市場を検索してみると、いくつかヒットした。
さて、これは信頼できる商品なのだろうか。
ちょっと深堀りして調べてみたので、購入を検討している人は読んでいただきたい。

前提として、現在リモワは直営の店舗か公式オンラインでしか販売していないという情報は少し調べればすぐに分かる。
東京で言えば銀座店や表参道店、新宿高島屋店など、公式サイトの店舗リストに載っているお店だ。
大型の百貨店のカバンコーナーや市中のバッグ屋さんのような店などには今は卸していない。
またLVMHの方針だが現在は世界的に価格を統制しているため、昔のように「ヨーロッパで買えば安い」という事もほとんどない。
(免税分や為替のレート次第で多少は安くなるかもしれないが)


ここでは仮にショップA,B,Cと呼称するが、その3店舗が楽天で現行のリモワを販売しているらしい。

価格は店により多少の差はあるが、筆者が実際に正規店で購入したのと同じOriginal Check-In Mでだいたい14〜16万程度。
実際の日本の正規価格は約26万円である。


怪しい。
怪しいのだが、ほんの数年前まで日本での正規価格も16万程度だった事を知っていたので、まあその頃に海外で仕入れた物なら有り得なくはないか、とも感じる。
実際個人で海外で買って日本に持ち帰って来る事は可能だ。


ショップAの実際の商品画像がこちら。

ショップCはこれ。

商品そのものは公式の画像を転載しているので何の参考にもならないが、周りの説明書きが何となく似通っている。
フォントが若干中華臭い。
ショップCに関しては「最適な大き」と日本人ならあり得ない表記ミスがあり、ますます中華臭い。
ちなみにショップBは現在出品がなくなっていたが、ほぼ同じような画像だった。


これらのショップの他の商品を見てみると、まあよくある中華家電や雑貨といった感じ。
一応それらの商品レビューやショップレビューは数百件とそれなりの数あり、基本サクラではないと思われる。
ただリモワに関してはこの時点でもうお察し感はあるが、もう少し深掘りしたい。


画像を撮り忘れたが、まずAの商品説明とBの商品説明は全く同じ。
一部誤字があったのだが、その誤字まで含めて全く同じなので完全にコピペだろう。

内容的には、工場から直接仕入れたアウトレット品で、小傷などある場合があるが使用には問題ない商品。
アウトレット品なので正規店でのサポートは受けられないが、当社で保証サービスを行っている。
通常付属するステッカーやラゲージタグなどは付かない。
というような内容。

ショップCはコピペではないが、概ね同じ内容が書かれていた。

一応ショップAとBに問い合わせてみた。

Aの回答。

スレや傷に関しては、ほぼ同じ注意事項を先日買った正規店のスタッフの方も仰っていたため、間違いではない。
しかし、やはりサービス対応が引っ掛かる。
普通、正規品であれば中古であれ海外で購入した物であれ、シリアルを登録すれば正規のサービスは受けられるからだ。
またiPhoneの修理がApple Storeではない市中の非公式ショップでも一応可能なように、リモワのオフィシャルではないが修理対応してくれるショップは存在するが、この楽天のショップは単なる雑貨屋のような感じだ。
本当に修理が可能で、しかもメーカーでもないのに生涯保証など出来るのだろうか。
(商品説明には5年保証と書いているので矛盾しているが。)

そして、そもそもリモワにアウトレットは存在しない。
ドイツ国内にもアウトレット店舗などはないため、通常アウトレット品が出回る事はないはずだ。
工場の従業員などが裏で横流ししている可能性はゼロではないが、今や天下のLVMH傘下のリモワがそこまで杜撰な管理体制だとは考えにくい。


Bの回答。

こちらは正規店のサービスは受けられない可能性があるとしながらも、なんと公式に聞いてくれという余地を残している。
まあ聞いたところで返って来る答えは予想できるけど。

とりあえず、両店ともによくある怪しい日本語ではなく、ごく自然な文体。


次に各ショップの所在地をGoogleマップで調べてみた。

ショップAに記載の住所の場所は東京都内のマンションになっていた。
個人事業主などオフィスを持たず自宅を会社所在地として登記する例は珍しくはないが、それにしてはマンション名や部屋番号は書いておらず、番地までの表記しかない。
一応代表者は日本人男性らしい。

ショップBは兵庫県の海沿いにある町のバラック小屋みたいな場所。
会社の所在地とするにはちょっと・・・という感じだが。
隣は普通の民家で敷地も同じっぽかったので、そこの倉庫のようにも見えた。
こちらの代表者は日本人女性。

ショップCは大阪にあるオフィスビル。
今までで一番まともに見える。
一応部屋番号まで記載があったが、その部屋が実在するかは分からなかった。(フロアは存在している。)
ストリートビューで入居企業の一覧が確認できたのだが、ショップCの運営会社の名前は見つからず。
代表者は中国人っぽい名前の女性。
ちなみに同所の同じ部屋を所在地としているよく分からない会社が30社ほどあるらしく、怪しさ満点。

まあ、十中八九適当な住所を設定したダミー会社で確定でしょう。
それでこの3店舗も元を辿れば同じはず。



そして商品レビュー。
ショップBは出品が消えているのでなし。

ショップAはリモワの別々の商品に対して1件ずつ、合計2件のレビューがあった。

一つは、軽くてヨーロッパの石畳も快適でした。という、まあありそうな感じのレビュー。
もう一つは、使いやすい!こんなスーツケースを待ってました!という、よくよく考えると少し怪しいレビュー。

一見騙されそうだが、この二つのレビューが全く同じ日に投稿されていた。
かなりサクラっぽい。(それにしては雑すぎんか?)


そしてショップCのレビューがかなり核心を突いて来た。

なんと実物の画像付きである。
いきなり潰れた状態で届いたとお怒り。
ちなみにたぶん普通に日本人の方だろうが、怒りのせいか日本語が不自由になっている。

そもそもリモワがこんな不良品を流通させるわけがないし、輸送中の損傷だとしても日本の運送会社ならきちんと保証するはずなので、まあ十中八九中国での損傷でしょうね。


もう一つ。

こっちは商品には問題はなさそう。
画像だけ見ればパッと見本物かと思うレベルだが、真ん中の画像にあるビニール製の保護カバーなんて物は存在しない。
正規品は布の袋に入っている。
またハンドルがビニールで保護されているが、それも正規品には付いていなかった。


そして決定的な証拠がこれ。

「リモワ 偽物」と検索すると上から5番目くらいに堂々と出てくる怪しさMAXのコピー品販売サイトである。

はい、お気付きの通り、さっきのビニールカバーが写ってますね。

つまり、この自称スーパーコピー品を楽天で販売していると言う事で、ほぼ確定と言える。
だいたい粗利率50%だね。
普通に布袋を偽造すれば良いものを、なんでこんなとこでオリジナリティ出しちゃうんだろうね。


そしてレビュー投稿者の方は何も知らずに十数万払って偽物を掴まされたと…。


ちなみにもう一人画像付きレビューを投稿している方がいて、その方は「見たところ偽物のような特徴は認められず、良い買い物が出来ました」だそうです。

とりあえず、届いた商品のシリアルナンバーを登録しようとすれば当然弾かれるはずなんだけど。
ここ1年くらいのモデルならNFCタグも入ってるしね。

その辺りの知識もないままに、安いからと安易に飛び付くのは非常に危険。
これが洋服とかならいいとこ数万円の被害で済むが、桁が一個上だから笑えない。


ちなみにいくつか偽物の見分け方みたいな記事もヒットするが、大抵が旧モデル時代の話だし、そもそもTSAロックやホイールの形が明らかに違うみたいなレベルの低い偽物の時代は終わっているのであまり参考にならない。
今回のケースで言えば実物の情報はレビューに投稿された画像数枚しかないが、その画像で見る限り本体はそれなりに精巧に真似ているように見える。
恐らく本物と並べてやっと違和感を感じるとか、そのレベルのコピー品だろう。

リモワ自体が高級ブランド路線に舵を切った以上、これからどんどん偽物は増えて来ると思う。
NFCタグを埋め込んでいるのも偽物対策を行っている事の証左だ。

以前はリモワも並行輸入が普通に出回っていて、それこそヨドバシカメラやドンキホーテでも買えたらしい。
しかしLVMHの買収以降流通経路が管理され、直営店以外ではほとんど見る事がなくなった。
ドイツの空港で販売されていたルフトハンザモデルの終売も、そうした流れの中の一つだろう。
また現行モデルと旧モデルでロゴをはじめとして若干仕様が違う部分もあるため旧モデルの根強いファンも多く、旧モデルの未使用品はプレ値が付く事が多くなっている。
2018年に現デザインに切り替わって早6年経っているため球数自体が減っており、「旧モデルの並行輸入品を狙えば安い」という事もほとんどなくなりつつある。


正しい知識を持って、然るべき場所、然るべき価格で買いたいものだ。

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