創作アイデアをゲームシステムにしてみよう

この記事は、定期ゲ AdventCalendar 2019 1日目の記事です。

この記事をお読みの方は、多分それなりの割合で「ゲーム作ってみたいな」と思ったことあるんじゃないかと思います。

今回は定期更新型ゲーム(AP制なども含む)というものをテーマに、どういう考え方の下でゲームは作られるのかを解説していきたいと思います。
早速ですみませんが、今回『定期ゲ AdventCalendar 2019』という企画に乗るにあたってまえがきが差し込んであります。興味ない人は適当にスクロールして飛ばしてください。

まえがき

さて、こんにちは。はじめましての方ははじめまして。はじめてじゃない方もはじめまして。ゆうと申します。主な作品は「クリップチャット(終了済み)」です。

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別に挨拶とかは、アドベントカレンダーの記事の内容に必須ではないのですが、最初だし何か気の利いたこと書いておいた方がいいかな?と思ってまえがき書いてみました。

25氏と1年ぐらい前から定期ゲアドベントカレンダーの話が持ち上がっていて、今年「やるかー」と無事に開催される運びになったので参加と、盛り上げ役と一部の方にお誘いとかしました。
気がつくと裏面ができてたりビッグネームが連なったりと壮大な企画になってしまいました。すごいね!

ということで、定期ゲを盛り上げる最高にアツい冬、開幕!!


ゲーム作りとは料理である?

「ゲーム 作り方」で検索すると『壮大な規模のゲームはやめよう!』『企画書を書こう!』『開発環境は云々で……』という記事をよく見かけますよね。まあ間違いではないと思うし内容としては頷ける所も多いのですが。

しかし、何かいまいちピンと来ない。何かが欠けてる……!!!
そう、『アイデアをゲームという媒体に落とし込める技術(プログラミング能力のことではない)をそれなりに持っていること』が前提になっているため、実際にゲームを作り始めるとゲームとして成立するか怪しい物体Xができてしまいます。

これは、料理で例えると具材が用意されていて調理器具の使い方も熟知しているだけの状態だと個人的に思います。
この場合必要なのは調理方法、つまりレシピである。逆に言うと、ここがわかっている人は大抵なんとかなる。どういうふうにゲームが組み立てられていくのかを知ることで、独創性の高いアレンジしたゲームも作れるようになります。
プログラミング能力とかはやってる最中に自然とスキルアップしていくし、定期ゲのようなブラウザゲーは比較的難易度が低く始めやすいものだと思ってます。
私もPHP始めてから1年ちょっとぐらいでAP制ゲームっぽいの作ってた。(これが後の定期ゲーのようなものだとは知らずに…)

そこで、私のこの記事では『技術的なことや運営方法とかそういうもの』ではなく、もっと手前の部分、『作品という具体性をまだ持たない何らかの創作アイデア』を、ゲームという形にするには?というところを説明していきます。
前提として『漠然と何かゲームを作りたい』と思ってる人向けではありますが、そうでなくてもゲームというものがどういう発想の下で作られるかという読み物としてもどうぞ。
なお、ほぼ独学で考えてきた素人なので、ちゃんとした理論があるとかどうとかは特に考えてません。また、私の考え方がすべての人にピタッと当てはまるかどうかは保証しません。考え方の一つということで!
駆け出しの定期ゲ開発者なので先輩方の持つノウハウと比べるとまだまだ浅い部分がありますがどうぞよしなに~


あなたはどんな定期ゲーが作りたい?に答えられるようにしてみよう

「ゲームが作りたい人」は、多分、ゲームシステム上でやりたいお話、世界観、ゲームシステム、動かしたいキャラなどなど、何かしらアイデアの「種」をお持ちなのかと思います。(稀にお金稼ぎたいからとか有名になりたいとかで丸腰の方もいますが…)

そこで、まずは作りたいなと思っているものを、一言で説明できるようにしてみてください。
ゲームのTOPページで「このゲームは、○○を××する、△△ゲームです。」という感じの文言を見かけたことあると思いますが、あんな感じです。
しかしここですぱっと答えられたら苦労はしないので、付箋などを使って、やりたいと思っていることを短くカード状に書き出してみましょう。
最悪「○○(既存ゲーム名)っぽいゲーム」とかでも可。
そうすると多分自分はこんな感じのゲームが作りたいんだなあというのが浮かんで見えてくると思います。

これはいわゆる土台であり、ゲームという建築物を建てるための基盤になります。この上に組み上げたゲームがバランスを崩して倒壊しないようにするためのものなので、仮でも一度整理しておきましょう。

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「やりたいこと」というものは、要するにモチベーションに繋がることです。これが曖昧だったり、「自分がやりたいことって果たしてなんだったっけ?」となると、バランスが崩れ、場合によりエターナったりします。
なので、個人的に「やりたいと思うこと」で基盤を作るところがゲーム作りの出発点だと思っています。


ゲームのパーツを作ろう

たとえば、『喫茶店を経営して美味しいコーヒーを淹れる定期更新ゲーム』が作りたい、みたいな感じになったとします。
今度は、作りたいゲームをどんな方向性で作るのかを考えていきます。要はコンセプトですね。これはいわゆる骨組みで、さらにそれに沿って骨組みを伸ばしたり、肉付けしたりと考え方に方向性が生まれます。

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先程短く書き出したカード状のアイデアを、関連性のあるものをまとめたり少し追記したりすると割とパーツっぽくなります。
今回の例では以下のようにしてみました。

・喫茶店を経営する、お金を稼いで商売繁盛するのが目的
・美味しいコーヒーを作るとお客さんの評価アップ→客がたくさん来る
・資金が増えるとよりいい器具やコーヒー豆が買えるようになる

最終的にパーツは取り外してもいいので、短い文章になるようなパーツをできるだけ数多く生み出します

小さく作ったパーツ同士を組み合わせて新しいパーツを作るとか、パーツの不足部分を別のアイデアで補うとか、パーツの一部を変更して違うパーツにするとかでもOKだと思います。
これらの骨組みは、途中で何度も外したりくっつけたりしても大丈夫です。
最終的に時折原型をとどめていないことがありますが、土台の範疇であれば問題ありません。

アイデアは自分の知識を材料にして作られることが多いです。ということは、知識の引き出しが多いほど有利だと思います。
私は結構広く浅く色々な分野に手を出しているので、何かの拍子でアイデアという形でピンと来ることがあります。散歩してるときとか。通勤途中とか。お風呂入ってるときとか。

ちなみに、アイデアを捻り出すちょっとした裏技として、『あまり関係が無さそうなモノ』を適当に2個組み合わせると「お、これいけるんじゃね?」とちょっと独特な良いアイデアがでてきたりします。超オススメです。
上の例で言うと、『喫茶店を経営』+『お客さんが独特な人外生命体(なので時々店長に悩みを吐きに来る)』とか、ちょっと面白そうだと思いました。


ゲーム性をもたせて、遊べる仕組みを作ってみよう!

ある程度材料が揃ったところで骨組みは一旦仮のまま、遊べる仕組みを考えてみると良いです。ここが実は難しく、ぼんやり作ると何が楽しいのかよくわからないゲームになりがちです。

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ここで押さえたいポイントは次の3つです。

・ゲームとは、学習を嗜好化したもの(※)である
・既存のゲームの作りはとても参考になる
・ゲームシステムは、現実の現象をモデル化するのが近道

※参考『なぜ作ったゲームが面白くならないのか?基礎にして奥義「フロー理論」』より
https://note.com/kaerusanu/n/nc80f9523bb8e


○ゲームとは、学習を嗜好化したものである
詳しくは参考リンクの記事の該当部分を読んで欲しいのですが、
要するに「学習を行うと成功体験や報酬などの快楽をもたらすことによって、面白いと感じられる」ようになる仕組みを利用することで、提供しようとしているアイデアが、『遊ぶことができるゲーム』になります。

ほどよい難易度と、成功体験などを提供することで楽しい!またやりたい!と思えるようになり、逆に、学べることがなくなると、つまんなくなって飽きたりします。

○既存のゲームの作りはとても参考になる
他のゲームの作りを研究することも大事です。何しろ完成されている訳ですので。上の項目で言及した点を考慮しながら、どういうシステムがプレイヤーにどういう体験を与え、楽しいと思わせているのか、という観点で分析してみるとゲームシステム作りのヒントになることがあります。

また、『じゃんけん』というゲームはゲームシステム作りに大いに参考になります。じゃんけんは、ゲームのルールを考える上で、シンプルながら非常に参考にしやすいシステムです。

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・要素が3つのみで、覚えやすい。
・3すくみの関係で、全要素の勢力のバランスが完璧
・それぞれに象徴となるイメージがあり、イメージの通りに強い弱いが解る
・結果も勝ち、負け、(引き分け)しかなくシンプル

また、さらにゲーム開発の上で以下の特徴も併せ持ちます。

・ゲーム自体非常にコンパクトに完結しているルールの下で成り立っているため、アレンジや発展系が作りやすい 

この点から、ゲームのパーツとして非常に優秀で、じゃんけん要素を組み込んでいるゲームは多いです。定期ゲ系ではフタハナさんとかはじゃんけんの発展型ですよね。

○ゲームシステムは、現実の現象をモデル化するのが近道
当てはまる最も馴染みのあるのは「HP」なのではないでしょうか?
これは、いわゆるキャラクターの体力で『戦闘を行って負傷した結果として戦闘不能になる』という現象を、ヒットポイントという数値でモデル化したものになります。
一般的に「0より大きいときは戦闘可能」「負傷するほど減る」「0以下になると戦闘不能」という大雑把に3つの性質を持ちます。(詳細はwikipedia

これと同じように、ゲームのシステムには、数多く何かしらの現実の現象をモデル化したものが多く含まれます。逆に言うと、現実の現象をモデル化することはゲームのシステム作りに重要だと考えられます。
ただ、実際には、モデル化は正解が一つとは限らず、作りたいゲームに合わせてある程度アレンジする必要がありますが、正直このあたりはほとんど閃きの世界です。

また、逆に作りたいシステムから当てはまる現実の事象を探してブラッシュアップする、という考え方も有効ですが、前者より要求される技術やセンス、難易度が高いので慣れてきたらでいいと思います。

これらのような現実の事象をトレースするのは、当たり前ですが現実の事象の振る舞いに合わせた方がイメージしやすく、挙動に説得力が生まれるからです。
ただし魔法は現実の事象ではないですが、「魔法は術者の魔力を自然のエネルギーに変換して様々な現象を起こすこと」と、もっともらしい説明を加えるだけで現実の事象のように振る舞わせられます。
この場合はMPというステータスを対価に魔法を放つという仕組みになるでしょうかね。

○その他テクニック
ゲーム内ではプログラミングする都合上、あらゆるものは数値で扱えるパラメータにしておくと良いです。
例えば、コーヒーであれば、「苦味」「酸味」「甘味」「コク」とかそんな感じでしょうか。パラメータも、パラメータごとにパーツになっているので、これらを組み合わせるとシステムっぽくなります。

ちょっと喫茶店の例でなんかゲーム性をもたせた結果みたいなのを書こうとしたんですが、いまいちここから発展させにくかったので例はありません。ですが、パーツを組みわせるとなんかいい感じのものができるかもしれませんね。
んー…Lobotomy Corporationみたいに来たお客さんの好みの味とかを、客の反応から探るゲームとかどうでしょう?(雑)


他人の意見を聞いてブラッシュアップをしよう

色々やり方があります。親しい身内に「こんなのどう?」みたいに聞いてもらうのでも良いし、βテストとして公にテストプレイしてもらうのでも良いと思います。
定期界隈は割と新しいゲームにはたくさん反応をくれるので、ここが良かった・悪かったとかいっぱい意見を貰えるのが良いところですよね。

また、ゲームのプレイヤーは基本的に自分が思ったように遊んでくれないことが多いかと思います。装備丸腰で外にでかけて全滅したり、ダメージレースが始まって極端な攻略をする人も現れるでしょうし、自分が思う解法ではない方法で攻略されたりすることもあって、結構心的ダメージを受けます。
でも、ここから大量にいろんな事が学べ、良いゲームシステム作りに役立てられるので、めげずに頑張りましょう。

自分ひとりだけでは、気付けることはあまり多くありません。他者の意見というのはすごくゲーム作りに参考になります。


まとめ!

なんか考えたことをつらつらと並べたらなんだかまとまりが無くなっているような気がしなくもないですね。この記事で主張したいポイントは以下の5つです。これだけ覚えて帰ってね。

・ゲームを作り始めるときは「自分がやりたいこと」をハッキリ説明できるようにしておこう
・ゲーム作りは、やりたいことをベースにしたパーツをいくつも組み合わせていくのが大事
・ゲームシステム作りは、それなりに体系的に作ることもできるので参考にしてみよう
・既存のゲームの作りを分析することも、ゲームシステム作りに役に立つ
・ゲームがある程度組み上がったら他人の意見を聞いてブラッシュアップしよう

まだまだ書きたいことはありましたが、この辺で終わりということにします。ここまでお読みいただきありがとうございました。

私のもう一つの記事、25日目はこちらです。


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