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ニンジャスレイヤーTRPGリプレイ【リトル・バード・ファインズ・オールド・クロウ】#1

この記事は2022年4月29日に行われたニンジャスレイヤーTRPG ソロPLシナリオ「リトル・バード・ファインズ・オールド・クロウ」(NM:ANIGR、PL:楓)の内容をベースにしたテキストです。
加筆を含む諸々の手入れを行っています。「そういう物」として御覧ください。


PC紹介

◆スピットファイア (種別:ニンジャ/ストリート・善)
カラテ    6  体力   7
ニューロン  4  精神力  5
ワザマエ   6  脚力   3/N
ジツ     0  万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  7/6/4/4
回避/精密/側転/発動  6/6/6/-

◇装備や特記事項
 *ブラッドカタナ*、ショットガン、パーソナルメンポ

 『◉ニンジャソウルの闇』、『◉知識:公僕の流儀』、『◉知識:ビークル(バイク)』、『◉知識:犯罪』、『◉交渉:共感』

簡単なPCのパーソナル紹介は1回目のエントリーをご確認ください。
ディセンションして数か月、マイナーリーグで二流犯罪組織や野良のサンシタニンジャを相手に首尾よく成功を重ね、若干イキり始めた頃合でしょうか。しかしマッポの階級社会が雲の上まで連なるのと同じように、彼女は深淵の先にある真のニンジャの世界をまだ知りません。

~セッション前夜~
PL:マッポあがり(あがってない)のキャラなのでシルバーカラスの教えでケンドーからのイアイドー昇華とか夢がある
NM:まずは一度スワンソングとは別件でシルバーカラス=サンと接触するセッションが必要だな!
PL:やたー!よろしくお願いします!
(編注:終了後の今からしてみれば完全に「何も知らない大○洋」状態である。)


本編

■ネオサイタマ・ハイウェイ■

スピットファイアは貪婪な夜のネオサイタマをハイウェイ・パシュートカスタムを施された排気量1100ccバイク「パラベラム」で駆け抜けていた。
降りしきる酸性雨がネオンの海を濁し、瞬かせる。
混濁と明滅を繰り返す戌の刻の闇を切り裂くように、深紅の鉄馬が疾駆する。

シモイズミ・サハリ(前回の老マッポ。以下、サハリ):『聞こえるか、アカネ=サン』IRCからの通信だ。

サハリ:『今回の任……シノギだ、走りながら聞け』
サハリ:『ハイウェイ、オビロギインター近くにて暴走したと思われる戦闘兵器の大軍が破壊行動を繰り返している』
サハリ:『近くのマッポ達を向かわせたがすでに殉職者多数、手に負えん』
スピットファイア:「どこのクソ共がオモチャを放り投げた?」
サハリ:『厄介なのはそれが分からんことだ』
サハリ:『どこかのメガコーポだろうが……上層部はこれを使ってそこからカネを引き出したいと考えている』
サハリ:『故に、どこのメガコーポか分かるまではケンドー機動隊の出動は控えよ、ということだ』
サハリ:『カネの確約を取ってからでないと鎮圧は認めんとな』
スピットファイア:『相変わらずガメついこった。現場の連中も浮かばれねえ』スピットファイア――かつてのアカネ――も、当時NSPDの一部で根を張りつつあった経済性至上主義の被害者の一人であった。
サハリ:『ああ、すでに市民にも死者が出始めている。このまま手をこまねいているわけにはいかない。……故にお前さんだ、アカネ』
スピットファイア:『アタシのビズは時間稼ぎ?それともモップ掛け?』
サハリ:『清掃……と言いたいところだが数が多い』
サハリ:『できる限り敵を潰し、危険が過ぎるようなら撤退しろ』
サハリ:『撤退の判断は任せる。まだ戦えるのに背を逃げるコシヌケに育てたつもりはないからな』
配属されたての頃からこの物言いに何度泣かされたか分からない。が、こう言われては奮起せざるを得ないだろう。『親父の為に』――シモイズミ・サハリのリーダーシップとはそのような哲学であった。
スピットファイア:『アイヨ。"キレイサッパリ"が信条だが、死なない程度に暴れさせてもらうさ』
スピットファイア:『……そうだ、公共物の物損はそっち持ちだぞ。忘れるなよ、大事な契約条件だ』
サハリ:『安心しろ、それはこのオモチャ共を放った連中に支払わせる。利息付きでな』
フリーランスの女ニンジャにとってこのやり取りの意味は儀礼的な物に収まらない。スピットファイアの一太刀に、引き絞る引き金には決して安くない対価が伴うのだ。切実な問題がクリアされて初めて、野良犬は狼へと姿を変える事ができる。
今回のコントラクトにややこしい"補則事項"は無い。つまり、フルスロットルで行ける訳だ。
スピットファイア:『楽しくなりそうだ』
サハリ:『……あと2分で会敵。任せたぞ』ブツリ、そこで回線は切れた。

「アオーン!!」遠吠えのような咆哮が大排気量エンジンの鳴動と共に、ネオサイタマの闇を風音のように駆け抜ける。



◆◆◆

きっかり2分走ると、前方から銃撃音が聞こえてきた。

マッポ:「う、撃て!ひるむな!!」
同時に悲鳴に近い雄叫びも。
スモールヤブ:「スモールヤブは賢くつよい」
BRATATATATATATA!!
不運なマッポ:「ア……アバーッ!!」
マッポ:「く、くそお……!」
大量の兵器集団にマッポ達が応戦している、しかし戦況は明らかに悪い。
マッポ:「くそ、ケンドー機動隊はまだか!」

スピットファイア:「見知った顔がどうかいませんように…っと」

スピットファイアがささやかなおまじないと共に手元のボタンを押すと、ハイウェイ・パシュートカスタムを施された重二輪「パラベラム」は軽快な電子音と共に自動操縦へ移行した。荒っぽい手綱から解放された鉄馬は暴力的な速度を維持したまま、荒れたアスファルトの上を奥ゆかしく滑らかに巡航する。
ボディバッグに収めた愛銃のチャンバーをチェック。銃身を切り詰めた閉所強襲仕様のショットガンには既に重金属スラッグ弾がホトケめいてチャンバーの中で眠りにつき、目を覚ますその瞬間を待っている。同じくバッグに収められた緊急用ZBRアンプルの残数は既に補充済みだ。
全身の装具の弛みをチェック。胸部を守る防弾プレートの圧迫から逃れようとスピットファイアの胸が押し上がる。足首に忍ばせたクナイの位置を整える。ヘルメットの上に据えられたミハル・オプティ製のNVGの稼働をチェック。古巣のコネで手に入れたこの軍用NVGは決して最新式の高級品ではないが、ニンジャ暗視能力を増幅させスピットファイアを夜の女王へと変える魔法のアイテムだ。
車体脇のホルスターに鞘ごと収められたカタナはガンベルトの脇に増設された樹脂製の保持具へ。最後に――お気に入りのクロネコガムを一つ、口に放り込んだ。この間、僅か10秒である。

スピットファイア:「イヤーッ!
流れ弾が飛び交うなか、スピットファイアは車上から上方へ回転跳躍!慣性の力を借り、マッポ達が陣取る即製の抵抗線の後方へ低い姿勢で着地!
マッポ:「な、なんだ!?」
スピットファイア:「ブリキ缶から目を離すな!こっちは敵じゃねえ!」
マッポ:「りょ、了解!」
突然の乱入にうろたえるマッポへ手短にコマンドを下していく。ニューロンにこびりついたデッカー、セビ・アカネの残滓であろう。NSPDの階級社会で培われる共有意識か、あるいは個々の生存本能がそうさせるのか――マッポ達もまたスピットファイアの指示の下、素早く陣形を再編した。
スモールヤブ:「スモールヤブは敵を許さないです」
暴走兵器達は新たに現れたキミの存在を感知、その攻撃対象に加えたようだ。今夜も赤い血の花が咲く。

戦闘開始

NPCデータ

◆スモールヤブ (種別:戦闘兵器)
カラテ    4  体力  4
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   6
攻撃/射撃/機先/電脳  6/6/3/3
                            
◇装備や特記事項
 ショック・サスマタ: テック近接武器、ダメージ2(1+電磁1)
 ミニガン・アーム: 銃器、連射3、ダメージ1、射撃難易度:NORMAL
◆フクスケ・ドローン  (種別:戦闘兵器)
カラテ    1  体力   2
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   2  脚力   6(飛行のみ)
ジツ     –  万札   1
攻撃/射撃/機先/電脳  -/2/2/2

◇装備や特記事項
 ライオット・ショックガン: 銃器、射程距離2マス、連射1、電磁ダメージ1

 『◉飛行移動』:フクスケ・ドローンは常に6マスの『移動可能』を行う。
◆マッポ (種別:モータル)
カラテ    2  体力   1
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   1
攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/1/1

◇装備や特記事項
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1
備考:クローンヤクザと同じ能力だ
開始時の初期配置図。キャラクターの配置は「たしかこんな感じ」である。


●1ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:高速側転判定→フクスケ・ドローンに強攻撃

NinjaSlayer : (6B6>=4) → 4,4,6,2,6,2 → 成功数4
NinjaSlayer : (6B6>=5) → 6,6,5,4,2,4 → 成功数3

(編注:強化強攻撃の判定は連続側転による難易度+1ペナルティを加味したUHロールが正解だった。結果的に判定は成功しているが、PLはこのテキストの公開後すみやかにケジメを実施せねばなるまい。)

ドローン:「ピガガガ……殺害、パワー、殺害」暴走ドローンはマッポ、一般車両問わず銃撃を続けている!
スピットファイア:「イヤーッ!」車の影から状況を視認した後、連続側転でドローンに強襲機動!側転の勢いのままドローンを両断、撃墜!
ドローン:「ピ……ピガーッ!?」フクスケは突如襲来したスピットファイアの一撃に撃墜!
マッポ達:「う、うおお!? す、すごい! デッカーか!?」マッポ達から歓声!
スピットファイア:「気ィ抜いてんじゃねえ!コロサレッゾ!
マッポ達:「ア、アイアイサー!」
スピットファイア:「(そうだ、生き残る事に集中しろ。アタシの事はなるべく見るな、記憶するな、きっとお前達の傷になる)」

マッポ達の銃撃
マッポ:「撃て! NSPDの気合を見せろーッ!」
BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!
ドローン:「ピガガーッ!」
スピットファイア:「いいぞ、アカチャン!訓練を思い出せ!」
スピットファイアの助太刀で士気を取り戻したマッポ達がドローンを撃墜しはじめる!
……だが

敵NPCの手番
スモールヤブ:「スモールヤブは抵抗する暴徒を許しません」
スモールヤブ:「いまなら投降を受け付けています」マイコ音声放送と同時に射撃!
スモールヤブ:連射3、上のマッポに

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 5,4,3 → 成功数2

スモールヤブ:下のヤブも攻撃

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 2,2,3 → 成功数0

ドローン:マッポへ銃撃

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 3,2,3 → 成功数0

BRATATATATA!
BRATATATATA!!
BRATATATATA!!!

不運なマッポ:「アバババーッ!」車の影から身体を曝していたマッポの上半身が瞬時に血煙に変わる!
マッポ:「サ、サブロ! ウワーッ!!」
相勤であろうマッポにも機銃弾が降り注ぐ!相手の射撃精度の低さ幸いし、辛うじて難を逃れた!
暴走兵器達の圧倒的な弾量による銃撃!運よく凶弾を躱したマッポ達も車の影から身を出す事ができない!度重なるコストカットの結果、防弾性能をナーフされ続けているNSPDのマッポカーは瞬く間にスイスチーズめいて変わり果てた姿に!
スピットファイア:「ブッダファック…!」
父の最期、大失敗に終わった強襲作戦、マルノウチ抗争――赤黒く汚れた過去の記憶がフラッシュバックしかけるが、スピットファイアのニンジャ精神力がそれを押しとどめる。鉄火場では弱気になった者から順に死んでいくという事実を、スピットファイアはとうの昔に思い知っていた!

●2ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:「あのミニガンの制圧射撃は危険すぎる…なんとかしないと」
スピットファイア:もう一度側転判定→強攻撃で斬ります

NinjaSlayer : (6B6>=4) → 6,2,5,2,5,5 → 成功数4
NinjaSlayer : (8B6>=6) → 3,5,1,4,4,5,5,4 → 成功数0

ギィン!! スモールヤブの硬い装甲は力任せの一撃を弾き返した!
「スモールヤブは惰弱な一撃を通しません」この戦車めいた過剰装甲、ただの暴徒鎮圧用兵器ではない!
スピットファイア:「かったぁ…!?」
スモールヤブの装甲にスピットファイアのカラテが力負けした事実が硬い衝撃となって腕を襲う。ニンジャの力をも凌ぐ装甲に驚きの色を隠せない

マッポ達の銃撃
マッポ:「く、い、いまのうちだ! 撃て撃て!」
3人のマッポでフクスケドローンに攻撃

NinjaSlayer : #1 (3B6>=4) → 4,4,4 → 成功数3 #2 (3B6>=4) → 2,6,3 → 成功数1 #3 (3B6>=4) → 4,5,2 → 成功数2

BLAM! BLAM! BLAM!
ドローン:「ピガッ……!」
マッポ:「いける、いけるぞ!」
スピットファイア:「ヒュー!ヤルジャン!」視線をヤブに正対したまま鼓舞の声を張り上げる。

敵NPCの手番
スモールヤブ:マッポに銃撃

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 6,1,4 → 成功数2

スモールヤブ:「ホノオ!」その口笛をかき消すようにマシンガンの音が夜を引き裂く!
BRATATATATATATA!!
不運なマッポ:「ア・・・アバーッ!!」マッポ無惨!

スモールヤブ:「スモールヤブは銃器所有者を優先します」

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 1,1,5 → 成功数1

BRATATATATATATA!!
不運なマッポ:「アバーッ!」マッポ無惨!
生き残った若マッポ「ア、アイエエエ……!」
ナムアミダブツ! なんたる過剰装甲と火力か!

●3ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:「なんつー破壊力だ…ヒラのマッポじゃ相手にならねえ」
スモールヤブ:「スモールヤブは対ニンジャを想定して作られています。パワーこそパワー!
無慈悲な宣告と同時に一般車両を破壊!
「アイエエエアバーーッ!」サラリマン無惨!
スピットファイア:「くそ、見境がねえ!これだから機械は!」
スピットファイアの弱点は己の理解の範疇を超えた事象である――つまり、オバケとハイテックへの苦手意識は凄まじい!

スピットファイア:上に1マス移動、強攻撃!

NinjaSlayer : (8B6>=5) → 4,4,1,1,2,4,5,2 → 成功数1

スピットファイア:「イヤーッ!」マッポ部隊へ銃撃を続けるスモールヤブの関節部に力任せの斬撃!刃は…徹る!
スモールヤブ:「ピガーッ!」飛び散る火花と構造体、スモールヤブの巨体が揺らぐ! 装甲が薄いところであれば十分に一撃は通る!だが……一撃では倒れない!
スモールヤブ:「脅威対象を変更」スモールヤブ達の無機質なカメラアイがキミを向く。その姿は威圧的だ。
スピットファイア:「アハッ…怒った?」不敵なキツネサインを投げる

残存マッポの銃撃
マッポ:「え、援護を!」

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 4,6,6 → 成功数3 → サツバツ!!

PL:優秀だ

BRAM!BRAM!
まだ戦えるマッポ達が懸命に援護射撃をするが、装甲をわずかに傷つけるだけで撃破にはまったく至らない!

敵NPCの手番
スモールヤブ:遠いスモールヤブから射撃攻撃

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 1,1,5 → 成功数1

スピットファイア:ダイス3個で回避します

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 3,2,5 → 成功数1

スモールヤブ:2番手ヤブの攻撃! ショック・サスマタ:テック近接武器、ダメージ2(1+電磁1)

NinjaSlayer : (4B6>=4) → 2,1,5,1 → 成功数1

スピットファイア:残りのダイス3個で回避

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 6,3,1 → 成功数1

スモールヤブA:「ホノオ!」BRATATATATATATATA!!挑発的なキツネサインへの返答、銃弾の嵐がスピットファイアを襲う!
スピットファイア:「キャハハ!」高速バク転で猛火を交わす!コンマ数秒前にいた位置に降り注ぐ銃弾!
スモールヤブB:「クシザシダ!」間髪を入れず、スモールヤブの手にしたショック・サスマタがスピットファイアに振り下ろされる!
スピットファイア:「イヤーッ!」横薙ぎの斬撃がサスマタの軌道を逸らす
スモールヤブB:「ピガーッ!」タツジン!サスマタが道路に突き刺さりひび割れを作る!スモールヤブの連携攻撃を封殺!

●4ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:集中→通常攻撃で

NinjaSlayer : (8B6>=3) → 1,1,5,5,2,6,4,6 → 成功数5
NinjaSlayer : サツバツ表(5) → 「これで手も足も出まい!」敵の両腕をダブルチョップ切断! 傷口から鮮血がスプリンクラーめいて噴き出す!
 『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『カラテダメージ2』と『ワザマエダメージ2』と『●部位損傷:腕部』を与える。

スピットファイア:「マッポ3人分のオツリだ!イヤーッ!」
アスファルトからサスマタを引き抜こうとするスモールヤブの片腕を基部ごと破断!
スピットファイア:「コレはオマケ!イヤーッ!」
姿勢を崩したスモールヤブの側面に素早く回り込み、残った片腕の基部へ鋭い切り上げ斬撃!回転ノコめいた軌道の白刃が金属を破断する!
スモールヤブ:「ピガガガガーッ!」両腕を破断されたことで耐久限界を迎えたヤブは……爆発四散!!KA-BOOOOOOOOM!!
若マッポ:「や、やった!?あと一人です姐さん!!」
若いマッポが歓声を上げる。
だが、その時だ。

「スモールヤブは」
「敵を許しません」

ハイウェイの向こうからさらに二体のヤブ!
サハリ:『おい、聞こえるか!暴走兵器が予想以上に多い!』
スピットファイア:『よく聞こえるよ!ワンコソバめいて湧いてきやがる』
新手の暴走兵器を睨みつけながらIRCへ怒鳴るスピットファイア。
スピットファイア:『例の増援はどこでションベンしてやがる!』
サハリ:『別地点も同様の状態だ! ケンドー機動隊の出動許可が出たが、そちらを優先している! 今後出現規模が増す可能性もある!』
サハリ:『その地点はお前ひとりで片付けられるか!』
スピットファイア:『……アンタがそういう時はやるっきゃねえ時だろ!』歯をむき出しにして笑いながら応える
サハリ:『いい子だ、死ぬなよ。お小遣いは弾んでやる』
スピットファイア:『そりゃドーモ!!』

若マッポ:「あ、姐さん……!?」マッポが心配そうな目で君を見ている
スピットファイア:「そこのガキ!折角ここまで生き残ったんだ、死にたくないよな!?さっさと片付けて家に帰るぞ!!」
若マッポ:「ハ、ハイ姐さん!」
マッポの目がソンケイに輝き――

スモールヤブ:「スモールヤブは重点対象をハッケンしました」
――それを嘲るようにさらなるスモールヤブが現れた。

若マッポ:「ア、アイエエ! もう1体!」
スピットファイア:「次から次へと…!」

「――同感だ。次から次へと」
声は、上から聞こえた。

???:強攻撃

NinjaSlayer : (5B6>=4) → 1,4,4,4,4 → 成功数4
NinjaSlayer : (5B6>=4) → 4,2,5,4,6 → 成功数4

二回の斬撃はスピットファイアの目を以てしてやっとその軌跡を追える程度
たったそれだけで、スモールヤブは――
「ピ……ピガガーッ!?」爆発四散!!

???:「……これで8体目。クライアントは一体何体逃したんだろうな」
スピットファイア:「……ハハ、結構なワザマエで」
スピットファイア:「(ありゃあニンジャだ、それは間違いない。なら味方か、敵か?)」

無造作にカタナを振るとその男は君を見た。
???:「見慣れん顔だな。所属は?」
鈍銀の装束の男に問われ、答えに窮する。持ち主を失った車の窓ガラスには、帰る場所を失った野犬のような己の姿が映る。
アタシは、セビ・アカネは、スピットファイアは――
スピットファイア:「…ドーモ、見知らぬ剣豪さん。スピットファイアです。所属は…フリーランスのセイギノヒーローだ」
シルバーカラス:「……ドーモ、スピットファイア=サン。シルバーカラスです」

◆シルバーカラス (種別:ニンジャ)
カラテ     9        体力    10
ニューロン   7    精神力    8
ワザマエ   10        脚力    5/N
ジツ       0            万札    10

攻撃/射撃/機先/電脳  10/10/7/7
回避/精密/側転/発動  10/10/10/-

◇装備や特記事項
 装備:ウバステ、ZBRアドレナリン注射器、トロ粉末、Pメンポ、Tスーツ
 スキル:
●連続攻撃2、●連射2、●時間差、●マルチターゲット
◉◉タツジン(イアイドー)
◎ヒサツワザ「ムーンシャドウ」
◎ヒサツワザ「タイノサキ」
◎グレーター・ツジギリ
◎銃弾の見切り
◎爆炎の見切り

シルバーカラス:「つまりはボランティアか、精が出ることだ」シルバーカラスはなんの感情も乗せずにいった。
スピットファイア:「アンタも似たようなもんだろ、違うのか?」シルバーカラスと名乗った男の装束をつま先から舐めるように見た後、探りを入れるように問いかける。
スピットファイア:「(あの斬撃は躱せるか?散弾で接近阻止…無理だ、どうしたもんか)」
耳の奥がチリチリするような感覚。この男が自分に向かって抜刀した時、少なくとも先手を取る事は難しい――デッカーとしての経験が、手探りで取り戻してきたケンドーのワザマエが、ニンジャとしての本能が、『この男には勝てない』と警鐘を鳴らす。
シルバーカラス:「あいにく奉仕精神は持ち合わせていないものでな」
シルバーカラス:「ボランティアをしたいなら俺のことは気にせず続けてくれ、正義のヒーローさん」
――幸い、シルバーカラスの当座の獲物は暴走した兵器群のようだ。"敵の敵"である内において心強い点は確かだろう。
その後の事は……今考えても仕方ない。

敵NPCの手番
スモールヤブ:「ピ、ピガガッ……! 新規対象!」
スモールヤブ2体がシルバーカラスに同時に襲いかかる!

NinjaSlayer : (4B6>=4) → 4,3,6,4 → 成功数3
NinjaSlayer : (5B6>=4) → 5,2,6,1,2 → 成功数2

シルバーカラス:(それぞれ5個ずつで回避)

NinjaSlayer : (5B6>=4) → 2,3,5,6,1 → 成功数2
NinjaSlayer : (5B6>=4) → 2,3,6,6,2 → 成功数2

シルバーカラス:6・6。タイノサキ発動

スモールヤブ:「オムラ!」スモールヤブがサスマタをシルバーカラスへと突き出す!
シルバーカラス:「手厚い歓迎だな」
そのサスマタに先程のスピットファイア同様カタナを添わせると……
次の瞬間、シルバーカラスのカタナは、相手の勢いそのままにスモールヤブの心臓部を深く貫いていた。
スモールヤブ:「ピ、ピガガガガガガ」
スモールヤブ:「ピガガガーッ!!!」爆発四散!

シルバーカラス:「焦げ臭くするのはやめてくれよ、一張羅なんでな」
スピットファイア:「…なんだありゃあ、そんなもんアリかよ…!」
あれほどに堅牢に思われたヤブの装甲を、シルバーカラスのカタナは溶断するかのように切り裂いていく。スピットファイアはその出鱈目な光景に暫し目を奪われた。

スモールヤブ:「オ、オムラーッ!!」残り一体のスモールヤブがスピットファイアに突撃!
シルバーカラス:「そっちにいったぞ、正義のヒーロー」

NinjaSlayer : (4B6>=4) → 5,3,2,5 → 成功数2

スピットファイア:ダイス6個で回避

NinjaSlayer : (6B6>=4) → 6,3,5,6,5,6 → 成功数5

スピットファイア:「ドーモ!イヤーッ!」シルバーカラスの警告とほぼ同時に回避機動、振り下ろされた腕に大上段から斬撃!
スモールヤブ:「ピガガーッ!」腕が圧し曲がり、たたらを踏む!

若マッポ:「ふたりとも……すごい……ア、アイエエエ……ニンジャナンデ……?」

残存マッポの銃撃
若マッポ:援護銃撃

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 3,3,6 → 成功数1

若マッポ:スピットファイアの眼の前のヤブに1ダメージ、残りHP2

スピットファイア:「(ヤッコさんの意図は分からないが、このデカブツ共はなんとかなる…問題はその後…!)」

●5ターン目

シルバーカラスの手番
シルバーカラス:精密強攻撃2連

NinjaSlayer : #1 (5B6>=4) → 2,5,5,2,6 → 成功数3 #2 (5B6>=4) → 6,3,6,5,3 → 成功数3 → サツバツ!!
NinjaSlayer : サツバツ表(4) → 「どこへ逃げても無駄だ!」敵の脚を無慈悲に粉砕!
 『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『カラテダメージ1』と『脚力ダメージ2』と『●部位損傷:脚部』を与える。

シルバーカラス:「イヤーッ!イヤーッ!」
シルバーカラスが力を込めてカタナを振るう。ワザと力を兼ね備えたイアイが脚の分厚い装甲を両断!
スモールヤブ:「ピガッ……」
シルバーカラス:「イヤーッ!」宙に浮いた上半身をそのまま断ち切る!
スモールヤブ:「ピガガガガーッ!!」爆発四散!
スピットファイア:「…ワザマエ!!」畏怖か、口惜しさか、判別のつかない感情を抱えながら賞賛の言葉を投げかける。

シルバーカラス:「最後の一体は任せていいか」
そう言うとシルバーカラスはタバコを取り出し、口に咥えた。
スピットファイア:「ふざけた野郎だ……アイヨ!もらってくぜ!」

スピットファイアの手番
スピットファイア:集中して強攻撃

NinjaSlayer : (8B6>=4) → 1,1,5,6,4,3,5,5 → 成功数5

スピットファイア:「イヤーッ!」
直上に跳躍し落下の勢いのまま頭部に斬撃!シルバーカラスとは打って変わって無軌道な力任せの一撃!
スピットファイア:「『パワーこそパワー』だっけか?勉強になったよォッ!!」
スモールヤブ:「ピガガガガーッ!!」頭部内のメインコンピューターが破壊!機能停止!爆発四散!
若マッポ:「ヤ、ヤッタ……!!」
スピットファイア:「これで全部か!?」
シルバーカラス:「……」

サハリ:『おい、アカネ! 片付いたのか!』
スピットファイア:『…ブリキ共はケリがついた、ただ…』
サハリ:『ただ、なんだ――ナニィッ!?
スピットファイアの声を遮るように、老マッポが声を上げる。
サハリ:『すまん! また新しい暴走兵器が現れた!今度はさらに大規模だ!また連絡する!』
無線は一方的に切断された。

スピットファイア:「あーあ…これだからNSPDの指揮系統はダメなんだ」
シルバーカラス:「忙しないことだな」
タバコに火をつけたまま、シルバーカラスが無関心に言った。
スピットファイア:「見苦しくてすまなかったね…あー…シルバーカラス=サン」
スピットファイアは返り血のように飛び散った機械油を拭い、刀を鞘に収めた。指先は散弾銃の引き金に触れている。
スピットファイアの言葉に答える代わりに紫煙がメンポから吐き出される。その香りは存外に安い銘柄のように思われた。

スピットファイア:「アンタはどこのクライアントから?ビズはもう仕舞い?」
シルバーカラス:「まさか。今回のものを全て片付けるのがクライアントのお望みでな。……思ったより数が多い、追加料金をどうせしめるか思案していたところだ」
シルバーカラスはそう言うと、タバコを捨て、足で踏み消した。
スピットファイア:「そうかよ。仕事熱心なこって」男から眼を離さない。

シルバーカラス:「暴走兵器にしては動きが思ったよりも統制されている」シルバーカラスはぶっきらぼうに言った。「どこかに指揮官機がいる」
スピットファイア:「要するに、てめえのとは別にデケぇ脳みそがあるって事だな」
シルバーカラス:「今回のクライアントは秘密主義でな。探すにも情報が足りない」
シルバーカラス:「NSPDで何か掴んでいるなら、教えてもらえると助かる」

平然とNSPDの名前を出すと、シルバーカラスはついてこいとばかりに駆け出した。
「まぁ…お見通しだわな…」大人しく後に続くスピットファイア。

「ア、アイエエエ!」色付きの風と化した二人をマッポは腰を抜かしながら、しかしスピットファイアへの敬礼は忘れずに見送った。

【リトル・バード・ファインズ・オールド・クロウ】#1終わり #2に続く


あとがき

編者兼PLの楓です。今回は前後編の2回にわたってお送りします。
モブ敵相手に手間取りすぎて尺を取ってしまいました。
手数が足りない+その分確実に回避しやすい→有効打が出にくい という印象です。もっとスキル等を強化していけば変わるのかもしれませんが…

第2回にしてPLの推し原作ニンジャ、シルバーカラスが登場です。……しかしながら、ユウジョウ!というようなアトモスフィアにはなりません。
元とは言えデッカーのスピットファイアとではやはり水が合わないのでしょう。女の子にヘラヘラしてるシルバーカラスも見たくないですしね。でも多少デレてくれても良いのよ?

シルバーカラスに所属を問われ、口をついて出た『フリーランスのセイギノヒーロー』という自称。スピットファイア(=アカネ)の過去や胸中にある自嘲といった物を考えつつのRPでしたが、このコトダマが彼女の未来を大きく左右していく事になります。果たしてアカネは正義の看板を背負ってどこへ向かうのか。後編、そして次のセッションへ続きます!

【おことわり】スピットファイアの顔アイコンはartbreederを、シモイズミ・サハリ(老マッポ)は拝式目付きの悪い男メーカーをそれぞれ使用しています。イケオジヤッター!【感謝】

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