自分のルーツを知るのが幸せ?『葬送のフリーレン』を読んでみて

「このマンガがすごい!」のランキング2位を獲った『葬送のフリーレン』

僕も最近読みました。
で、早速ハマりました^^

少年サンデーのマンガだけれど、とても温かい雰囲気で癒やされる。
ある意味で少年マンガぽくない。

むしろ少年時代が終わった大人のほうが、
心動かされるマンガです。

コロナ禍で人と会えず、分断が深まっているけれど、
そんな人にこそオススメしたいな、と。


温かい雰囲気で癒やされるのはなんでだろう?
というと、個人的には、

 恩を知って、意外に恵まれている自分を知るから。

と思いました。

「恩」というとなんか小学校の道徳みたいですが、
実際はもっと身近な話。

というのも恩は、
「今の自分がある元(原因)を知ろうとする心」
だから。

自分のルーツを振り返ること、
思い出すことなんですよね。

仏教を聞く時には、恩を知ることがまず
大事な心がけと言われますが、

それも「今の自分があるのは誰のおかげ?」
を知るのが大事、ということ。

そんな恩を振り返るシーンが
『葬送のフリーレン』ではよーく出てきます。


たとえば、主人公のエルフで長寿な魔法使い・フリーレンが、
弟子から「なぜ魔法を集めているのですか?」と尋ねられた時。

70年前の旅で「花畑を出す魔法」を仲間に観せたら、
一緒に旅していた勇者がその花で作った花冠を作り、
褒めてくれたことを、フリーレンは思い出す。

そして一言。
「私の集めた魔法を褒めてくれた馬鹿がいた。
 それだけだよ」

と。

また70年前の旅で勝てなかった魔族との再戦でも、
亡くなった魔法の師匠の教えによって勝った。

 「魔族は魔力の強さで、階級が決まる。
  だから自分の魔力がいかに強いか、見せたがるんだ。
  少なく見せる発想が無い」

 ※この世界では、魔力の大きさは目で見えます。

だからフリーレンは「魔力を少なく見せる」修行をずっと続けて、
魔族を油断させた。

そして魔族の自滅を誘って、勝ったんですよね。


他にもまだありますが、『葬送のフリーレン』では
亡くなった人との関わりを思い返すシーンが、とにかく多い。

そしてちょっと嬉しくなったり、強敵を倒せたり。

いずれも共通していると思ったのは、
「亡くなった人が大切にされているなー」
ということ。

亡くなった人がくれた言葉とか、
思いやりとか、教わったこととか。

それをフリーレンは旅する中で、次々思い返すのです。


こうやってフリーレンが思い返すようになったのは、
70年前の出来事がきっかけでした。

旅の末、勇者・戦士・僧侶と一緒に旅して魔王を倒した。
皆は感慨深げでしたが、長寿のフリーレンにとっては短い旅でした。

だからサラリと「50年後に再会しよう」と告げて、仲間と別れた。

再会し流星群を一緒に見た後で、勇者は亡くなったのですが、
彼の葬儀でフリーレンは自分が勇者について何も知らず、
知ろうともしなかったことに気付いて涙する。

 「…人間の寿命は短いってわかっていたのに…
  …なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう…」

そしてまた、フリーレンは旅を始めた。

 「私はもっと人間を知ろうと思う」

と告げて。


いや、ホントに癒やされますね^^
このマンガには。

そして、
「普段忘れてる恩がめちゃくちゃ多い」
ということにも気付かされました。

授業の単位落としそうになった時に、
一緒に宿題やってくれた友達や。

カギを失って家に帰れなくなった時に、
お金を貸してくれたバイト先の先輩や。

いやー、思い出すと意外と恵まれてる。
けれど情けないことに、忘れていたんですよね。


中でも特に感慨深いのは、高校の現代文のI先生。

実に厳しい先生で、簡単な質問で答えられないと
「立ってなさい!」と言われる。

さらに、I先生が昔勤めていた進学校(K高)の生徒と
とにかく比べられた。

「K高なら皆答えてたよ」
「K高では皆、家で3時間は勉強してた」
こんな感じでした。

それを聞くたびに僕は、

知るかー!
ここはK高じゃないんだ!
と心の中でキレてたし、

クラスメートの話を聞いても、
同じように感じてる人が多かったです。


でもこのI先生の最後の授業で、クラスの皆が拍手した。

「え、なんで拍手してるの?」
わけがわからず、僕は1人キョトーンとしてました。

でも今思えば、
皆なんだかんだ言って、I先生に感謝していたんじゃないかな、
と思います。

I先生は厳しかったけれど、それだけ皆知識は身についたし、
しかも目先の受験勉強とは一線を画す、ずっと使える知識も多かった。

たとえばスピーチの授業では、

 「同じテーマでも、周りと違う切り口のほうが
  面白いスピーチになる」

と教わりましたが、
「周りと違う切り口」はこの記事を書く時にも、意識しているコツです。

15年以上も前に教わったコツが、今も活きている。
I先生、今更ながら有難うございますm(_ _)m


でも情けないけれど、忘れてたんですよね。
ずーっと使えるコツを教わった恩を。

それが『葬送のフリーレン』を読んだのをきっかけに、
当たり前にして忘れてた恩を思い出して、

「意外と自分、恵まれてんだ」
と知らされた。

仏教の話で、
「もっとも不幸な人は感謝の心の無い人」
と聞いたことがありますが、

自分のルーツを知ると感謝したくなるし、
幸せ感じるんだな。

改めてそう感じました。


コロナ禍で人と直に会わなくなると、
ますます1年が飛ぶように過ぎる感覚になるけれど、

そんな時こそ当たり前にして忘れてた恩を思い出すには、
よいタイミングだと思うんですよね。

どんな恩を受けているか?
は仏教聞いていくと、よく分かりますよ。

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