【ネタバレあり】仮面ライダーオーズ/OOO 復活のコアメダルとは何だったのか

3/17の深夜です。
地震で目が覚めて眠れないのでつらつらと思ったことを書いていこうと思いました。

https://www.toei-video.co.jp/ooo10th/

この映画は良かったところも悪かったところもありますし、納得できるところもそうでないところもあります。
ネタバレ全開で話していくので、見たくない方はページを閉じてお帰りください。

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




























結論から言うと、この映画は火野映司を殺すためのストイックな物語でした。


よかった

①古代オーズvsプトティラと言う最悪と最悪の対決。すごい!どっちが勝ってもろくでもない!

②アンクが生きてる。
ただのメダルの化け物が死んで、生き返る所まで来た。
生き返った後のアンクはTV版(グリードの時)とは打って変わって映画の中で起こる様々な現状に憤り、悩み、涙する。
身体は相変わらずメダルの化け物であるけど、表情豊かになった彼は正しく「生きている」と呼べる状態であり、実際に古代オーズにコアを呑み込まれた時も他のグリードと違い自我を失っておらず逆に反撃の糸口を掴み取った。
また、他のグリードが古代オーズ王の欲望によって復活した一方で、彼は復活していなかった。これは彼の欲望がTV版で満たされ『もはやグリードではない』と言うことの証でもあるのだと思います。

③火野映司の死因
物語の冒頭で火野映司は死ぬ。
古代オーズ王との戦いで大きなダメージを受けて変身が解除されてしまいつつも、そこにいた少女を生身で庇って死亡してしまう。
死亡の是非については置いておくとして、火野映司と言う人間はそういう死に方をするかと聞かれると、多分そういう死に方をする。
これは非常に「らしい」死因だったと思います。お前はそういう死に方を、する。

わるかった

①古代オーズ王がチンピラ
②ゴーダ君もチンピラ

800年の眠りから覚めた古代オーズはその力でグリードたちを蘇らせ、破壊の限りを尽くしていた。
……作中で誰も王の名前を呼ばないので古代オーズ王と呼びます。
王は冒頭、場当たり的に出てきては適当に暴力をふるい、勝確みたいな場面で特に止めを刺すでもなく手下ともども去っていきます(なんで?)
かと思えばその後、映司との戦いが描かれたシーンではしっかり止めを撃ってきてるんですね。キャラが……ブレてる……!

その後も場当たり的にウヴァを送り込み、負けて帰ってきたウヴァを処罰し、ついでにグリードたちのコアメダルを再度取り込み(なんで?)何故かヤミーすら生み出さず一人カチコミをかけてきます。

そこに立ち向かうのがゴーダ君です。
こちらもチンピラです。
「火野映司と違う形で火野映司の欲望を叶えて火野映司になってやるぜ!」「お前たちを利用してやる」みたいなことをブツクサ言っていまして、実際ウヴァを一蹴したくらいの実力はありましたがもう古代オーズ王にボッコボコにされてます。
利用もクソもないです。もうすごい弱い。コンボ使っても弱い。アンクの機転がなければそのまま映画終了です。

しかし結果としてゴーダ君は古代オーズ王を撃破し、物語は――

……の前に。
ゴーダくんはどうもTV版の後くらいで『火野映司の欲望を使って作り出した人工グリード』と言う設定があります。
火野映司の欲望はTV版でのテーマでもあり、彼は誰かを助けるために何処までも伸びる腕が欲しかったと自覚する。これはTV第一話でアンクの手を取ったことで叶っていたのだと、それ以上のことは一人の手では出来ないことで、皆と繋ぎ合う腕なら可能であったと、TV版の終盤で気付いていたのであった。

――話を戻そっか。
古代オーズ王を撃破し、そのコアメダルを吸収したゴーダくんは急に「これが欲していた最強の力だ~~~!!!」と言い出し、こちらに向かって襲いかかってきます。まぁ敵キャラなのでその後ボコボコにされるんですが「俺は最強の力を手に入れたはず~~~!!!」風なお約束を吐きながら爆発します。

待ってくれ。
お前は火野映司の欲望から生まれたんじゃなかったのか。
火野映司の欲望の何処にその要素があった???
キャラが……ブレてる……!

そして映画終盤、皆に見守られながら火野映司は真の死を迎えます。
いや葬式とかなかったけど……流石に……死んでるじゃろ……ってくらいは死にました。が

③死にかけの映司を前に手当もせず伊達さんが棒立ち。医者やめました???
④比奈ちゃんも手を握って諦めていく。てかこの女「こんな時映司くんがいてくれたら……」とか言って映司が古代オーズ王と戦ってくれるよう祈ってたりで、TV版で「映司くんは都合の良い神様じゃない!!」と憤ってた姿は欠片もありません。知世子さんに言われた(そしてTV終盤のキーとなった)全員帰ってくるのが一番とかの話ももう忘れたのでしょう。
もしかしたらこっちもグリードだったのかも知れません。無傷の兄貴の身体使われてももう文句の一つも出さないし……
⑤あとなんかそこに映司が助けた子供をどこからともなく連れてくる里中くん
今度はあの子供を助けられたんだと安堵する火野映司(なお子供は泣くでも感謝するでもなく怖いくらい無表情です。この子供もグリードかも知れません。)

このように、うっすいチンピラと戦い、ブレたチンピラと戦い、棒立ちの皆に囲まれながら火野映司は看取られます。
それは欲望の物語と言うにはあまりに諦めの良い、終わるべくして終わるためのシーンで……


いや死ぬなよ!!!
兄貴の肉体もグリード経由で生き返ったんだしそこで生き返っても別に何の支障もないじゃん!!!!

ハッピーエンドで終われという事ではなく、必然がないということです。
うっすいチンピラと戦い、破れ、もう死んでました~ でもアンク生き返ったね~~よかった~~ じゃないんだよ!!欲を!!出せ!!!
オーズは欲望の物語でしょ!!!執着しろ!!!全員突然諦めが良くなるな!!!! この項目の見出しになってる虫を見ろ!!半分折り曲げられても頑張って逃げたぞ!!
この廃墟になってる東京を放って逝くな!! むしろここからが大事だろ!!!手を!!伸ばせ!!!!!0!00!!!!


映画終盤戦闘の流れはTV最終回周りのセルフオマージュです。最後に失われたのがアンクか映司かの違いでしかなく、台詞回しも無理にそうしているせいで非常にちぐはぐでサイコパス気味の問答が多々ありました。
淡々と、最終回を鏡写しにするように、火野映司を喪わせるためだけのラストへと向かっていく。そのために他のすべてを捨てていく。
非常に斬新でストイックな構成でした。ありがとうございます。

つまらない

断っておくと

「こうすればもっと良くなった」みたいな話をしたいのではなく、結末ありきで組み立てられたお話はあんまおもんないねという愚痴のようなノートです。

先に書いた通り、火野映司と言う人間は『きっとそういう死に方をする』とは思いますし、命あるアンクから『欲望』以外の側面を見られました。
キラキラタジャドルは格好良かったですし、コアメダル特化のバースXも「そりゃ開発するよね」と納得の行く正統後継機でワクワクします。

アンクと映司の物語としてはきちんと片がついたのだと。
生ける屍、乾いた砂になっていた火野映司と言う人間は今度こそ自分の欲望を果たしたのだと言う面もあり『二人の最後の物語』とするならば纏まっているのかなと思う部分は大きいですね。

それを踏まえてもお金払って見てくださいとはあんまり言いたくないなーってなっちゃうんですけど……

締めの言葉が思いつかないのでいものリスト置いときます

応援してもらえるとおやつが買えます