君は自転車を盗まれたとき、自転車泥棒からこれを買うことができる (ゲートルーラー流出の公式文書に関して)
大人気カードゲーム、ゲートルーラーのテストプレイ用のカードがインターネットに流出していることがツイッターで話題になりました。
本来はパックに封入され、ランダムにユーザーの手に渡るべきカードがコンプセットのような形で販売されてしまっていることはカードゲームの流通や信頼にかかわる重大な問題です。
その情報が出回って数日以内にゲートルーラー公式が対応について発表しました。
この文書について思うところは皆さんあるでしょうが、僕が特に意味がわからなかったのが下記の2点です。
個人的に感じた疑問をまとめていこうと思います。
登場人物を軽く紹介しておきます。
・遊縁 : カードゲーム「ゲートルーラー」の制作・運営をしている会社。
・大興印刷 : 「ゲートルーラー」の印刷・流通を担当していた会社。かつては「ゲートルーラー」を製作する合同会社を遊縁と作りましたが、遊縁に愛想をつかせて、合同会社を解消しています。
また、以下の文章中に法律用語っぽい言葉も出していますがあまり深く追求しないでもらえると幸いです。
出品されたカードを落札している問題
本来は破棄すべきカードを業者が横流ししていた、これは由々しき事態です。
業者への追及とともに出回っているカードをどうにかしなければいけません。
本当か嘘か、大興印刷がこのカードを落札しているとのことです。
(ゲートルーラー公式は信用できないので本当かはわからない)
ですが皆さん考えてみてください。
あなたは自転車を駅前の駐輪場から盗まれたとして、自転車泥棒から自転車を買い戻すことを普通しますか?
自転車を手元に取り戻すためとはいえ泥棒にお金を渡すのは腑に落ちないのではないのでしょうか。
不法行為をしているのは向こうなので、司法なり行政なりに適切に対処してもらうのが筋でしょう。
今回の事案では廃棄業者とオークションで販売している人(転売業者)が別人である可能性があります。
廃棄業者が横流しし、転売業者が仕入れより高く転売している構図です。
あなたの自転車は自転車泥棒がリサイクルショップに売り払っていました。
自転車を手に戻すためにやむを得ずリサイクルショップに1万円払って自転車を買い戻したとしましょう。
泥棒もリサイクルショップも五千円の利益を得た状態になっています。
ここに司法が泥棒を特定して、泥棒から財産を差し押さえたとしましょう。
おかしなことが起きていることがわかるでしょう。
泥棒は責任を追及されてあなたは自転車を取り戻しましたが、リサイクルショップは利益を得たまま、あなたは5000円のマイナスを負っています。
ゲートルーラーの公式文書からはオークションで流している人物にも責任の追及をすると言っていますので、今後はリサイクルショップからも1万円を差し押さえることはあるでしょう。
しかし、一度成立した売買を取り消すとなると難しいです。犯人は外国人の可能性もあり、その辺の契約関係も難しいです。
自転車泥棒の例であれば泥棒から自転車代を取り戻していますが、ゲートルーラーの件であれば大興印刷は取り戻すべきものはありません。
廃棄業者から賠償金がもらえるかが問題になりそうです。
ではなぜ大興印刷はここまでするのでしょうか。
それは下請けの責任は我々の責任、と考えているからでしょう。
本当は別の会社が行っている業務であっても対外的に見れば元請けが行っている業務です。
そこでミスや不正があれば対外的には元請けが責任をとるべき、というのが基本です。
「あそこは下請けも信用できないからな」と言われると業務に支障が出てしまいます。
自分語りですが、前職の広告代理店で働いているとき、印刷業者が印刷でやらかしたミスでお客と社長からめちゃくちゃ怒られて精神を病んだ上司がいました。
それを踏まえて大興印刷の文書を読むと責任をとることに重きを置いていることがわかります。
「ゲートルーラー」という名前やオークションで落札している、という情報は出していないものの、警察にも相談しているという的確な情報は出しています。
戻ってゲートルーラーの文書を見てみると「大興印刷の下請けが悪い、そいつらに責任をとらせる」としか書かれていません。
今回の事件、ゲートルーラーも被害者の一人ではあります。カードゲームの信頼にかかわる問題がおきました。
信頼回復、及び流通してはいけないカードの流通を止めること、は遊縁がするべき行動のはずです。
それを大興印刷に、かつ若干法的に怪しい行動をさせている、と公表するのはいかがなものなのでしょうか。
ユーザーに還元する発言
自転車を盗まれて困っていたところに、あなたの親友が助けてくれることになりました。
「自転車が盗まれたなんて、噂が流れていたら、僕もこの街で生きにくいのでね」
その親友は街のために、そして君のために手を貸してくれることとなりました。
そして街のみんなにこう言いました。
「リサイクルショップから、差し押さえたお金を使って、駐輪場の警備を厳重にして、住みやすい街にしたいと考えています。」
そうはならんやろ。
遊縁の問題で、遊縁が解決し、遊縁が賠償を得たとしたら、勝利宣言としてユーザーにプロモを配るのもまだ分かります。
しかし今回は事件の解決の全てを大興印刷に委ねています。大興印刷に私財を投げ打たせて流通を止めようとしています。
それを遊縁の手柄として賠償を横取りするのはいかがなものなのでしょうか。
声明文をよく読み返してみると廃棄業者の特定は大興印刷がしており、その後の転売業者の調査も大興印刷がしているようです。
上でも書いたように、大興印刷はゲートルーラーから手を引いています。
にも関わらず、自社の信頼回復のために下請け業者の追求、警察への相談など具体的な行動に移しています。
一方遊縁はやたら句読点の多い文書を公開しただけです。
うちは悪くない、というのは事実なのでしょうが、ユーザーへの信頼の回復をする気がなく保身だけを考えた結果、いつも通り外野に燃料を投下することになりました。
そもそもとして賠償でお金を会社の資金にしてもいいんですかね?本来は損害の穴埋めをしてプラスマイナスゼロにする、というようなものの気がしますがその辺の知識がないのでわからないです。
ネットで噂されていた「海賊版を作っていた印刷業者に頼んだから横流しされた」は嘘であることは判明しました。
池さんの判断とは関係なくこのような事件が起きてしまったのは、持ってはいけない運を持っているとしか言えません。
この記事は池っち店長を誹謗中傷する意図はなく、またゲートルーラーに対して悪意を持って不利益を被らせる意図はありません。
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