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未来に戻る春

去年、ガラ空きの空港に出掛けた。勿論飛行機に乗る予定など無い。ほぼ無人の空港に行く理由は特になかった。

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閑散とした空港は少しひんやりしていてその当時の自分には心地よかった。

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その後も閑散とした職場の近くの観光地や自宅からほど近い美術館へと出歩いた。ひたすら人の居ない世界。

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外は自分1人が生き残りの世界並みだったが、それでも暫くすると暖かさも有りボチボチ人が出掛け出した。見事に家族やカップルやしんみり話をしている仲良さそうな人達ばかり。そしてあの当時は外に出ただけで満足だった筈。みんなの顔は優しくカリカリしていなくてじんわり温かみがあった。そこで自分は一人きりだなぁと改めて認識した。いつもなら会う人達とも会えずだから余計に輪郭が見える。

カップルや友達なら日頃から連絡をとるだろうし、ましてや家族なら毎日顔を合わせているのに何故か出掛けて良い表情になってる。多分毎日居る事は会う事じゃ無いんだ。人と会うってすごく色々な力が働いてプラスにもマイナスにも影響が凄いのだろうな。

同時にじゃあ自分が今会いたい人は誰?と言う疑問も出てきた。

歳をとると後ろ向きに見る理由もわかる。想像する未来が無いから。だから自分の会いたい人も当然過去の人になるかと思っていた。

違う。

その人はとても自分と真逆の人で自分がてんでバラバラな性分なのにその人は集中力がすごい。自分と違い丁寧で器用。努力と才能が同時に動いている様な遥かに賢く、なんだか書いていて嫉み文にしかならない。

その人が今どう生きて何を見据えているのか知りたい。その人の行く末をもう少し身近に知りたい。自分が考えつかない世界を生きているのだろうと思うと興味が尽きない。知り合い程度なので近況など気軽に聞く相手でも無いからひたすら悶々としてしまう。

その人に会いたい。様子を見たい。贅沢を言うなら、あれこれ話を聞きたい。その世界を垣間見るチャンスが欲しい。相手が自分と会うほど暇で心に余裕が有るかは不明だけどね。

そして運良く会ったとして、中身が全然違ってガッカリするかも知れないし、そこはわからない。でもどういう結末でも自分の小さな未来への大きな大きな気付きや感動や失望が有ると信じている。会った後の自分の結末にワクワクしたい。


今はひたすら内省してるだけの過去の自分から、人の時間軸に沿う未来に向かう様になりたい。憂うばかりの春から春らしく未来を想いたい。


誰かにこの春はどうしたい?と聞かれたら
未来に戻る春にしたいと答えるつもり。



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