見出し画像

2022.9

2022.8

9.2

 実験に使っていた鉢も屋外管理に移行した。
 発芽がひと段落して、管理についても、寒くなるまでは、腰水の交換、液肥やり等を淡々と続けるだけになる。苗の成長も1カ月に1、2ミリ大きくなるペース(寒くなるとさらに遅くなるだろう)なので、あまり書くことが無くなってくると思う。

9.3

 サボテンの栽培を続けていく上で気がかりなことがある。それは栽培環境についてだ。
 サボテンを栽培するのに適した環境の条件はいくつかあるが、中でも絶対に外せないのが日照である。サボテンに対する日照時間は長ければ長いほど良く、比較的日本(特に東京近郊等の暖地)の気候に順応した種であっても、半日(5~6時間?)の日照は必要だという(参考:
・平尾博, 1975, 『趣味の園芸・作業12か月⑤ サボテン』, 119, NHK出版.
【ガーデニング】屋外で育てられるサボテンの紹介 *東京近郊のみ, protoleaf.
【ギムノカリキュウム】牡丹玉の仲間の紹介, protoleaf.
)。そしてこのような日照が通年必要になってくる。
 ところが、日照の確保というのは、サボテン栽培どころか、園芸全般における、最難関ではないか。つまり、好条件の土地を、長期間に渡って占有し続けるに足る、栽培者の人としての社会的能力が直接的に要求されるのである。園芸資材や植物自体は安価に容易に入手できる一方で、この点において園芸は ”持てる者の道楽” の側面があると言える。
 私自身は、偶然にも、今はサボテン栽培に適した環境を持つことができている。しかし、来年、再来年以降はこのような環境を用意できる確証が全くない状況である。だから、サボテン栽培を続けられる環境を確保するにはどうすればいいか、また悪条件下でも何とか健康な株を育成する方法はないか、ということをよく考えている。
 栽培場の面積が小さいという分には、問題ないと思う。そのスペースに収まる分だけを栽培すれば良いからだ。サボテンが成長して子株ができたり、実生を楽しんだりしてスペースが足りなくなっても、今は人に譲渡する手段がある。フリマアプリでタダ同然の値段を付ければ、引き取り手は見つかるだろう。
 日照の少量の不足については、LEDで補うこともできるかもしれない。また、サボテンに限定せず、日照をあまり必要としない植物を選べば、日当たりの少ない室内でも、LEDに頼って育てられるかもしれない。

 いつか自分が置かれることになるだろう個々の環境の中で、試せることを試してみたいと思う。

9.6

 実生苗に液肥を与えた。
 7.20播種のパロディア属の種子が新たに6つ発芽した。8.16の実験のグループ分けの記号を用いると、
              グループ 発芽率
              A     4 / 14
              B     4 / 8
              C     2 / 8
となっている。3日前からほぼ同時に発芽し始めたから不思議である。今月末くらいに、また結果をまとめようと思う。

9.11

 怪竜丸は大きさはあまり変わっていない(3, 4mm)が、色が濃くて硬そうな本格的な刺が生えてきた。
 7.20播種パロディア属の発芽状況:
              グループ 発芽率
              A     6 / 14
              B     4 / 8
              C     3 / 8

9.12

 7.20播種パロディア属の発芽状況:
              グループ 発芽率
              A     7 / 14
              B     4 / 8
              C     3 / 8

9.13

 7.20播種パロディア属の発芽状況:
              グループ 発芽率
              A     7 / 14
              B     5 / 8
              C     4 / 8

9.14

 日本でサボテン栽培を本格的に行う際、温室やフレームといった専用の栽培設備が用いられる。温室は文字通りだが、フレームというのは木材やパイプ等を使って作られる、サボテンを覆うための、温室より小型の設備のことである。温室・フレーム共に、サボテンの栽培環境を外気温より高温にし、潅水を完全にコントロールするための設備であると思う。
 温室・フレームを用いると、サボテンの生育はとても良くなり、また種によってはこれらの設備が必須であるようだ。しかし、温室・フレームが無いとサボテンを育てられない訳でもなく、日本の気候に適応した種ならば1年中屋外で雨ざらしでも育てられるそうだ。
 私は温室・フレームを使わないでサボテンを育てたいと考えている。今育てている種ならば可能ではないかと期待している。パロディア属(のうち旧ノトカクタス属)の種は昔から日本で育てやすいと言われているようだし、実際6月に購入した株(今実生しているものの親株)は現在まで屋外で問題なく育てられている。怪竜丸も暖地なら屋外で育てられるようだし、そもそもそれが購入の決め手だった(参考:【ギムノカリキウム】快竜丸(かいりゅうまる)のご紹介, protoleaf, 閲覧日2022年9月15日.)。孤竜丸は微妙である。耐寒性・耐暑性共に高いそうだが、非常に乾燥した地域に生息しているサボテンなので、雨ざらしだと水のやり過ぎが心配だ。雨の当たりにくい場所に置くなど工夫が必要かもしれない。闘鷲玉は未知だが、ギムノカリキウム属は育てやすい種が多いようなので、いけるのではないか。
 鉢植えというのは地植えよりもずっと土が乾きやすいような気がする。だから、サボテンの自生地より2, 3倍、あるいはそれ以上の年間降水量がある日本でも、植え込み用土の配合次第で、多くの種にとって丁度良い灌水を雨ざらし環境下(+水やり)で実現できるのではないか、と妄想しているのだが、どうだろう。対して、温度の調節というのは、温室・フレーム無しだと、難しいように思う。

9.15

 先週、京都に行ってきた。京都御苑の砂利道でハンミョウを見つけた。珍しい昆虫ではないようだが、初めて見た。模様と光沢が美しかったが、素早いため、じっくり観察することはできなかった。鴨川沿いではハグロトンボを沢山見た。用水路や市街地のほうにもいた。私の住んでいる所では滅多に見られないので楽しかった。また、種は判別できなかったが、アカネ属のトンボもよく見かけた。私がよく行く関東平野部の川沿いよりも出てくる時期が少し早い気がするのだが、山が近いからだろうか。鴨川にはカワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギも沢山いた。植物園の人工池にはギンヤンマがいた。京大の木が茂っている道ではコクワガタのメスを見つけた。クワガタを見るのは今年初であった。

 7.20播種パロディア属の発芽状況:
              グループ 発芽率
              A     8 / 14
              B     5 / 8
              C     5 / 8

9.17

 7.20播種パロディア属の発芽状況:
              グループ 発芽率
              A     9 / 14
              B     5 / 8
              C     5 / 8

9.19

 液肥を与えた。
 7.20播種パロディア属の発芽状況:
              グループ 発芽率
              A     11 / 14
              B     5 / 8
              C     5 / 8

9.20

 怪竜丸が1つ死んでしまった。球体の根際の部分がへこんで、色が赤褐色だったのが暗い灰緑色になっている。昨日撮った写真では、へこみの有無は確認できないが、色はまだ正常だったように見える。
 断定はできないが、カビが原因である気がする。殺菌剤を1カ月程散布していなかったのがいけなかったか。今日、全ての鉢に殺菌剤を散布した。1株で収まってくれればよいのだが。

9.23

 前回に続き、怪竜丸で不調をきたすものが1つ出てきた。今回のものも、球体の下部から中ほどにかけて、深いへこみというか、切れ込みが縦に走っている。膨張により内側から裂けているようにも見える。ただ今のところは変色はなく、生きているようである。
 原因は分からない。患部をよく観察してみたが、虫が食っているようには見えない。鉢の中にはよくトビムシの仲間と思しき虫が見つかるが、トビムシがサボテンを食べるという情報は見たことがない。あと思いつくのはやはりカビか、肥料焼けくらいである。
 対策として、腰水(底面給水)を止めて、鉢上からの水やりをすることにしてみる。特に根拠はないが、もしカビが原因なら、腰水管理で同じ水を留まらせるよりも清潔になり、また過湿を防ぐことにもなるのでカビ対策になるのではないかと期待する。
 サボテンの実生において、鉢上からの潅水は腰水をしない場合に普通に採られる方法であるようだ。そもそも私も、参考サイトにならって10月頃には上からの潅水に切り替えようと思っていたのだが、今回その時期を早めた形である。潅水の頻度は「用土が乾かないうち」、ということなので [平尾博, 前掲書, 68. ] 、実際にやってみて感覚を掴まねばなるまい。
 もう1つ対策として、液肥の濃度を下げようと思う。水300mlに対してハイポネックス2滴(0.1ml換算)を混ぜていたが、1滴に減らしてみる。液肥を施す間隔についても、20日以上空けることにする。
 これで改善しなければ、数日おきに複数の殺菌剤を撒くとか、管理方法を根本的に変えるとかしないといけないかもしれない。ただ、植物の栽培は、完璧な管理をすれば100%生存するというものではない、ということも忘れないようにしようと思う。

9.24

 実生の鉢全部を腰水から鉢上からの潅水に切り替えることにした。
 現在、実生の鉢はまとめてプラスチックの収納ケースに入れて、屋外に置いて管理している。

遮光のために不織布を被せ, 通気のために棒を挟んでいる.

プラケースに入れていると日差しを取り込むことができ、雨は防げて、若干の保温ができる。よってプラケースは実生の環境として問題ないと思うが、耐久性が問題である。いずれ紫外線で劣化してパリパリになるのは確実であるが、どれくらい持つだろう。2年持てば十分、せめて1年は持って欲しいところだが、それ未満なら他の方法を考えようと思う。

9.25

 結局、院試は不合格であった。当然のことであった。そして先週から、私は数学の学習を再開した。つまり、私が憎んでいたのは数学ではなかった。次は、私は数学を人生の慰みに用いるのではないことを示したいところだ。
 しかし、数学をやると相変わらず息が苦しくなる。理由は明白である。私には数学を考えるときに息を止める癖があるのだ。より正確には、息をするのを忘れるのである。だが、息をしないと、息が苦しくなるので、息をするようにしなければならない。
 もう院試を受験するつもりはない。もうあんな気分は沢山である。従って、これからはまず金のことを考えるほかない。要するに、いずれにしても一食であった。しかし、数学で一食などしたくないので、これでよいのだ。
 それが何とかなったら、次は生活のこと、数学のこと、並びに環境収容力のことを考えよう。

9.27

 実生苗への水やりはトンボじょうろの蓮口から出るくらいの柔らかさで行っている。2, 3個水の勢いで傾いてしまう苗もあったが、概ね問題なさそうだ。パロディア属(8.4播種)の1つが横転していたのを起こすついでに抜き上げて根を見てみたところ、長さ1cmくらいの主根が伸びていた。体は小さくても意外としっかり地面に活着しているようだ。

2022.10

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?