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日々の書き留め。出来事や思うこと、子どもたちのこと、翻訳のこと、読んだ本の感想など、ゆ…

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日々の書き留め。出来事や思うこと、子どもたちのこと、翻訳のこと、読んだ本の感想など、ゆるく書いてみます。 株式ユーザベースでコンテンツのローカライゼーション/翻訳をやっています。

記事一覧

『小泉今日子書評集』

小泉今日子さんが読売新聞の読書委員をつとめた2005~2014年の10年間に書かれた書評を集めた本。 一冊一冊を読んでいるときの、小泉今日子さんの息づかいが聞こえてきそう…

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2年前
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『A子さんの恋人』とうとう読み終えてしまった

本好きな友人は、図書館並みに本を持っている。そのセレクションも絶妙で、貸してくれる本はどれも「今」の私に必要なことが絶対に書かれている。処方箋みたいに。 亜紀書…

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2年前
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『ひとまず上出来』を今年一冊目に読んで

どのエピソードもずんずん、びしびし、じゅわじゅわ心と体に響く。 『ひとまず上出来』を今年読む一冊目に選んで、上出来だよ私、とほくそ笑んでいる。 「やりたいか、や…

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2年前
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瞬間の想いをきざむ

大晦日なので、私にとって今年とっても心に残っていることを書きたいと思う。 まずは、長男が前髪をさわったこと。 夏休みにランチをしたときだ。席に座るや、彼が前髪を…

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2年前
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三浦大根

おせちの材料をそろそろ揃えておかないと、と思い八百屋へ。 丸々一本の三浦大根が売っていた。 たぶん、人生で初めて見る、丸々一本の三浦大根。 ぷっくりした形と太さに…

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2年前
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見上げると

和紙のような空だった。

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2年前

白樺を買う

いつも行く花屋さんに白樺の幹が売っていた。大きくとても立派でずっしり重い。 1本500円の値段にも惹かれ2本買った。 店員さんが「持ち帰れますか。2本だとかなり重たい…

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2年前
2

視界が開ける音がした

半袖のかりゆしを着こなしている同僚に「すてきですね」と声をかけたのは、ついこの前のはずだったのに。もう12月も後半になっている。時間の過ぎるのが本当に早い。 少し…

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2年前
2

『卵一個ぶんのお祝い。』

下北沢の日記屋 月日で購入した『卵一個ぶんのお祝い。』 雰囲気、文体、視点、すべてに憧れる。 書きたい、わたしも書いてみたい、というきっかけをくれた。

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2年前
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傘を持つよ

明るめの灰色の雲がひろがり、冷たい雨が降る。 長男の三者面談だった。 急な坂を下り、その先の少し上ったところにある中学は、遠い。雨の日は一層遠く感じる。 学校で…

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2年前

散歩、撮る

同僚が撮る東京や横浜の夜のストリートスナップがカッコよくて、私もデジカメで写真を撮りたくなった。 コンデジは気軽に持ち歩けていい。 近所を散歩したり、電車に乗っ…

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2年前
1

本屋巡りとビリヤニ

今月は思いっきり文化的活動に勤しんでいる。仕事の反動だろうと思う。 まずは魅力的な本屋さんがたくさんある下北沢へ。 じっくり本棚を眺めながらゆっくり本を選ぶ。い…

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2年前

書評に誘われ広がる世界

Junkoさんが図書新聞の書評で紹介されていた『レストラン「ドイツ亭」』を読んだ。いつもながらすばらしい書評で、すぐに本屋に探しに行った。手にとったとたんこれは「読…

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3年前
3

再認識

『中国・アメリカ 謎SF』。白水社のHPの新刊紹介のページで題名を見ただけで絶対に読みたいと思った。柴田元幸さんと小島敬太さんが翻訳を担当したと分かり、なにがなんで…

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3年前
2

春の白い花が好き

ayaco
3年前
2

暮れ泥む

ayaco
3年前
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『小泉今日子書評集』

『小泉今日子書評集』

小泉今日子さんが読売新聞の読書委員をつとめた2005~2014年の10年間に書かれた書評を集めた本。

一冊一冊を読んでいるときの、小泉今日子さんの息づかいが聞こえてきそうな、透明感あふれる文体がとっても魅力的。

作品から感じたことを伝えるその圧倒的な表現力で、紡ぎ出される言葉がつながり、
ふくらんでいく。

経験した喜びや切なさ、戸惑い、恐怖などと重ね合わせて読んだことが書かれていたりして、そ

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『A子さんの恋人』とうとう読み終えてしまった

『A子さんの恋人』とうとう読み終えてしまった

本好きな友人は、図書館並みに本を持っている。そのセレクションも絶妙で、貸してくれる本はどれも「今」の私に必要なことが絶対に書かれている。処方箋みたいに。

亜紀書房のウェブマガジン 空き地 で連載中の近藤聡乃さんの『ニューヨークで考え中』は時折読んでいたが、単行本を一気にポンと3冊貸してくれたのもこの友人である。

素晴らしいきっかけをくれてありがとう。

改めてはじまりから読むと、きれいでかわい

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『ひとまず上出来』を今年一冊目に読んで

『ひとまず上出来』を今年一冊目に読んで

どのエピソードもずんずん、びしびし、じゅわじゅわ心と体に響く。
『ひとまず上出来』を今年読む一冊目に選んで、上出来だよ私、とほくそ笑んでいる。

「やりたいか、やりたくないかの二択です」は、ここのところ考えていたことがすっきり言語化されていて、そうそう、そうよ!と何度も頷いた。

できるかではなく、やりたいかやりたくないか。やりたいならやればいい、単純じゃないかと思われるけど、なかなか踏み出すとこ

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瞬間の想いをきざむ

瞬間の想いをきざむ

大晦日なので、私にとって今年とっても心に残っていることを書きたいと思う。

まずは、長男が前髪をさわったこと。
夏休みにランチをしたときだ。席に座るや、彼が前髪をちらっと指先で軽く整えた。それを見た瞬間の、うれしくてくすぐったくて、ほんの少し切ない感情を、私はきっとこの先ずっと覚えていると思う。

次男は、私とくすぐり合いっこしなくなった。夏休みもそろそろ終わり近くになってきたころ、パッタリと。

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三浦大根

三浦大根

おせちの材料をそろそろ揃えておかないと、と思い八百屋へ。
丸々一本の三浦大根が売っていた。
たぶん、人生で初めて見る、丸々一本の三浦大根。
ぷっくりした形と太さに思わずおおおと声が出る。
煮物、なます、漬物、おでん。作れそうなものがいろいろ浮かんだけれど、持って帰るの重そうだからと断念。
おおおという声とともに撮ってしまった写真を見返して、やっぱり買えば良かったかなとちょっと後悔している。

白樺を買う

白樺を買う

いつも行く花屋さんに白樺の幹が売っていた。大きくとても立派でずっしり重い。
1本500円の値段にも惹かれ2本買った。

店員さんが「持ち帰れますか。2本だとかなり重たいと思います……」と気遣ってくれた。3歳児を抱っこする感じかな、きっと大丈夫、と思ったけど甘かった。腕をぴくぴくさせながら家まで持ち帰る。

リビングの窓近くに置くだけで、いい感じ。

小さいころ、祖父母が住む札幌を訪れるとき、あちこ

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視界が開ける音がした

視界が開ける音がした

半袖のかりゆしを着こなしている同僚に「すてきですね」と声をかけたのは、ついこの前のはずだったのに。もう12月も後半になっている。時間の過ぎるのが本当に早い。

少しはやいけれど、なんとく今年を振り返ってみる。

長男は勉強に少し目覚めた。部活もがんばっていて、私の仕事の悩みを聞いてくれたり励ましてくれるようにもなった。この1年で考え方や行動がずいぶんと大人びた。

次男もだいぶ「男の子」っぽさが消

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『卵一個ぶんのお祝い。』

『卵一個ぶんのお祝い。』

下北沢の日記屋 月日で購入した『卵一個ぶんのお祝い。』
雰囲気、文体、視点、すべてに憧れる。
書きたい、わたしも書いてみたい、というきっかけをくれた。

傘を持つよ

傘を持つよ

明るめの灰色の雲がひろがり、冷たい雨が降る。

長男の三者面談だった。
急な坂を下り、その先の少し上ったところにある中学は、遠い。雨の日は一層遠く感じる。

学校での日頃の様子、委員をがんばっていること、どんな高校に行きたいか、取り組んでいきたいこと。
長男の受け答え、一言ひとことに、成長を感じた。

雨で部活がなくなったので二人で帰る。

傘を忘れた長男に、一緒にさしながら帰ろうと言ったら、オレ

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散歩、撮る

散歩、撮る

同僚が撮る東京や横浜の夜のストリートスナップがカッコよくて、私もデジカメで写真を撮りたくなった。

コンデジは気軽に持ち歩けていい。
近所を散歩したり、電車に乗ってちょっとお出かけしたり。いろんな角度でキョロキョロして、眺めて、とりあえず撮る。

一連の流れもたのしいし、たまに「いいかも」と思える一枚が撮れたときは、なんとも言えずうれしい。

景色や自然や人や物体をよく観察するようになってから気づ

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本屋巡りとビリヤニ

本屋巡りとビリヤニ

今月は思いっきり文化的活動に勤しんでいる。仕事の反動だろうと思う。

まずは魅力的な本屋さんがたくさんある下北沢へ。

じっくり本棚を眺めながらゆっくり本を選ぶ。いい時間。

ぶらぶらしながら、ランチ何食べようか、と友だちとあれこれお店をのぞく。
ビリヤニって聞いたことあるけど、食べたことなかったので食べてみた。
八角などのスパイスの香りがよい。見たことないような長いお米の食感もたのしい。

冬の

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書評に誘われ広がる世界

書評に誘われ広がる世界

Junkoさんが図書新聞の書評で紹介されていた『レストラン「ドイツ亭」』を読んだ。いつもながらすばらしい書評で、すぐに本屋に探しに行った。手にとったとたんこれは「読まなければならない本」だと直感した(ちょうど『夜と霧』(みずず書房)を読んだあとだったということもきっとある)。

舞台は1963年のフランクフルト。主人公はごく普通の家庭に育った24歳のエーファ。家族は、レストラン「ドイツ亭」を営む父

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再認識

再認識

『中国・アメリカ 謎SF』。白水社のHPの新刊紹介のページで題名を見ただけで絶対に読みたいと思った。柴田元幸さんと小島敬太さんが翻訳を担当したと分かり、なにがなんでも発売日に買おうと決めた。読んでからだいぶ日にちが経ってしまったけれど、やはり書き記しておきたい。

収録されている7篇はどれも独特なのに、なんとなく共通するところもあり、おもしろかった。

とくに印象に残ったのは1篇目の『マーおばさん

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