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酒のチラシの裏:旅人

 あつかんと申します。
 鏡音誕2023で公開した「旅人」について、以前やったF←RUSHのようにまた長々と綴ります。

※1番Aメロを1Aのように略しています。でもコードと混同したくないのでAメロはAメロとしています。ややこしいね。
※音楽理論をまったく触っていない人に優しくありません。というより私では知らない人への優しい文章は書けません。ゆるして。

niconicoはこちら



楽器構成

 私 が 好 き な 楽 器 を 使 い ま し た 。
 管楽器も何かしら入れようとしましたが、今回はやめました。管楽器入れるなら吹奏楽に振り切った方が良くなりそう。もしくはボイスをサックスに変更してインストにしてしまうとかでしょうか。

MIDIはこんな感じになっています

ドラム

使用音源:Tastes Like Gold
 今回はパラアウトせずまとめて処理しました。なので音源側の設定でハイハットやクラッシュ等各パートの音量を調整しています。Cubaseの音源はそこそこ質が良いですし、私はあまり音源処理が得意ではないので、下手に触らないほうがマシかなと。手抜きではないです。
 スネアは推進力の強い楽器なのでなるべく使わないように、その代わりなるべくタムを使うようにしました。気持ち程度ですが。

ベース

使用音源:Fretless Bass VX
 ロックじゃないので暴れないよう気を付けました。とは言いつつ4拍子の部分ではロック曲のリズムを参考にしてキースイッチをあれこれ弄っています。8分音符であまりテンポ早く聞こえないし大丈夫かなと。
 あとギターもそうですが、アンプをかけていません。ロックじゃないので。

ギター

使用音源:Solid Guitar VX
 特に言うこともないかな。キースイッチで遊んでいます。

ピアノ

使用音源:Jazz Grand Piano A
 低音部がどうしても強くなりすぎてベースを食うので調整に苦労しました。特に楽器の少ない1A。

シンセサイザ

使用音源:Synth Strings 2
 後ろでひたすらコードを鳴らしています。なんとなく厚みが足りない時、ストリングスやシンセに頼りがち。

ボイス

使用音源:RIN_V4X_Power_EVEC、LEN_V4X_Power_EVEC
 パラメータはそれぞれ下記の通り。

リン:ド初期値
レン:Cross Synthesis55、Clearness31

 この組み合わせは22年7月ぶりですね。そもそもデュオ曲をあまり作らないというのもありますが。
 当初はリンのソロで作っていました。リンメロ・リンハモリがどうにもしっくりこなかったので仮でハモリパートをレンにしていたのですが、そのまま歌詞を考えていたところこうなりました。

 聞いたらわかるんですが、今回全く調教していません。素材の味をお楽しみください。
 歌詞がギリギリになって時間がなかったのもあるのですが、下手にいじくりまわすとおかしくなるのでいっそ一切手を付けないことにしました。

驚きの白さ

 しかしまったく触らずとも聞ける活舌なの本当にすごい。酷い活舌は無視してなんて言っていたレンはもういない。ところでV6版かNTの鏡音音源ってまだですかね。今年出ると予想していたんですが音沙汰なかったし。

 余談ですが今回それぞれのボイスのパンを左右に振っています。リンちゃんは中央から右側に16、レンは中央から左側に16です。細かすぎてもはや誤差。


コードと調の話

 前置きが長くなりましたが、ここからがこのnoteのメインディッシュです。ここからの方が長いです。

 とは言いますが大したものじゃありません、「私がしたいと思ったことをやりました」を分解しているだけのものです。少しでも音楽理論を齧った人なら聞けばわかるから読まなくていいし、わからない人には全くわからない文章だと思います。音楽理論ってやたら専門の用語多いので、知らない人に向けて書くのは私の知識量では難しいです(ざっくり用語解説入れておきますが、説明、私の認識、もしくはその両方が誤りである可能性があります。保証できないので気になったらご自身でお調べください)。
 読みやすいものではないことを予めご了承ください。「五度圏表」というやつをお手元に置いて読むと多少わかりやすいかも。
※当たり前のようにディグリーネームを使ったりスケールの話をしたりします。

【これだけわかればたぶん読めるよ】
スケール:ドレミファソラシドの並び。いろいろ種類がある。
拍子:指揮棒の目安。J-POPは大体4拍子。
転調:楽曲のキーが上がったり下がったりすること。
平行調:同じ音を使うのにスタートの音が違うので響きが変わるキー。

コード進行

 この曲を作り始めたのが12月中旬(案が浮かんでは没を繰り返していたらこんな時期に)。何も決まっておらず、とりあえずコード進行だけでも決めてしまおうとこちらの動画を見ていたところ、

  Dm C B♭ Am | Gm Am B♭ C

が気に入ったので、これを中心に作り始めました(以下、これをこの曲における基礎進行とします)。めちゃくちゃ美しくないですか。一個ずつ下りて上っているだけですけど。
 また、久しぶりに変拍子曲にしたいなーと漠然と考えました。絶対に土壇場でやることじゃない。
 そんなわけでDAWを立ち上げ5拍子にしてコードを打ち込み、手癖でサビのメロディをつけたらキーがDmになりました。

Aメロ

 最近転調がマイブームの酒です。「イントロ~間奏までがDmなら、Aメロは平行調のFMにすれば綺麗に転調できるじゃないですか」という思い付きから移調しました。絶対に土壇場でやることじゃない(二回目)。
 でも平行調なのでメロディのスケールを変えるだけでいいですしあまり考えることの少ない移調だと思います。

 またブルースっぽさを出したかったのでAメロではⅠ7 - Ⅳ7を繰り返しています。なので間奏終わりC→Aメロ始まりF7で強進行(めっちゃ気持ちいい流れ。「五度圏表」というやつを準備して下さったなら、左側に回ると強進行です)で転調しています。

 さらにマイナーからメジャーに移調して雰囲気がガラっと変わるなら拍子も変えてもいいよね、ということで1Aは3拍子2Aは4拍子となっております。やっぱり土壇場でやることじゃないよ。歌詞が難航した原因は音周りの思い付きかもしれない。

拍子の話

 今回拍子をコロコロ変えていますが、不思議と一小節が長い5拍子より4拍子の方がゆっくり聞こえるんですよね。
 個人的にはこんな風に分析しています。

5拍子→忙しない印象。コードが 3拍-2拍 で切り替わっているので、3拍子+2拍子に聞こえて3拍子から1拍不足しているように感じるのかも。

3拍子→安定した印象。上記も含めて恐らく無意識に「この曲のデフォルトは3拍子」だと思っている。

4拍子→間延びした、ゆったりした印象。5拍子とは逆に3拍子より1拍多いと感じているような気がする。

 2Bの歌詞が「凪」から始まるのはゆっくりな4拍子だからです。

Bメロ

 1番と2番で全く異なるものにしています。

■1番
 キーは素直にDmに戻しました。最初は別のキーにしようと思っていたのをやりすぎはよくないと考え直したことは内緒だよ。
 拍子はここが一番変でしょうね。Aメロから続いて3拍子→4拍子を一小節挟む→3拍子に戻る→5拍子になってサビへ、という流れになっています。当初は4拍子で進めるつもりでしたが、流れが遅すぎたので一つだけ残して他は3拍子にしました。

テンポトラックエディタの1B部分がこちら。
最後4/4のままにしたらよかったのにって? 数は同じだけど区切り方が違うんです。

■2番
 Aメロから引き続き4拍子。FMでもDmでもないキーに転調することだけは絶対変えたくないと思って作っていました。
 何も決まってない状態で置いたのはB♭M。五度圏表でFの隣にあるので共通するコードも多く、もちろんDmにも戻りやすい。AメロがB♭7で終わるのでそこからも繋げやすいんですよね。
 ただコードもメロも全然浮かばなかったので、とりあえず移調することだけを念頭に置いていろいろ試しました。
 最終的に何かどうにかしてメロディを作って移調させた(ここをどうやって作ったのか本当に覚えてない)のですが、やっぱりB♭Mが一番良かったです。Gmも一回通った気がするんですけどなんかダメだったらしい、メジャー調にしたかったのかもしれない。

サビ

 Dm7 Cadd9 B♭ Am-5 |
 Gm7 Am B♭7 C6 |
 Dm C#m-5 C#m-5/C B♭ E♭m/A |
 Gm A7 E/B A7(omit3)(omit5)/C# |

 メモが間違っていなければこんなコード進行をしているはずです。そもそも間違えていたようなのでちゃんと調べました。ラスサビは後半部分をもう一度繰り返しています。
 基礎進行から下降→上昇のベースラインはそのままにナインスを加えたり裏コードに置き換えたりしています。だからコード進行ぐちゃぐちゃになるんだ。なんだよA7(omit3)(omit5)/C#って、A7の構成音4つしかないのに半分も音を抜くんじゃないよ。

メモ(トラックタイトル)
ここからノーツを弄った可能性あるからこれが正しいとは限らない、
とか思っていたらそもそも間違えていた。
でも多分、本当に設定してから弄って変わったやつもある。
覚えていないのでわかりません、私が一番私を信用していない。

 ちなみにラスサビの最後の小節だけ6/4拍子になっています。

Cメロ

 2Bよりアホなことをしている(自己評価)のがこのCメロです。
 ここではメロディラインだけFMDmを行ったり来たりしています。
 最後一小節はラスサビに向けて転調しています。

① コードは基礎進行を使う。
② Fペンタトニックスケール(4・7抜き音階というやつ)で二小節分のメロディをつける。
③ 次の二小節に②をコピペし、Dにずらす。この時Dmの4・7に音を置かない且つメロディの流れに違和感がないように調整する。

マイナー・ペンタトニックスケールって4・7じゃなくて2・6を抜くんですね。
知らずDmペンタのつもりで4・7を抜いていました。ド阿呆。
試しに2・6抜きで弄ったらめっちゃ民謡になりました。
学び。
ピアノメロ。こっちの方が4・7抜きというのがわかりやすいかもしれません。
ピアノ・メロ・コードを合わせるとこんな感じ

おわりに

 いかがだったでしょうか。
 いかがだったでしょうかブログくらい役に立たなかったのではないかと思います。

 ゴリゴリに理論を意識しながらもやりたいことをやりました。だからといってきちんと守れているとも考えていません。
 本当はもっといろいろ挑戦してみたいんですよね。メロの途中で急に転調とかしてみたいです、いつもキリのいいところでしか変えられないので。おんがくぢからをもう少しつけなければ。精進します。

 ところで、今回デモ音源と称した作りかけ状態の音源が7つあるのですが(外出時でも作成中の曲を聴けるようにしたもの)、何をトチ狂ったかこのnoteの末を有料にしてそこに音源を貼り付けようとしていました。
 読み込みが遅すぎたおかげで正気に戻りました。寝不足って怖いね。

 それでは、今回はこの辺で失礼致します。

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