スーラとシニャックの話

ポール・シニャックが好きです。

どこが好きかと言われるとなによりまず点描法が好きです。点描法とは、分かりやすく言うと筆でペターっと色を塗っていくのではなく、てんてんてんてん!と点で色を塗っていき絵を描く技法です。そのまんまですね。なんでそんなことをするのかというと、2つの色を混ぜずに重ねて塗ることで、よりお互いの色を引き立て鮮やかに見せる効果があるから、らしいです。

シニャックの作品は色合い、グラデーション、物の配置のバランスがすごく綺麗なので、おそらく従来の塗り方をしていても名を残した画家なのではと思います。ですが点描法を用いることで色の境目がくっきりし、より色の違いが分かりやすくなっています。また、シニャックの点描画は他の画家より1つ1つの点が大きくて、それがただ綺麗なだけでなくキャッチーさを生み出している気がします。あとはとにかく爽やか!!!なんでか分からないけどどの絵を見てもすごいマイナスイオン!!!絶対シニャックはイケメンだった!!!

シニャックを簡単に説明すると、点描法を世に広めようと頑張ったフランス画家です。

点描法を生み出したのはシニャックではありません。シニャックのお友達、ジョルジュ・スーラです。ただスーラは31歳という若さで病死してしまったため作品数が少なく、なにより点描法がとにかく時間のかかる面倒くさいものだったためあまり死後評価されませんでした。

それに対して、「なぜスーラが評価されないのか分かんねえ!」と思ったシニャックが、スーラと点描法を世に残そうと頑張っていくわけです。シニャックはゴッホとも交流があったにも関わらず、「ゴッホよりスーラのほうが絶対すごいのに!」と思っていたらしいです。ゴッホって現代でもすごく有名で、名前はもちろん作品も誰もが1度は見たことがあると思うんですけど、そのゴッホより俺の友達はすごいんだぞと思っていたんですね。友達思いなシニャック、尊い。

好きなものを「素晴らしい」と評価することは、ある程度の自己肯定感が必要だと思います。自分の評価に価値があると思っていなければ何かを評価することはできないし、まして自分の好きなものを世に広めよう、後世に残そう、と思えるのはシニャックがそれだけ自分のこともスーラのことも好きだったという証左なのではないでしょうか。自信満々なシニャック、可愛い。

スーラの作品は色が暗かったり何を描いているのかピンと来ないことが多いのですが、シニャックの作品は色が明るく何を描いているのか分かりやすく、内気で無口だったスーラと社交的だったシニャック2人の性格がよく現れているので、対比して見ると面白いなと思います。

対象的な2人が仲良かったの、すごく素敵です。

それまで神話や史実を題材とすることが伝統とされていた時代、印象派の「目の前の実生活を描く」という動きは、作品に画家の性格が現れやすくなったという点でも大きな変化なのではないでしょうか。別にそんなに詳しくないので適当なことを言ってますけど。印象派が台頭していなければスーラとシニャックの絵画の違いもなかった可能性があるので、印象派サマサマですね〜

個人的には、あまり社交的でなかった性格と若くして亡くなったことの他に、点描法による人物画はあまり生気がなく見えてしまい、人物画には向いていない(あまり作品として魅力的に見えない)のも、スーラが流行らなかった理由の1つなのではないかなーと思います。対してシニャックの作品はほとんどが風景画です。シニャックのスーラへの思いの強さを考えると、点描法を世に残すために点描法が映える題材を選んでいたのかなと思いましたが、シニャックの性格的には、単に好きなものを描いていただけというほうがしっくり来ます。

シニャックの作品にはヨットが描かれていることが多いのですが、実際ヨットをいくつも持っていたらしいです。自分の「好き」に一直線なシニャック、かっこいい。

絵といえば、セーラームーンCrystalの映画のキャラデザが無印セーラームーンに近づいて嬉しいです。

今無印セーラームーンがYouTubeで無料公開していて、何度観ても画面の色合いがとても可愛らしくて良いなあと思います。もちろんストーリーも声優さんも劇伴も素晴らしいです。みなさんこの機会にぜひセーラームーン観てください。ハマったらCrystalの映画も観に行きましょう、、、

あいざわ

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