詰将棋とわたし(3)

3回目です。
図面のすぐ下に作意手順があります。初見なのでチャレンジしたいという方はお気を付けください。

画像1

★下記で手順を並べることができます。
http://yakkun1987.web.fc2.com/tume/nyusen/003.htm

詰将棋パラダイス 2002年9月号 小学校
作意手順:31飛、イ22玉、42飛成、同香、43桂不成まで5手詰
変化手順:イで同玉は41飛成、22玉、43桂まで

本作は超短編です。取れない飛車の王手からスタートして、最終手は飛車にヒモをつける桂不成の開き王手。この飛角桂の連携は前例があるため、マニアを驚かせることはできません。だからこそ、変化イでは43桂、作意では43桂不成という、成るか成らないかの区別を強調しようとしたのでしょう。この作品は前2作(手筋モノ)とは毛色が異なる作品です。この頃から、詰将棋特有の表現に興味を持ち始めたのだろうと推測されます。

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配置を確認してみます。12銀は3手目21飛成の余詰を防ぐとともに、玉の行動範囲を狭める役割。25銀は初手43桂成からの余詰を防止する役割。どうやら最善の配置のようです。

本当でしょうか???

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今回あらためて配置を検討したところ、横方向の平行移動配置変更駒数が1枚減らせることがわかりました。興味がある方はここで読み進めるのをいったんストップして頂き、どうすれば枚数を減らすことができるか考えてみてはいかがでしょうか。後半で例を示します。

ちなみに最初にチェックしたのは25銀省略、23歩→23銀ですが、これは4手目32合が生じてしまいます。32合に対して桂馬を動かせば5手で詰みますが、作意と同手数かつ駒余らずなので、作意である4手目同香と同格ということになってしまいます。本作は最終手43桂不成が主張なので、32合が生じるのは個人的には許容できません。当たり前ですが、元の作意手順に影響を及ぼさないようにしなければいけません。

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駒数を減らす一例です。

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全体を左に2筋平行移動させて、配置を変更しました。
32馬は王様の行動範囲を狭める駒飛を寄る手を防ぐ駒を兼ねています。玉方43歩の配置だと32馬が54に利かないので、攻方44歩に代えたというわけです。
なお、▲44歩△33歩を1枚にまとめる(具体的には▲34銀のような配置)ことができればさらに1枚減りますが、余詰が発生してしまうため不可です。この余詰は、どのように横方向の平行移動をしても消えません。
駒数を減らそうとすることは、常に余詰との戦いなのです。

わたしは、詰将棋の駒数を減らすコツは
(1)それぞれの駒の役割と制約を理解する
(何のために存在する駒か?他の位置または他の種類の駒に変更できるか?)
(2)複数の駒を1枚にまとめることができないか、(1)を参照しながら地道に検証する
(もちろん、余詰があってはいけません)
だと考えます。

もっとも、駒数が少ない=良いというのは、単なるわたしの価値観の押し付けかもしれません。特に若い世代の方々は、わたしのひとりごとを妄信することなく、自身の価値観を涵養してください

詰将棋の創作に絶対的な「正解」はありません。

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気が付いたら1000字を大幅に超えていました。今回はこれで終わります。


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