金色の龍 kuro

私は龍の夢をよく見ます。
龍の夢は縁起が良いと言われていますが、龍の夢を見ても良い事が起きた事がありません。
特に、金色の龍がでてくる夢は、めったに見れる夢ではありませんし、金色の夢を見た数日後に、大出世をした人が実際にいます。
その人は、古い時代の人なのですが、その人が見た夢の内容とその後に起きた事が書かれた書物がちゃんと残っています。
夢占いでも龍の夢は、出世や縁起の良い出来事を象徴する夢だとされています。
私の場合は、良い事どころか、酷い扱いしか受けてきませんでした。
私が小学生の低学年だったころ、夢の中で、周囲を山に囲まれた海の上に浮かんでいる舞台のような場所にいました。
私の立っている場所は、学校の教室が二部屋分ほどの広さの長方形の形をした舞台のような物で、床はフローリングになっていました。
舞台の上には、船の帆のように、金属でできたアンテナのような物が何本か間隔を開けて立っていました。
海は、木の生い茂った山に囲まれて緑色になっていてました。
手つかずの自然のままの風景の中に不釣り合いな舞台の上には、緑色の衣服を身に着けた昔の中国の人達がいました。
年齢も性別も様々で、村に住んでいる一般の人達の集まりのようでした。
その人達は何かに怯えていて、その人達を守るように、緑色の鎧兜を身に着けた男の人達が、剣をもってあたりを警戒していました。
私はその集団の中にいたのですが、いきなりその場所に、金色の鎧兜を身に着けた強そうな人達が、武器を持って攻めてきました。
緑と金の人達の身に着けていた鎧には、鱗がついていたのですが、それは、魚鱗甲と言う名前の実在する鎧でした。
私たちが、逃げまどっていると、突然緑色の海の中から巨大な金色の龍が現われました。
私は、きっと金色の鎧を着た人達の仲間だと思い、絶望的な気持ちになりました。
金色の鎧の人達に舞台の端まで追い詰められた私は、舞台の上から海に落ちそうになりました。
私がまさに海に落ちる瞬間に、金色の龍が滑り込むように私の下までやって来て、海に落ちそうな私を頭の上で受け止めて、そのまま空に飛んで行きました。
私を二本の角の間に乗せた龍は、中国の山水画にでてくる仙人の住んでいるような山の頂上を越えて飛んで行きました。
その夢を見た次の日の夜の夢の中で、小雨の降る町の中にいた私が、空に向かって龍を呼ぶと、金色の龍が空から降りて来て、私を頭の上に乗せて空に飛んで行きました。
二日続けて金色の龍に乗る夢を見た後に、良い出来事は何もありませんでした。
小学校のころは、家でも学校でもつらい事しかなく、生きているのが嫌で、毎日死にたいと思っていました。
逃げる場所も相談する人もいないまま、家族から毎日せめらせつづけていたある日、夢の中で、荒れ狂う海の中から黒い龍になった私が出てきて、天に向かって緑色の炎を吐きだすと、黒い龍の真上に雲が現われて、雲の中から金色の龍が現われました。
金色の龍は、黒い龍に呼応するように、真下に向かっていくすじもの金色の雷を放ちました。
古代中国の占いの易経では、下に火があり、上に雷がある事は、物事が大きく盛んな事や豊かな事を表している縁起の良い事です。
また、他の夢では、私の事を殺そうと襲ってきた中学生ぐらいの子供達を、縁の部分だけが金色になった黒い鱗の龍になった私が、私の体から出てきた真っ黒な煙のような雲の中で、両目を光らせながら、次々と退治していった夢を見ました。
その夢を見た後からは、金色の龍になる夢を見るようになりました。
初めの夢では、小型の金色の龍になった私が、緑色の衣服を着た、中国の古い時代の将軍のような人と兵隊たちと戦う夢でした。
夢は戦っている途中で終わってしまいました。
次に見た夢では、小型の金色の龍になった私が、現代の二十代ぐらいの女性をうなじの所に乗せて飛ぼうとする夢で、空中には浮く事ができたのですが、うまく飛ぶ事ができませんでした。
次の夢では、その女性を乗せて軽々と空を飛ぶ事ができたのですが、その女性がだれかは分かりませんでした。
通常ならば、その女性が実在する人ならば、出世したり有名になって活躍できる事を意味している夢です。
ただ、その人の顔を思い出す事ができませんでした。
また別の夢では、私の前に、コーヒーのように茶色い色をした川が真っすぐに、どこまでも続いていました。
茶色い川は、足のくるぶしのあたりが浸かるぐらいの浅い川だったのですが、茶色い水の表面には、水の流れを表現しているような、金色に光る模様が浮かんでいてきれいでした。
私は、その川に入って歩いていたのですが、背後に何かものすごい気配を感じたので振り向いてみると、そこには巨大な金色の龍が鎌首をもたげて立っていました。
龍は、怒りながら私を追いかけてきました。
川の水のせいで早く走る事ができない私は、川の中を必死で逃げるのですが、怒り狂っている龍はどこまでも追いかけてきました。

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