生活至上主義はニヒリズムらしい

きょうは、「『何気ない生活が何よりも大事』という言説は、冒険を否定する冷笑主義だ」という意見を見た

わたしにとっての何気ない生活とはなんだろうか

ごはんの味がすること

ママがいつ、わたしの態度で泣き出してしまうかわからないまま食べるごはんは味がしなかった
お弁当を残したら泣いてしまうママのことを思うと、胸が苦しくて冷えたお米をどうやって飲み込めばいいのかわからなかった

正直でいること

毎日味がしない食卓で、ママが一生懸命作った料理がどのように美味しいかを色んな言葉で説明しなくてはならなかった
黙って食べていたらわたしの人格否定の話が食卓を支配するから、そうなる前にママのすべての努力を労い、隙間を作らない必要があった
わたしが学校や塾でする努力は、家庭では嘲笑の対象だった

お風呂に安心して入れること

わたしは毎晩お風呂で泣いていた
自分はなぜ産まれてきてしまったのだろうと家族に申し訳なくて仕方がなかった
泣いていることを知られたら殴られてしまうのに、パパもママも鍵をこじ開けて脱衣所に入ってきた
わたしの風呂中だけ脱衣所が出入り自由だった
パパが1時間近く風呂に入っていて、わたしは直前に濡れた髪のまま追い出されて凍えそうだった冬、ドライヤーを取ろうとしたら怒鳴られてしまい、その日は動けなくて廊下で寝た

あたたかい布団で眠ること

犯罪を犯さなければ犯罪者呼ばわりされないこと

自由に外出しても罵られないこと

好きな服を勝手に捨てられないこと

怯えながら生きなくてもよいこと

わたしにとっての生活は、安全圏のことだ



この街に住んで、初めて生きた心地がした
わたしは生活をしている
何気ない生活を送ることができている
安全圏に暮らしている

何気ない生活が大事なのは、それが全員に与えられるべき最低限の幸福だからではないだろうか

誰もやってないような大冒険も尊いが、この生活の大事さがわからなければ、安全圏を脅かされている君のことを助けられなくなってしまいそうで嫌だ

自分の生活をひとつひとつ踏みしめるように愛して、大事であるべきことを忘れないでいたい

胸がワクワクするような冒険や革命、情熱、夢よりも、人権の方を優先してしまうわたしは冷笑主義者かもしれないが、

それならそれでいい


すぐ人を怒らせてしまう、不健康で出来が悪く何もないわたしに、唯一人間である資格を与えてくれた「生活」をわたしは愛して、最も大事だと信じつづけたい

そうでないと、生きることができないから

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