"IndieWire"でのGG賞直前タラクさんチャランさんインタビュー記事翻訳

アメリカの映画情報サイト"IndieWire"でのタラクさんとチャランさんのインタビュー記事を大感情翻訳いたしました。今年1月10日に開催された第82回ゴールデングローブ賞授賞式の直前の記事になります。

記事(https://www.indiewire.com/awards/industry/rrr-interview-ram-charan-nt-rama-rao-jr-naatu-naatu-1234797325/)

こちらの記事が掲載されたのが現地時間1月11日である為、インタビューに至るまでの筆者様の文章には「受賞した」とありますが、インタビューはゴールデングローブ賞直前に行われております。その為、インタビューではゴールデングローブ賞とアカデミー賞のノミネートについてや、パフォーマンスをするかなどの質問もございます。

また、映画撮影の様々な事に触れてお話して下さっているので、インタビュー記事は大変読み応えがあるのですが、その為私の訳も大変長文でございます。お暇な時にご覧いただければ幸いです。


記事の内容に沿って訳しております。
また、一人称、敬語の有無などは文章のニュアンスや雰囲気から素人が感じとったものから判断し、使用しておりますので、「イメージと違う!」などのお怒りはなるだけ鎮めていただけますと大変ありがたく思います。


大感情訳ではございますが、よければ…!


インドのアクション大作『RRR』の授賞キャンペーンは、ゴールデングローブ賞の歌曲賞を受賞し、作品賞と監督賞の有力候補であるこの作品を世界的ジャガーノート(全世界1億5千万ドル)に追いつくように、投票者に魅力を伝え続けています。

この3時間の映画は映画館で見るのが一番です。1月9日にハリウッド大通りにあるチャイニーズシアターで行われた再上映は即座に完売し、大歓声が響く特別なイベントとなりました。(同様の上映は最近ニューヨークでも行われました。)

チャイニーズシアターでの上映後、J.J.エイブラムス監督がゲスト登壇し、VFX満載の時代劇アクション・アドベンチャー作品について話し、インドのスーパースター2人を紹介しました。彼らはQ&Aを行い、熱い喝采を浴びました。ラーム・チャランは、使命を秘めた警察官ラージュを演じ、彼の親友N.T.ラーマ・ラオJr.は、残忍な英国人に誘拐された妹を救う使命に燃える、ビームを演じました。どちらも1920年代の歴史的な自由戦士(ただし、史実では出会ったことはない)をベースにしています。マッチした2人の俳優たちは、トム・クルーズ級のリスクと準備を要求する想像を絶するスタントの数々に、超人的な強さと勇敢な決断力を発揮するのです。
映画ファンは彼らに惚れ込みました。

友人の二人は、お互いに心地良さを感じているようです。インタビュー中、お互いの話に耳を傾け、相手の言っていることに同意し、穏やかに笑い合っていました。NTRは外向的で、質問には最初に答えてくれる傾向があり、ラーム・チャランは自分の意見を貫き、時折、より良い言葉や意味を明確にするために保護的に介入してくれました。
アカデミー歌曲賞候補であり、ゴールデングローブ賞受賞曲となった『Naatu Naatu』から、『RRR』のアクションシーンの撮影に割り当てられた72日間の事まで、彼らはさまざまな話題に触れてくれました。特に、激しい戦闘シーンでラージャマウリ監督が肉体的な接触を要求したとき、仲の良い2人がお互いを信頼し合っていたことが役に立ったのです。

どちらも以前、ラージャマウリ監督と共に働いたことがあります。彼らは既に彼(監督)のドリルを解いているのです。ジェームズ・キャメロンやジョージ・ミラーのように、テルグ語の監督は厳しい仕事師であり、俳優が戦いに参加する前にすべてのスタントが安全であることを確認します。2人はそれぞれ『RRR』で怪我をしましたが、それは撮影中に起こったことではないのです。

(インタビューは、わかりやすいように凝縮して編集されています。『RRR』が歌曲賞を受賞したゴールデングローブ賞の少し前に行われました。)


Q.アン・トンプソン(インタビュアー) : ラージャマウリ監督は、感情やキャラクターがアクションを運ぶとおっしゃっていますよね。そうでなければ、私たちは 『RRR』にこれほど没頭しないでしょう。


ラーム・チャラン : 彼が手がけた映画はどの作品も創造的ですが、これは彼の最高の脚本のひとつです。彼と彼の父が一緒になって、美しくも少し複雑な(映画を)書き上げました。とても心温まり、満たされる。彼のキャラクターを見ると(NTRjrを指差して)、彼の感情に共感して動き出すのがわかる。
自分自身が演じている姿を見るとき、彼が演じている姿を見るとき、僕は観客になるのです。そして、俳優としての自分も鮮明に見えてくるんだ。


N.T.ラーマ・ラオ・jr : 監督にとって、私生活においても、俳優に似たキャラクターを作るのは本当に大変なことです。そして僕たちもキャラクターから自分自身に戻る時、これは自分だと言い聞かせ、安心させながらも、自分に戻るために多くの努力をしなければならないからね。


RC : (RRRでの)僕たちのキャラクターは、どちらも僕等それぞれによく似ています。そう思わない?


NTRjr : そうだね。よく、似ているんですよ。


Q.お二人は長い付き合いです。お2人は違った魅せ方をされますよね。お2人の性質の違いは具体的にどの様なものだと思われますか?


NTRjr : 物理学の格言で、「同極は反発し、異極は引き合う」というのがありますよね?僕たちは互いに全然似ていない、だから惹かれ合うんです。
彼は僕のすべてで、僕は彼のすべてなんだ。

[チャランさん笑う。]

僕たちはお互いのそういうところが好きなんです。僕は自分と正反対のものが好きで、彼も自分と正反対のものが好きなんだ。


Q.一方は外向的で、もう一方は少し内向的ということですか?


NTRjr : 僕はチャランよりも少し表情が豊かで、少しだけ落ち着いています。でも、ほんの少し攻撃的なんだ。


RC : [優しく訂正する]
いいや、彼は外向的なんですよ。


NTRjr : 僕は常に内向的でありたいと思い、彼は常に外向的でありたいと思っています。僕たちはお互いを補い合っているんです。だから僕とチャランは安心し合えるんだ。


RC : みんなが食事をしていたら料理はなくなってしまうでしょう?だから、シェフが必要なんです。本当に気にかけてくれる人が。タラクの言う通り、僕たちはお互いを補い合っているんです。


Q.ずっと、お互いのことを気にかけているのですね。フェンスを乗り越えて何千人もの人々を撃退する、あの素晴らしい最初のシークエンスの準備と撮影にはどのくらいの時間がかかったのでしょうか?


RC : あのシークエンスは30日間かけて撮影し、リハーサルは15日間ほど行いました。僕がリハーサルを始める前に、チームは2カ月間リハーサルを行い、実際に1万人を相手に撮影するときに、彼らがお互いの上に、そして僕の上に倒れないように配慮してくれました。僕もまだ大丈夫だよ、保険屋からの電話もないようだから。


Q.最も危険なスタントだったのでしょうか?


RC : 今までやってきた中で一番息苦しいスタントでした。暑くて、真夏で、とても埃っぽくて。撮影が終わって監督が「カット」と言うたびに、僕がどこにいるのか、チームが確認するのに時間がかかるんです。グループ全体が埃まみれになるくらいにね。
ある人には白い旗が渡され、助監督に「役者はここにいるから、ここから彼を拾ってくれ」と言われ、その為だけに旗を振るんです。技術者にとっても、DOP(撮影監督)にとっても、最も困難な作業のひとつでした。1日に5,000~10,000人の人と一緒に撮影するんです。危険もありましたが、彼らはとてもよくリハーサルをしてくれていました。30日経っても傷ひとつないなんて、信じられないでしょう!


Q. という事は一番拷問的なスタントだったのでしょうか…?


RC : いやいや、違うよ。あれは始まりに過ぎません…


NTRjr : そうだね…インターバル前のエピソードの撮影は40夜以上掛かったんだ。そこで僕たちは互いを相手に戦っていました。
僕たち2人が手を繋いでいる場面はどれも『RRR』の重要なシークエンスのひとつで、この時はチャランの手に血が落ちてしまうんだ。


Q. なぜあのシークエンスが最悪だったのでしょうか…?跳躍するデジタル野生動物のスピードを表現したLEDライトの点滅のせいとか…….?


NTRjr : 夜間の撮影でしたから。体力的にとてもきつかったんです。僕たちはお互いを殴り合っていました。ラージャマウリは、僕たちに殴り合いの接触を強く求めていたんだ。それで2人とも誤って強く殴りつけてしまったこともありました。毎回謝っていたんだけど、途中から数が多すぎて謝るのをやめてしまったよ。
そういった撮影が続く中、突然、遠隔操作のバッテリーカーやラジコンカーが僕たちの前を通り過ぎたんだ。そうしたら、ラージャマウリが「大変だ、あそこにトラがいる!」と言うんだ。僕は、「一体どこだ?それはラジコンカーじゃないのか?」「いや、それにナマケモノとクマもいるぞ!」って…この一連の撮影は、僕たちがこれまで参加した作品の中で最も過酷で、最もタフなものだったと思っているよ。


Q. お2人のスタントは、観客を熱狂させましたね。最初のシークエンスでは橋の上の上では両端から揺れ動き、水中では両端から互いに向かっていますよね。


NTRjr : その撮影が僕たちの最初の大きな流れです。ただ、僕たちは知らなかったんだ…僕たちが何に巻き込まれるのか…
撮影は2018年12月にスタートしたんだ。僕がバイクに乗っていて、チャランが後ろに座っているシークエンスから撮影は始まったんです。
僕たちは「よし、いいぞ、最高だ」と思っていたよ。「3日目の始まりとしては最高だ」ってね。
そうしたら次にこの振り子のような動きが始まったんだ。1回ごとに60フィートずつ上がっていって最終的にお互いを見て、「100フィート間隔ではどうだろう?」となったんだ。
なぜなら、振り子になって、お互いに触れ合って、戻らなければならないからね。
僕は死んだような表情をしていました…
「チャラン?僕を助けてくれないか?」みたいなね…チャランも同じような表情をしていたよ…


RC :「頼むから顔にぶつからないで…!」と僕たちは自問自答してたよ…「これは俳優にとって危険すぎるってラージャマウリを説得する方法はないだろうか?」とも…しかしラージャマウリは偉大な、偉大な、偉大な監督なので…すでにリハーサルを行っているんです…彼はもう僕たちにとって危険ではないことを知っていて、決して「ノー」と言わせないんだ……!


NTRjr : 彼はスタントを全部一人でやっているんです。「怪我をするぞ」と彼に疑問を投げかけるのは無理があるんだよ…


Q. それで、その後怪我はなかったのですか…?


NTRjr : その時はなかったよ。でも、そうだね、僕たちはたくさん怪我をしました。チャランは足首の靭帯断裂が酷くて、膝も負傷してた。彼はACL(膝前十字靱帯)を断裂したんだ。僕は、手首の腱を2本とも折ってしまったんだよ。


RC : 最悪なのは、アクションシーンを撮影しているときに起こった出来事じゃなく、単純なヒューマンエラーだった事なんだ。


NTRjr : 僕たちの最大の誤算は怪我で3ヶ月以上の休みを取らなければいけなくなったことです。


RC : 僕はリハーサルをしていたんです。監督と「こうしたい」「ああしたい」と話しながら行っていたんだけど、話し合いに熱中している内に端の方に寄っていってしまって、台から落ちてしまったんだ。


NTRjr : ラーマが僕に鞭を打つ台を知っていますか?チャランはその台でラージャマウリと話していて、転んでしまったんだよ。


RC : 後ろに有刺鉄線があって、庇うようにして転んだつもりが膝をプラットフォームにぶつけてしまったんだ。それで3ヶ月のオフ、撮影は中止になった。


NTRjr : 僕もリハーサルをしていたんだ。近くに銃があって、僕はその銃を持って、動かしている内に右手首の腱を切ってしまったんです。
そのままにしてリハーサルを続けていたんだけど、腕を伸ばしすぎたのか、神経がおかしくなって、腕全体がしびれちゃったんだ。2カ月間、休養したよ。でも、撮影現場でスタントをしていて怪我をすることはなかったんだ。


Q. 様々なアクションで、心身ともに疲れ果てることはありませんでしたか?どうやって体を維持し、このような試練を乗り越えたのでしょうか?


NTRjr :『RRR』を通して僕たちを毎日駆り立ててくれたのは、ラージャマウリが僕たちに与えてくれた「圧倒的な自信」、そして僕たちが偉大なプロジェクト、何か大きなものの一員であるという感覚でした。
俳優として、僕たちはラージャマウリのハードワークを目の当たりにし、並の人には想像もつかない、地球外生命体のようなシークエンスを実現するために、彼がどのような努力を払っているのかを知ることができました。ラージャマウリは、大変な努力を払ってくれていたんだ。
僕は言いました「彼が信頼を寄せてくれているのだから、僕たちもこれを絶対に届けなければならない」「僕たちはラージャマウリの顔なのだから」と。そのおかげで、僕たちは毎日、目覚めることができました。精神的にも肉体的にも疲れていましたが、そんなの関係ありません。彼が与えてくれたのは「圧倒的な自信」でした。僕たちは実現しなければならなかったんだ。


RC : そう、絶対に。


Q. アカデミー歌曲賞の候補となった『Naatu Naatu』の撮影は最後だったとお聞きしました。


NTRjr : ええ、疲れる殺し合いエピソードの後から始めたんです。簡単だと思ってたけど…これは…バズーカだったよ…


Q.ゴールデングローブ賞とアカデミー賞歌曲賞の候補になったことを祝福いたします。
お2人は、アカデミー賞でこの曲を披露する自分を想像できますか?


NTRjr : なるほど、それは素晴らしいですね。
でも、サスペンダーがないとどうだろう…僕たちは間違いなくタキシードを着てるでしょうから。ラージャマウリはアレンジが得意だから、タキシードバージョンのアレンジをやってくれるだろうね。


RC : これまで一緒にやってきた何百もの(映画の)プロモーションの中で、実際にステップを披露したことはないんです。もしアカデミー賞で披露できるなら、喜んでやりますよ。


Q. 当日は指をくわえて観ていますね。しかし、あれもとてもとても過酷で疲れるナンバーだったのでしょうね......それとも、見た目ほどは大変ではなかったのでしょうか…?


NTRjr : チャランは驚異的なダンサーです。
私もダンサーを名乗ることができると思います。
だから、複雑なステップではありませんでした。
僕たちは、それぞれのキャリアで複雑なステップを何度も踏んだことがあるからね。
それ以上に大変だったのは、『Naatu Naatu』が大きなストーリーを持った曲だったということです。始まり、中間、そして終わりがある。ラージャマウリが撮りたかったのは、2人の友人がお互いに夢中になっている瞬間だったんです。
お互いを見ていなくても動きがシンクロし、まるで一心同体のような。それを再現するために、体も心も、1つのユニットとして1人の人間のように動いているように取り組んだんだ。


Q. だから、お2人は真っ直ぐ前を向いていて、互いに同期していたんですね。


NTRjr : ええ、そうなんです。ですから、一番大変だったのは、シンクロでした。お互いがお互いを見ていてはダメなんだ。リハーサルをして、お互いの体の動きを知り、ペースを理解し、それぞれがどう動くかを理解する必要がありました。僕はチャランのスピードに合わせ、チャランは僕のスピードに自分のスタイルを合わせなければならないこともあったよ。
僕たちはウクライナにいました。幸か不幸か、夏でした。太陽は朝6時に昇り、夜8時に沈む。僕たちは朝8時と夜8時に踊り始めるのです。リハーサル部屋に戻って(衣装を)脱ぎ、Tシャツを着て、次の日のリハーサルに取りかかる。夜10時か11時に部屋を出て、また6時に起きて、撮影に向かう。これが12日間続いたんだ。それに7日間のリハーサルがあった。
つまり、20日間、3週間の拷問だったんだ。


Q. ウクライナ戦争より前の事ですね。


RC : 大統領官邸で撮影されたんです。


NTRjr:『Naatu Naatu』の話をする度に、僕たちがいた頃のウクライナ、キエフのビジュアルを思い浮かべるんです。そして、今はどうなっているのかを…本当に辛い…


RC:栄光のキエフを見ることができたことを喜ぶべきなのか、それとも今はそうでないことを悲しむべきのか、わかりません。
僕たちにとっては、まさにグラスの感情なのです。ですから、『Naatu Naatu』を見る度に、キエフのことを話しています。


Q. 本作が他のラージャマウリ監督の映画の中で、より、世界中の観客をクロスオーバーできているのはなぜだと思われますか?


NTRjr : インドの自由戦士2人を主人公にした、インドに置かれた作品ですが、普遍的な感動が運ばれています。しかし、世界的に翻訳されたのは、『RRR 』の「友情」です。それぞれのキャラクターの理解、個性、目標、そして両者の間にある劇的な誤解をいかに消し去ったか。そこが重要なんだ。


Q. なぜ、この映画はインドの外国語作品賞候補としてアカデミー賞に応募されなかったのでしょうか?


NTRjr:僕たちは期待していたわけではありませんでした。ただ、欧米諸国が『RRR』を受け入れてくれたこと、我々のことを認めてくれたことが嬉しいのです。ゴールデングローブ賞であれ、アカデミー賞であれ、すべてが我々の幸福にプラスアルファされるものなのだと。
これだけは申し上げさせて下さい。


RC:すでに、僕たちはその喜びを経験することができました。


NTRjr:インド南部のトリウッドと呼ばれる、非常に小さなテルグ語の映画業界から、休暇や家族に会うためにしか訪れたことのなかったロサンゼルスにやってきました。
我々は今、偉業を成し遂げる為ここにいるのです。




以上となります…!
勉強も兼ねて訳しておりますので拙い部分が多々あると思いますが、ご指摘下されば都度直して参ります!


翻訳自体はとても楽しかったのですが、ゴールデングローブ賞直前のインタビューという事もあり1月から3月に掛けての授賞式などの様々な出来事を振り返ってしまい、訳に時間が掛かってしまいました。
1ヶ月半ほどゆっくり時間を掛け、完成することができました。

映画撮影での様々な事柄に触れてお話して下さっていて初めて知ることも多く、大変興味深く素敵な記事でした。また、お2人の驕らなさを改めて感じて泣いています。


素敵なお2人………………………愛………………………



お読み下さり、ありがとうございました…!



パン粉


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