好きなもの

突然ですが、みなさんには「好きなもの」がありますか?
音楽、絵画、ゲーム、料理……並べていったらキリがないほど、世界にはたくさんの「好きなもの」が散らばっているはずです。
今回は、わたしの「好きなもの」に関して、いくつかお話ししていけたらなーと思います。
テーマの性質上自分語りが多くなりますがご了承ください。

わたしは絵を描くのが好きです。と言っても、毎日描いていて楽しいと感じるわけではないし、むしろ苦しく感じるときのほうが圧倒的に多い気がします。
そこには「なんのために絵を描いているのか」という理由が絡んでくると思うのですが、一概には言えません。
わたしは、「自分が実現したい、見たいものを出力し、それを鑑賞して楽しむため」に絵を描いているのだと思います。
昔から風景や建物、ファンタジーな異世界などが好きだったのですが、脳内にあるそれらを可視化して楽しむために絵を描いている部分が大きいです。
また、線の重なりや色彩のうつりかわり、光など、純粋に画面を彩るのが楽しいので描いています。
絵を描いているときに苦しく感じるのは、自分の画力や表現力が足りなくて、思うように描けないためです。
ただ、絵を描くのに、理由なんて正直なんでもいいし、いらないとさえ思ったりもします。

もともとわたしは、5歳のころに母と叔母が描いていたイラストを見たのがきっかけで、絵を描くようになりました。
母と叔母は、私が生まれるずっと昔から絵が好きで、まあまあオタクで、同人活動なども積極的に行なっていたらしいです。
わたしが生まれて数年経ち、ふたりがたまたまパソコンでイラストを描いていたところを見たわたしは、
「こんなうまい絵を、おかあさんとおばちゃんが描いているなんて、なんてすごいんだろう!わたしも描けるようになって、褒められたい!ふたりともっといっぱいおはなしをしたい!」
と思いました。
その出来事がきっかけで、5歳のころから18歳の今まで絵を描き続け、芸術専門学群にも入りました。
今思えば、当時は承認欲求が主な動機だったと思います。でも、描いていくうち、いろんなものを見て成長していくうちに、次第に自分があらわしたいものが脳内で膨れ上がってきて、それらを表現するために絵を描くようになっていきました。

絵を描く理由なんかなくても、絵を描くという行為を通して、自分が幸せだと感じたり、絵を描いていて良かったなあと思う瞬間がひとつでもあれば、それで良いと思います。
最近はあんまり余裕がなくて、絵を描く時間が減っているので、ひと段落ついたらたくさん絵を描こうと思います。

風景

風景が好きという人間はたくさんいますが、全員同じ風景が好きとは限りません。
私の場合は、日本的な建築、中国の建築、大量の漢字で書かれたネオンサインなどが好きです。銀山温泉とか、豫園とか、九龍城砦とか。夏の田舎の駄菓子屋とか、ポツ神(田んぼの真ん中にポツンと佇んでいる神社)とか、鄙びた商店街とかも大好きです。原神で言ったら璃月とか稲妻とかがとても近いです。
こういったものを羅列していくと、「パターン化されたエモ」とか言われそうですが、わたしは昔から本気でこういった雰囲気のものが好きだし、わたしにしか分からない感性なんで、他人にあーだこーだ言われても「ああそう、ならあなたはこちら側に突っ込まなくていいから」としか思えません。
何はともあれ、実在する風景も好きですが、イラストでしか表せない、空想上の風景も大好きです。というか、実在するものをいろいろミックスさせて空想上の風景を作り出すのが好きです。
桃源郷と言うべきか、そのような風景を思い描いて、実際に描いてみることが何よりも楽しい。不気味なものも好きで、「因習村」、「妖怪」、「都市伝説」などの概念や、「Backrooms」、「Liminal Spaces」なども創作の題材にしています。

なぜこのような風景が好きなのか?と訊かれても、大層な理由は答えられません。
ただ、その風景を見ると、途端に魂が元あった位置に戻されるような、自分の原形があらわれるような、懐かしくて少し不気味な気分になります。その感覚が心地よくて、それらの風景が好きなのかもしれません。
もちろん、風景の中に見える人間の営みを想像するのも好きだし、そこにあった人々の歴史に思いを馳せることも好きです。

いつか、自分の理想の風景を全て描けたら良いなあと思うのですが、恐らく人生全ての時間を捧げても描ききることはできないだろうなあと思います。

超芸術トマソン

超芸術?トマソン?なんすか、そりは?

“超芸術トマソン”とは、「不動産に付着して美しく保存されている無用の長物」のこと。現代美術家であり芥川賞作家でもあった赤瀬川原平氏が提唱したものだ。

松尾麻衣子.“美しき無用の長物 “超芸術トマソン”。不動産に付着するモダンアートを名古屋市・円頓寺界隈で探す”.LIFULL HOME'S PRESS.2023-06-20.

https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01267/

↑私が長々と説明してもよく分からないと思うので、興味のある方はこちらの記事を読むことをオススメします。

簡単に言ってしまえば、「建物や道などに存在している、非常に無意味だが美しく保存されているモノ・現象」のことです。
例えば、どこにも続かずに途切れている階段。誰もそんな所から出入りできない、階段もない高所に設置されたバグのような扉。水はとっくに出ないのに、そのまま壁に放置された蛇口。階段が撤去された、柱と橋の部分だけが残っている誰も上を通れない歩道橋、などなど。
わたしはこれらの超芸術トマソンが好きです。

前項の「風景」とひとまとめにして紹介しようとも思ったのですが、少しニュアンスが違うし、知らない方も多いかなと思い、独自でトマソンの項を作りました。
こちらも風景と同じく、明確に好きな理由は答えられません。ただただ、心の奥底から、わたしが好きなものはこういうものだ、と訴えかけられるだけです。
現実世界の日常に潜む、世界のバグ」といった感じで、とても面白いのです。
ここにあった階段の先は、どんな建物があったのだろう?
こんな高い場所にドアを設置するなんて、空を飛べる人がいるのかな…
などと、トマソンを見つけた先に色々と想像するのも楽しいです。正解を見つけた時には、謎が解けてとてもスッキリした気分になります。

体芸図書館入口右横の謎タイル

上の写真は、体芸図書館入口右横で見つけた、トマソンっぽい謎タイルです。
建物側にドアがあるので、そこから入る際に段差を小さくするために置かれたものなのかな…とも考えられるので、正確にはトマソンではないのかもしれませんが。
パッと見、存在していることに意味がないようなタイルです。でも、確かにそこに存在しています。
このタイルは未だに謎なので、詳細を知っている方は是非わたしに連絡をください。

日常の中での、面白いかも!という気づきや、これってなんだろう?といった疑問を持つことは、大人になっても忘れてはならないことだと思います。

おわりに

ここまでさんざんわたしの好きなものを紹介してきました。本当はもっと好きなものを紹介しようと思ったのですが、あまり長く書いても読むのが億劫になるし、私も疲れてきたのでこのへんで紹介を終わりたいと思います。
好きなものは、自分を救います。いつでも味方って訳ではないけれど、何か熱中できる、心の拠り所となれるものがひとつでもあれば、少しは息がしやすくなるはずです。
好きなものを好きな理由は、なんだっていいし、なくても全く不自然じゃないです。自分が「好きだ」と思ったら、ものであれ人であれ、それで良いと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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