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宗教とテクノロジー(恵比寿映像祭2023)

先日、恵比寿映像祭2023という催しに参加しました。

東京都写真美術館で2/19まで開催されているのでぜひ!



第15回目となる今回のテーマは「テクノロジー?」。
いまわたしたちが当たり前に観ている高精細な映像は、果たして未来でどのようなリアリティを発揮するのか。いま映像に活用されている技術は、たとえば100年後には、いったいどのような要素で映像に干渉しているのか。長い時が流れたとき、現代の「テクノロジー」は、思いがけない新たな印象を今後映像に付与していく可能性がある……!これはとても面白い視点だと思った、加速度的に進歩していくテクノロジーのスピードと芸術分野のひろがり、そのあいだで平等に流れる時間、ふたつの領域の重なりがアートに革新をもたらした過去をもって、まだ見ぬ未来に光を見せてくれるようなわくわくする話だ。

ことしの恵比寿映像祭では、制作段階においてテクノロジーと芸術作家のあいだに生じる「対話」可能性についての思索に焦点を当てている。

科学技術の劇的な進歩と成果を導入する芸術は、1960年代盛んになったキネティックアート以降、ネオンやコンピューター、ホログラフィーなど多様な展開をみせたが、現代においては旧来からの素材やテクノロジーを敢えて組み合わせることで新たな効果を生む、というような表現手法をとる作家も増えている。

表現の手法も傾向も千差万別のいま、アーティスト各々がどの技術をどのくらい、どのように芸術に落とし込むか、そしてどんな期待からそうしたのかという意図まで、自ら手を動かしているひとなら尚高精度に感じられるような「対話」の尊さに満ちた素晴らしい展示でした(早口)

葉山嶺《Hollow-Hare-Wallaby》
越田乃梨子《机上の岸にて》
荒木悠《仮面の正体(海賊盤)》

例年とはまたがらりと雰囲気が変わったな、とまず思った。インスタレーション作品が多く、全体として華やかな空間としての印象だったこれまでと比べて、やはり「テクノロジー」というテーマに合わせるように「スクリーンに映る映像」を媒体とした作品が目立った。

ほんとうにどれも激アツでいちばんなんて選べませんという感じなのですが、もう一度見たい、と思ったのはやはり、海外作家のなかでは唯一の新作となったルー・ヤン(LuYang)による《DOKU The Self》。

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