#もしもSNSがなかったら
千代田区末広町にあるアートセンター「アーツ千代田3331」にて開催された『SNS展』。この展覧会では、「もしもSNSがなかったら世界はどうなっていただろう?」というテーマのもと、SNSがある世界/ない世界について表現されています。公募作品やSNSで活躍するキュレーターの作品が並び、多様な色が混ざり合い、雑多なインターネットの世界を存在させました。 インターネットのある時代に生まれた私は、思春期をSNSの普及とともに過ごしました。もしもSNSのない世界に生きていたら、私たちはどうなっていたんだろう。
高校に入学すると同時に、無料チャットアプリ『LINE』の普及が加速した。
高校1年生のとき私はまだガラケーを使っていて、LINEはインストールをしなかった。
クラスの友だちと連絡先を交換するときは、「LINEのIDおしえて」ではなく「メアドおしえて」だったし、LINEは普及したばかりで遊び用のアプリ程度だったと思う。
私はLINEが嫌いだった。
それは、クラス内の男女の会話がほとんど行われず、放課後にLINEでコミュニケーションをとっているみんなを知っていたから。
学校に来ても会話をしない人間が、顔を見ず声も聞かずにお互いのことを知ったようになる雰囲気がすごく嫌だった。
文化祭の準備が始まる夏
クラスのみんなに連絡を回す役目だった私は、メールの一斉送信があまりにも効率が悪すぎて仕方なく連絡手段をLINEに移行した。
食わず嫌いだった私は、あっさりとLINEの便利さに魅了され、諸連絡だけでなく普段のコミュニケーションでも使うようになった。
しかし、ガラケーの残念なところといえば、LINEの新規メッセージを見るために「更新ボタン」を押さなければいけないという手間がある。
タイムラインが盛り上がったらもう大変。ガラケー勢は必死に連打しないと会話に追いつけないという、LINE弱者であった。。
そんな中、また春を迎えた。高校2年生になった私は晴れてiPhoneデビューをし、あっというまにSNSは生活の一部となった。
繋がりも感情も好きも嫌いも、ここに全部つまっている、小さな心のゆらぎを記録できるようになった私たちは、思春期のそれらとともに毎日過去を残していった。
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もしもSNSがなかったら
好きなバンドをきっかけにあの子を知ることはなかったし、
喜びや悲しみを共有することもできなかった
友だちにも家族にも自分からは言わない、行き場のない感情を持ったとき、
この世界の片隅への発信を躊躇わずにいたし
「いいね」のように、見えないだれかとの繋がりを感じることもできなかった
心が揺らいだとき、ミクシィであるがままを綴ることもできなかったけど、
それを見たともだちに嘲笑われることもなかった
たくさんの人とたくさんの情報が溢れかえり、真も偽もわからない世界
その世界を知らない時代に生きた人々は、
みえない世界を危惧し、遠ざかる
知りたくない情報も見たくない人間の醜さも知らなかったかもしれない。
でも、SNSがなかったら知らない世界がありすぎた。
それに、
こんなに好きを知ることもできなかったし、
こんなにことばに触れることもできなかった
ありすぎた時代に生まれたからには、この世界に飲まれず発信と俯瞰を繰り返して自分の世界を見つめたい。
もしもSNSがなかったら。
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※この記事は過去に書いたものです
【 SNS展 #もしもSNSがなかったら 】
日程:2018年 5月19日(土)〜 5月27日(日)11:00〜20:00 ※終了
料金:入場無料
主催:CINRA, Inc.
特別協賛:LINE MOBILE
会場:アーツ千代田 3331/1F メインギャラリー
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14